恋は光のレビュー・感想・評価
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SHE&HIMの歌声に象徴される絶妙な上品さ。
現実から遊離したようなセリフ回しや、地に足がついていない主人公たちの青臭さを、抑制された演出と絶妙なバランス感覚で現実と繋ぎとめているように感じた。特に最初と最後に流れるSHE&HIMの楽曲のアレンジとズーイー・デシャネルの歌声が、この映画の得難い上品さのシンボルになっており、まるで作り手のささやかな決意表明のように響いてくる。
役者では、やはり西野七瀬が絶品だった。平祐奈だって馬場ふみかだって上手いし役にもハマっているのだが、西野七瀬には、フィクションとノンフィクションの境界線上を漂っているようなところがあって、どれだけ周到に準備しても出せないような、奇妙な実在感があると思う。ともすれば理想化されそうなキャラクターや世界観を、西野七瀬が放つゆらぎのようなものが救っているようにも感じた。
しかし西条くんよ、3人の魅力的な女性にモテるのは仕方ないが、不器用とはいえちょっと甘え過ぎではないですかね。しっかりしてくれ若者よ、とオッサン的には思わずにおれませんでした。
ファンタジー設定から派生した副次効果
二十歳前後の登場人物らによる青春恋愛物に、ひとつファンタジーないしSF的な設定を加えた映画という意味で、「恋する寄生虫」にちょっと近いだろうか。
神尾楓珠が演じる主人公の大学生・西条は、恋をしている女性の全身からきらきらと輝く光の粒が見えるという特異体質の持ち主。幼馴染みの北代(西野七瀬)は、西条から体質のことを聞いているし、昔から彼に片想いしているのだが、「北代からは光が出ていない」と言われて諦めモード。西条は大学で出会った文学少女・東雲(平祐奈)のことが気になり、恋の定義を議論し合う交換日記を始めるなど距離を縮めていくが……という展開。
実はこの三人、このストーリーが語られる段階までの人生で誰とも一度も交際したことがない。もし全体的にリアルな設定の映画やドラマなら、こんな美男美女が大学生になるまでモテることもなく付き合ったこともないなんて嘘くさい、と興ざめするところだが、「恋の光が見える」というファンタジー設定のおかげで、漫画を原作とする虚構の世界、架空のキャラクターとして無理なく受け入れられるのだろうと感じた。
あと、平祐奈の出演作を観たのは2017年の「サクラダリセット」以来だったので、最初その体型の変化にちょっと驚いたのだが、多様性を尊重する今の時代らしいと思い直した。「美人は痩身でなければならない」といったかつての固定観念に縛られるのではなく、今の体型で恋愛映画のヒロインの一人として作品中に自然に存在することは、社会への、特に若い世代へのポジティブなメッセージになるのではないか。
不器用な男女の恋愛模様という点で、少し近い要素もある最近の公開作「私たちはおとな」には気が滅入ったが、本作の鑑賞後感はすこぶる爽やか。若いカップル、あるいは恋人未満の関係で観に行くなら、だんぜん「恋は光」のほうがおすすめだ。
小林啓一監督については、デビュー作「ももいろそらを」が大好きで、恋愛映画の名手という印象。三作ほど漫画原作が続いたようだが、そろそろまたオリジナル脚本での監督作をぜひお願いしたい。
西条はなぜ北代を選んだのか?幼い頃親の離婚による心の傷を救ってくれ...
西条はなぜ北代を選んだのか?幼い頃親の離婚による心の傷を救ってくれたのは知っているが、それだけで恋になるのがわからない。母性のようなものではなくなぜ恋と捉えたのか?
西条は自分の評価を低く考えているからか、自分のことを深く理解してくれている人の方が安心するからか?
またなぜ告白の時、東雲さんにはノートだけにしたのかがわからない。
シーロウ・キーター、君は正しい。
感想
年甲斐も無く?かも知れない。
正直、原作は存じ上げず。しかしこの映画に登場する人物のキャラクターが出演されている俳優の皆様にベストマッチしているところ、さらに各々の配役に応じた演技も素晴らしく、かつ話の展開が王道である三角関係になっているところが無条件に大好きである。確かに学生時代は西条や東雲のように何事にも理屈ぽかったなと。昔を思い出した。
幾つになっても人に恋する気持ちは変わらない。恋にもいろいろな形がある。いつ観ても心が温かく新鮮な気持ちになれる話。
恋について、ある意味憧れていた理想と現実とのギャップを納得行く形と展開でバランス良く疑問や謎を埋めてくれた。ほとんどファンタジーと言える映画で、見ている間、楽しく幸せな気持ちでひとときを過ごした。
岡山県内各地、岡山市電、後楽園、ベンガラ吹屋、下津井(瀬戸大橋)、倉敷などロケ地の風景も美しい。行ってみたくなった。
恋の光が見えるって素敵だな〜。
「恋とは、誰しもが語れるが、誰しもが正しく語れないものである。」
正論である。
⭐️4
不器用さがいい
不器用でぎこちなさがとても居心地のいいえいがでした。
多種の価値観を持った女性陣、3人もいい味だしてました。
特に平祐奈さんが、一番興味深い役柄であり、いいスパイスになっていたと思います。
これはちょっとした傑作かも
公開時から評判が良くて気になっていた作品だったのだが結局観れずに終わってしまい、改めて今回のタイミングになった。
評判の高さはやはり本物だった。青春ラブストーリーものとしては正直ありきたりで「王道」以外の何物でもなく、特に目新しい感じはしないのにとにかく面白い。「恋してる人が光って見える」という設定が絶妙な味付けとなって全体的な流れを作って行ったのも心地良く感じられた。原作は未読なのだが世界観はおそらく近いものがあると思われ、文学的な匂いがするのも非常に楽しめた要因だろう。主人公たちが「恋の定義」などを真剣に話す様子が何とも微笑ましかった。限りなく感覚的な事を論理的に語るって実にバカバカしくて実に楽しいんだよね。いい歳こいて自分もその輪につい入りたくなってしまう。
そして何より登場人物たちがまた魅力的過ぎる。神尾君のカタブツぶりも絶妙だったし、西野七瀬ちゃんと平祐奈ちゃんのそれぞれの可愛さったらもう信じられないほどだ。もし僕が20歳だったら、どちらを選ぶかで1週間くらいは死ぬほど悩んでしまうだろうな。そして最後の東雲さんから流れる「一筋の涙」の美しさ。若いって素晴らしい。これこそが青春映画だよなと同調すると共に、自分はもうただのオジサンなんだと唇を噛み締める。つまり何かにつけてノスタルジーを感じる世代に自分もなったという事なんだろう。ちなみに舞台となった岡山のなんと美しい事。昔ながらの風景と暮らし。これだけでもすっかり魅せられてしまったのだが、もしかしたらこれもノスタルジーなんだろうか?
馬場ふみかちゃんの存在感も良かった。主人公でもない彼女が冒頭でいきなり飲み物をぶっ掛けられてしまう理不尽なシーンから映画が始まる、というアイデアも実に面白いと思う。あと最後に流れる曲もまさにズバリでセンス良いなあと思わずにはいられなかった。「恋は光」というちょっと含みを持たせたタイトルも心にどことなく引っ掛かるものがあり、これも文学的な素晴らしいセンスだなと感心する。
僕にとって印象深い青春映画の1つとしてこの作品が加わったのは間違いない。
岡山って良いところですね。
全編岡山ロケらしい。今まで意識したことなかったけど、行ってみたくなりました。
神尾楓珠と平祐奈と馬場ふみかがキッチリと役割をこなす中、西野七瀬の役作りが際立ってた気がします。
特に期待した訳ではなく何となく観てしまったのですが、面白かったです。『殺さない彼と死なない彼女』の監督ですか。なるほど。
少し変わっていて面白かったです
作品としてはまあ主人公がいて、タイプの違うヒロインが3人出てくるというものなので、まあ何かアニメみたいですね。実際原作はコミックみたいです。
映画の魅力としては基本的には会話が面白い。特に見せ場がなくても何となく見れてしまうし、普段の会話をずっと見ていたいような気もしました。キャラクターも3人それぞれ魅力的です。面白かったのは舞台が岡山県ということ。一目見て東京ではないということは分かるのですが、釣りをしていたり、市内を路面電車が走っていたり、瀬戸内の方かなと思っていたら案の定岡山県でした。
この映画は全体的にストレスが少ないようにコントロールされている映画であり、作品なのかなと思いました。それが心地良さにつながっているのだと思います。
恋とは遺伝子レベルの渇望
神尾楓珠扮する教師になることを目指している大学生西条は、教室で平祐奈扮する東雲と名前が書かれたノートを拾い中身を添削した。東雲は恋を知りたいと言った。西条は無機質な体質を表現していたが、東雲に恋を感じて西野七瀬扮する北代に紹介して欲しいと頼んだ。
今でもこうかんノートなんてやるんだね。それに恋愛相談出来る北代は貴重だよな。なるほど平祐奈は初めてだけど清楚な感じだね。恋とは遺伝子レベルの渇望なのか。面白いアプローチだね。気難しがり屋の友達作りって面白いね。なかなか面白い設定で好感持てたよ。
期待なんかしてませんでした。
西城:神尾楓珠の見た目がとにかくやぼったい。
神経質な言葉使いに線の細い人柄。
北代:西野七瀬の言葉使い。
西城との接し方。
東雲:平祐奈の言葉使いに思考回路w
宿木:馬場ふみかの言葉使いと性格と巨乳w
こうやって書くと馬鹿にしているように読めるかもしれないけど
馬鹿になどしていない。
そもそも観るものはなく、馬場ふみかか出ているし
何となく暇つぶしにはなるかと思い観た。
西城・北代・東雲の何とも言えないやり取りが
何となく心地よく、話も特に中だる無ことなく
進む。
宿木の雑な感じ。
しかし何となく切なく思わせる描写があったり。
なんか久しぶりにある意味いい映画に会えたなって気がした。
最後に。
北代・東雲・宿木3人のパジャマパーティーは
贅沢だろwww
原作がしっかりしてるんだな
西野七瀬
平祐奈
馬場ふみか
好きな女優勢揃いでそれだけ目当てで鑑賞したが、モチーフ深めて中々おもしろい予想外の出来でした
この3人の評価は結構酷評が多いけど私には関係ない
主要登場人物4人の名前に東西南北の字を入れて、そのキーになる画家が央という文字を使った遊び心もいい。
どうみても変人の神尾楓珠さんのキャラであのモテ方は羨ましい限りだ
今が旬の神尾楓珠さんと西野七瀬さんがいい演技!キュンキュン!
今が旬の神尾楓珠さんと西野七瀬さんがいい演技をしていました。ストーリーは最初からこうなると予想した通りの展開でしたが、旬の俳優さんの青春ものもいいですね!誰もが経験するような甘酸っぱい切ない物語でしたね。
ポスターの印象と違い、本気でキュンときた
正直、文字数が多く野暮ったいあのポスターしかみていなかったら、手を出さなかった作品だと思う。複数の人のおすすめを目にして、アマプラの見放題に入ったと聞いたので鑑賞。
いやぁ、観てよかった!本気でキュンときた。
北代もステキだったが、東雲さんと西条の2人のシーンに特に好きな所があった。
例えば、2人で階段を登るシーン。東雲さんのスカートが風をはらむ。なんか、これから東雲さんの恋心が膨らむ予感を感じさせてキュンときた。
それから、天気雨があがった後のシーン。2人にあたる木漏れ日が、もう「恋は光」だった。
西条の佇まいや、部屋の雰囲気から感じる文豪っぽさは、原作者が舞台にした愛媛ということを意識した演出だろうか。(実際の映画は、オール岡山ロケらしいが…)by wikipedia
東雲さんの服装や実家の感じなどと合わせて、時代を超えた味わいの仕掛けが「恋」の普遍性を思わせた。
時折登場するスマホなどから「ああ、これは今の話だった」と引き戻されるくらい、いつの時代かわからなくなる曖昧さが心地よかった。
光の謎など、ストーリーの展開に合わせて考察も楽しめる。
シーロウ・キーター(笑)の名言に深く頷く一本。
<追記>
※少しネタバレに触れています。
暇に任せて、原作を一気読みした。
正直言って、ものすごい完成度の神作品。
登場人物の内面描写が、セリフ以外のモノローグで書き込まれていることもあって、それぞれに共感できる。とりわけ、自分は宿木嬢に心を動かされた。
原作ガチ勢の方々が、ラストの展開について熱くコメントを語られている理由もよくわかった。
その上で、もう一度本編を観たのだが、一回目を観た時よりも、更にこの作品が好きになった。
北代が、実は光っていたシーン。
原作ページでも泣けたが、二回目でもやっぱり泣けた。そして、その後の展開も、キチンと原作を踏まえながらの、納得の締めくくりだと改めて思った。
今もネットに残っている、原作者のインタビュー記事の中で、脚本・監督の小林さんに対して、「私以上にキャラクター理解が高い」と言ったようなコメントを残されていたが、原作愛にあふれた、とても質の高い2次創作といった感覚で、本作をとらえることも可能だと思う。
海にこそ行かないが、代わりに鮎の友釣りを取り上げるのなんかは、友人関係を少しずつ広げていく主人公たちに寄せた、映画的ないい表現だなと思ったし、シーンごとのシチュエーションは、原作と全く違っていても、出てくる大切なセリフや恋の定義の設定、そしてセンセの背景など、大事なポイントは外さず、時間内に収まるよう、見事にまとめられている脚本のすごさを感じた。
そして、ファーストシーンと対をなすように、エンディング後に挿入されたシーンで、本編では時間の都合上描き切れなかった宿木嬢の変化を押さえて終わるという目配りも素晴らしかった。
ということで、0.5追加。
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