「アニメ脳」バブル U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメ脳
目の前で人型のモノが泡に溶けていったら恐怖でしかないと思うのだけど…怪奇現象だろ、ソレは。
元々の物語は人魚姫そのままで、物語を書けない無能さを露呈してるかのようだった。そう思ってしまうのも、何かとオリジナル性を加味しようとしたディテールの数々が尽く俺の趣向には合わなかったからであろうと思う。
パルクールの視点は面白くて、ワクワクもするのだけれど、基本的には競争であって競技ではないので、見事な技を決めるにもその目的が分からない。加点があるなら必然性も生まれるのだろうけど。
なのでラストに至るシークエンスでも「技をやる余裕があるなら必死でもないんだな」的に見えてしまう。
重力が失われたわけではなさそうな設定で…ここの表現は難しかったんじゃないかと思う。
上方向には盛大に飛んでいくのだけれど、落下の速度が1Gと変わらないように見える。落下速度をも落としてしまえばスピード感は出てこないし、速度を変えなければ超人に見えてしまう。
作用と反作用もほぼ無視してるような感じだし。
空中に浮遊してる岩を踏み台にして飛ぶのだけれど、人物は飛んでくのだけど、その岩はその蹴り出す力を受け止めちゃう。空中に止まるのだ。
人物には慣性の法則があるし、バーニアのようなモノで速度を抑えるわけでもないので単純に「ぶつかってる」はずなのだ。着地ではなくぶつかってるはずなのだ。
……案の定、絵は派手で綺麗でカッコもいいのだけれど、用意された設定を鵜呑みにできる程ではなく、最後までは引っ張りきれなかった。
不可解な世界観を説明する為に多用される説明台詞にもうんざりだ。冒頭のレースを理解させる為のキャラとか…恥ずかしげもなくよくぶっこめたな。
テンプレートな書き順に萎える。
アニメ脳万歳なのだ。
レースの商品がガソリンって…生活必需品って…外界と隔離されてるならどこからガソリン持ってきたんだって話だし、隔離されてないのなら持ちこみゃいいだけの話だし…生活必需品を双方が出し合う意味も弱いように思う。配信して金稼いで、あまつさえスポンサーともやり取りできる状況で…朝食は豪華だし。
辻褄が全く理解できない。
こいつらはどんな世界を生きてんだろう…?
物語が終焉に近づく頃にはあくびしかでない。
チームで東京タワーを目指す??
義足のオッサンがルートを示す??
主人公は全然違うルートを通ってたように見えたのだけど…そもそもしゃしゃり出てこなきゃならないようなキャラでもねえだろう。なんで出した?
で、おそらくならば重力が戻った東京なのだけれど、パルクールの表現は重力異常の時と何ら変わる事がない。
…合掌。
ただ、人魚姫の物語を丸パクリで退屈この上ない展開であったのだけど、人魚姫自体を知らない世代もいるのかと思うと、古典の使い回しってのにもいくばくかの意義はあるように思う。
そこにパルクールなんていうトリッキーなアングルを多用できるアクションはアニメーションならではのカット割とも相性はすこぶる良い。
絵は綺麗だし。
だが、まぁ、いかんせん意味不明な事が多すぎて…世界観が受け入れられなかった。
絵は綺麗だよ。絵はね。
パルクールやってる人達は忍者ではない。
同じ事やってもNARUTOが受け入れられるのは忍者ってファンタジーがあるからだ。と、俺は思う。
外界と隔離されてないんですよ。
バブルからの出入りは物理的には自由です。
政府が入るなって禁止しているだけで。
彼らはその立ち入り禁止区域に勝手に住み着いてるだけなので。
勝負の賭け事に使っている物資も重力変動の調査協力名目で貰っている物資を掛けているだけで無いと死んじゃうって程ではないかと。
そんな設定もなんだかなと思いますけどね。
ストーリー性も設定も煮詰めが甘いし分かりにくいんですよ。
勝負の必然性も無いしなのに命懸けの余興って所が救いがないです。