「有名人の盛り合わせ、悪くは…無い、かも」バブル よもぎさんの映画レビュー(感想・評価)
有名人の盛り合わせ、悪くは…無い、かも
進撃の巨人の監督・デスノート作者のキャラデザ・まどかマギカ脚本家の脚本・ガンダムユニコーン作曲家のBGM。
どれもこれもアニメファンの間では有名な方ばかり。名前までは知らなくても「あの作品の人だよ」と言えば「あー、知ってる」ってなる人も多いでしょう。
しかし、こういうスタッフの代表作をズラズラ並べてアピールしてる作品には地雷が多いのも確か…。
怖い、でも気になっちゃう。なら観に行こうって事で今週の話題作:シン・ウルトラマンとハシゴして見て来た結果は…そんなに悪くない、かなぁ?(不安)
・進撃の立体起動装置のシーンを彷彿とさせるダイナミックなアクションシーン
・ヒカルの碁やデスノートの小畑健先生デザインのカッコいい・可愛い・面白いキャラクター
・ハッピーエンドには絶対しねえ虚淵さんらしい脚本
・澤野さんの壮大かつカッコいいBGMと、それに調和する荒廃しつつも美しい背景美術
どれもこれも看板に偽りなし。各々が持ち味を最大限発揮されていたと思います。
「澤野さんの音楽が好き」「小畑先生のキャラデザが好き」といった個別のファンの方にも満足頂けると思います。
ただ、1個の映画としておススメ出来るかというと…ちょっと薦めにくいかなぁ。
理由としてはまず、ビッグネームばかりのスタッフなので「お互いの仕事には口を出さない」というような遠慮が見えます。
松坂牛のサーロイン、大間の本マグロ、丹波の松茸をミシュラン三ツ星のシェフに渡して「3つの食材全てを活かした料理を作って下さい」って言ったらステーキと刺身とお吸い物が別々に出てきた感じ。確かに美味しい…美味しいけど、3つ一緒に渡した意味が無いし、ミシュランシェフにお願いした意味も無いよねって言う感じ。
次に主人公・ヒロイン・サブヒロインといったメインどころの声が専業声優さんじゃなく俳優さんやyoutuberだった事。
俳優さんだから悪いとは言いませんが、特に主人公の声の棒読みっぷりはかなり気になりましたね。キャラデザが美しいだけに非常に残念な点です。綺麗な断面のローストビーフが実は塩と砂糖間違えて作られてましたってくらい残念。そのくせサブキャラには宮野真守などの実力派人気声優を起用しているのですから勿体ないですね。
あとは、主人公とヒロインの美形アピールがかなりクドいです。
小畑先生のキャラデザの美しさをアピールするためなのか主人公やヒロインのやたらキラッキラなエフェクトが盛られた顔面アップがかなり多用されています。目とかキラッキラでまつ毛バッサバサです。主人公もヒロインもヘソ出し布面積少な目な服というのもあって、本作の「オタク向け」感を増幅していますね。そのくせ声が残念なので一般人にもオタクにも不満が出ると思います。他人に薦めにくいのはこの要素のせいが大きいです。
観に行って感じた大きな問題点はこの3つですね。
ただ、序盤にも書いたように各有名スタッフの持ち味はしっかり発揮されていて、「澤野さんの音楽が好き」「進撃のアクションシーン好き」みたいな各スタッフファンの方はちゃんと満足できると思います。
※ただし、本作はネットフリックスでも先立って配信されております。この映画のチケット代でネトフリのスタンダードプラン1か月分の料金になってしまうので映画館で観るのはコスパは悪いかもしれませんが、本作の売りの一つである荒木監督のダイナミックなアクションシーンはデカいスクリーンで見てこそなので、ネトフリ視聴するなら数少ない本作の見所が1つ減る事を覚悟する必要があります。
総評すると、オタク向け感が強いのでかなりディープなオタトークが出来るオタ友達と一緒に行くか、1人で行くのをお勧めします。私はいつもぼっち映画なので選択肢はありませんでした。
声が棒なのはどうしようもないので覚悟して行きましょう。