「【全スパイダーマン作品の中でも秀逸】」スパイダーマン　アクロス・ザ・スパイダーバース　abuさんの映画レビュー（感想・評価）

アニメという手段を選んでいるが、内容はまぎれもなく“映画スパイダーマン”そのもの。

開始10分で登場するスパイダーウーマンの圧倒的なクールさに、思わず目を奪われてしまう。

この作画力と演出力の高さは、もはや芸術の域だ。

さらに本作は、「スパイダーマンは悲劇を背負ってこそ成長する」という、歴代シリーズが守ってきた“不文律”に真正面からNOを叩きつける。

言われてみれば、ヒーローだけが理不尽に痛みを背負わされていた。
ヒーローにだって、愛してくれる家族がいていい。

悲劇を背負わないとヒーローになれないという古い価値観を、物語そのものの力でアップデートしていく姿勢が痛快だ。

そして、親に正体を明かすという“禁じ手”さえもためらわない潔さ。

アニメだからこそ可能な大胆な表現、力強い音楽、スタイリッシュなBGM──
どれを取っても一級品で、「アニメの本場は日本だけではない」と思い知らされる。

アメリカアニメーションの底力が凝縮された、重厚でポップでスタイリッシュな一本だ。
スパイダーマンファンなら必見。
MCUファンも、ヒーロー映画好きなら絶対に刺さる。
2時間20分があっという間に過ぎ去る、最高のエンターテインメントだった。