「映像と音楽は最高!ストーリーはやや不完全燃焼。」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映像と音楽は最高!ストーリーはやや不完全燃焼。

2024年2月15日
iPhoneアプリから投稿

前作を上回る新たな映像表現は目を見張るものがありました。加えて本作は、音楽と映像の完璧なシンクロを達成していて序盤の没入感を高めていました。
エンタメ映画を見ている…というよりは、
もはやアート作品やミュージックビデオを見ているような感覚に近いです。

"物凄いものを見させられている"という感覚はあります。
ただし、心の底から「面白かった!」と思える作品ではありませんでした。

良くも悪くも非常に情報が多く、加えて上映時間が長すぎるためダレているように感じる部分もありました。
(2回目視聴してこの辺りの不満点はだいぶ解消されました。)
マルチバースのイベントを否定する主人公は、社会が押し付ける(大人的)正しさの強要と、それに対する反抗のようにも見えました。
色んな箇所で大人と子供、親と子の確執としがらみを感じさせるストーリーだなとしみじみ思いました。

前作が確立した3DCGを用いた映像表現を更にアップデートして見せた本作は、ちょうど同年公開のミュータントタートルズミュータントパニック(以下ミューパニ)と対になるような立ち位置と言えるでしょう。
しかしミューパニが革新的な映像と王道エンタメ的ストーリーを一本の映画に収めていたのと異なり、本作はあくまでも3作目への"つなぎ"なのです。

加えて、期待値を爆上げして次回作に繋がるラストでもなく、フェードアウトするように終わってしまうので不完全燃焼感は否めません。
伏線も投げっぱなしなのでキャラクタードラマ的な部分も全て未解決です。
キャラクターや世界観も複雑多様化しすぎ(これが本シリーズの魅力でもありますが)た結果、非常に飲み込みにくい作品になって消化不良を起こしているようにすら感じました。
本作を単体で評価するのは非常に難しく、3作目が公開されて初めて総合的な評価ができる気がしています。

映像も含めたこのカオス感を楽しめるか否か
或いは原作への理解度によっても印象が変わるかもしれません。

ミューパニと本作単体での比較をするなら、
アクロス
    映像100点
    音楽90点
    ストーリー75点
ミューパニ
    映像100点
    音楽90点
    ストーリー100点

といった感じでしょうか。
次回作を見るまで評価が定まらないので3作目に期待します。個人的にはもう少しエンタメ的なバランスに修正しての大団円にうまく落とし込んでもらいたいと思っています。

ジョイ☮ JOY86式。