「前作よりもアップグレードし過ぎなぐらいしてるやんけ!」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース かずくんさんの映画レビュー(感想・評価)
前作よりもアップグレードし過ぎなぐらいしてるやんけ!
なにこれ…やばすぎんだろ…。
前作で言われなかったグウェン…もといゴーストの過去を掘り下げながら、それをマイルズの環境に繋げたのは良かった。
ふたりが前作で非常に仲がよく、
ふたりとも「家族と分かり合えない」という共通点がある。
今回はほぼグウェンにスポットを当て、グウェンに起きた壮絶な過去を見せてくれた。
わぉ…相当酷いこと起きてる…。
ふたりとも若い年齢で失うもん失って、その中でも「やることがこれしかない」と諦めていた。
一作目は、共通点の多かったBパーカーとマイルズが、互いに自信を出せない中で成長する物語。
そのマイルズが見事に成長した姿で帰ってきたのは良かった。
見事にグウェンを、果ては運命を受け入れきっていたマルチバースのスパイダーマンすらも変える凄まじさ。
嬉しい…嬉しいよぉ…(ボロ泣き)
今回はグウェンがお父さんと向き合う話にすることで、よりマイルズとの仲を強調することができていたし、
グウェンとお父さんとの壮絶なすれ違いの果てのハグは素晴らしかった…!
親はいつまでも子供を守りたいが、子供からしたら束縛にも近しい感情を抱えて仕舞う。
そんなあるあるな思春期の悩みと、スパイダーマンを通じた視点を長い時間の中で疾走感たっぷりに届けてくれた。
というか説明不足だと思う点がそこまでなかったのはすごくないか?
派手なアクション主体で、だめな映画にありがちな「人物に全部語らせる」展開は無かったし、安定のBGMの良さもあるし。
なにより続編確定ですと!?
今度はマイルズが家族と分かり合える展開期待…!
(再レビュー:2023/06/25)
色々な方のレビューも参考に、冷静に整理してみた。
(評価自体は変えないが)
まず、確実に前作を観ていないといけないのがハードルとしては高め。
まだ2作目なのが救いか。
話の軸は「グウェンの視点からマイルズを描く」こと。
前作で目立った活躍のないグウェンが、
冒頭では「助けてくれたお礼をする」という目的でカノンイベントを阻止することになる。
カノンの原因は「親友のマイルズ」であり、
彼女にとっては非常に酷な選択。
「誰も失いたくない」という気持ちがある中で、
「マイルズは特別」という感情も抱いた結果、
今回のような非常に重い展開が待ち受けている。
このような内容も、
コミック調でビビットな配色、
細かな背景描写と表情のやり方で正に「アメコミらしさ」を演出しているのが素晴らしい。
例えば普通に殴っていたら「ったッ…!」みたいなセリフを、
敢えて「pow!」みたいな使い方をすることで、
「リアルを考えさせず、ワクワクするようなヒーロー像をそのまま落とし込んだ」ように思わせてくれる。
まじでアメコミ。
見たことなくても「アメコミやん!」と何故か思わせる…。
まぁ確かに拭いきれない重たさがあるのだが、
途中のお父さんとの若いシーンで、
水彩画のような淡いタッチに収めるなど、
「語らせずに魅せる」というのが本当にいい…。
「スパイダーマン」だけでも知っているなら、
「相手を理解することの重要性がわかるだろう?」的な意味合いがある気もするが。
さて、大まかなストーリーラインは確かにいいが、
改めて考えると説明不足だな、とは思う。
(僕自身が「そこまで」説明不足が無い、と言ったまで…)
基本的にカノンイベントの詳細が遅くなるので、
途中のグウェンが非常にうざったらしく思わせてくる。
彼女からしたら「カノンの原因のマイルズを巻き込んではいけない!」という葛藤があるからこその展開ではあるが、
初見では「マイルズのことを避けるグウェンは何?」となる。
コソコソ隠れてスポットをマークし、
マイルズの知らない誰かと会話をして勝手に縁を切られる展開。
果にはBパーカーと一緒に、
マイルズを傷付けず「スパイダーマンの運命を受け入れる」前作の展開をそのままにしてあげようと。
まぁここらへんはいいよ?
もうちょい早めな説明があればダレなかった気もする。
問題はなぁ、マルチバースの中心地だよなぁ…。
多分次作も説明はないんだろうな。
折角「すべてのスパイダーマン」と言っているのに、
(すべて説明しろとは言わないが)ちょろっとご都合主義で「マイルズの妨害ができるアースのスパイダーマン」を出しただけ。
確かに観客的にはテンポ感のあるストーリーがいいんだけどね。
逆に他アースのスパイダーマンを手抜きせず、
お一人お一人きちんと書いていたのは好印象。
しっかりと「愛がある」のは理解している。
だからこその「家族の絆」がこのシリーズに深く関わってくる。
…だめだ、マイルズの環境がちょっと…。
なんかなぁ…。
次作をこの量で回せるのか不安だな。
まだまだいくらでも伏線やら謎は張れるから、
あとはそれをどのくらいのペースで回収するか。
来年公開までに、
どうにか頑張って欲しい…