「スパイダーマンは悲劇性から逃れられないのか」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース bionさんの映画レビュー(感想・評価)
スパイダーマンは悲劇性から逃れられないのか
前作『スパイダーマン:スパイダーバース』が切り開いた映像革命の進化が止まらない。
コミックスとアニメの融合にとどまらず、あらゆるアート表現をこれでもかと見せつけてくれる。水彩画のタッチで心の揺れを表現するシーンなんかは、息を飲むほど美しい。
『スパイダーマン:スパイダーバース』の公開に遅れること2年、Netflixオリジナルアニメ「Arcane(アーケイン)」が、表現力でも迫力でもスパイダーバースを超えてしまった。自分は、そう思っている。
『アクロス・ザ・スパイダーバース』は、その「Arcane(アーケイン)」の一歩先に進んだ。絵画的表現とデジタル表現をミックスすることによって、異なる宇宙がビジュアルとして直感できる。
アクションのスピード、アングル、立体感は現時点で世界最高峰の完成度。スパイダーマンの粘着力を利用した逆さ風景は、一番記憶に残った。
今回は、時間の都合で吹き替えバージョンでの鑑賞だが、ベテラン声優陣による安定した演技でスクリーンに集中できた。1回目は吹き替えの方がいいかもしれない。
スパイダーマンは、ヒーローであるが故に悲劇から逃れることはできないのか?
ワイスピに続いて、思いっきりのクリフハンガー。いいでしょう、追い続けますよ。どこまでも。
追記
2回目は、満を持してIMAXで鑑賞。前作を再鑑賞して、BLACKHOLEチャンネルを見て、宇多丸師匠の解説を聞いた。あーもー、頭がいっぱい。
この作品は、アート。美しすぎる。アートすぎるあまりちょっぴり眠くなるのが玉にキズ。
絵の具の広がりでグエンの心情表現するところは、間違いなくハイアート。それでいて、モダンアートの虚構を破壊する。
吹き替えもよかったけど、オリジナルキャストの方が自分は好きだな。オスカー・アイザックのミゲルは渋くて、威厳がある。それにカノンの響きは英語の方がしっくりくる。