「【”夢を諦めるな!自分の道は自分で切り開け!”ノルウェー発青春ロックンロールロードムービー。クスリと笑えて、少し沁みるシーン多数。今作は、少年少女の心の成長物語でもあるのである。】」ロスバンド NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”夢を諦めるな!自分の道は自分で切り開け!”ノルウェー発青春ロックンロールロードムービー。クスリと笑えて、少し沁みるシーン多数。今作は、少年少女の心の成長物語でもあるのである。】
<Caution! 内容に思いっきり、触れています。>
■少年少女がノルウェーロック大会に出場するまでの、各メンバーが抱える背景がキチンと描かれている点が良い。
1.ドラマーのグリムの悩みは、ボーカルのアクセルが超音痴な事と、両親が喧嘩ばかりしている事。
- で、音響矯正装置を使って、見事に本選出場!。でも、大丈夫かい?-
2.ベーシストが欲しいと募集したら、遣ってきたのは9歳の勝気なチェロ奏者、ティルダだった・・。
- ティルダ。とても可愛い女の子だが、クラスの中では一人ボッチ・・。何でだろう。-
3.父が経営する自動車工場で働きながら、レーサーを目指すマッティン。一度は断るも、何故かグリムたちをノルウェーロック大会が開催される遠い北の町へ、兄貴が大切にしているバンで送る事に。
- 彼も又、何か曰くがありそうだ・・。-
■道中、彼らが経験した事が今作に可笑しみと爽やかさを与えている。
1.出発早々、花嫁さんの乗った車が故障し、教会まで乗せて上げる事に・・。
- で、感激した花嫁さん、パーティで彼らの持ち歌”キル・デス・デストロイ”を熱唱。
えーっと、結婚式のパーティでその歌はどうでしょうか・・。あー可笑しい。ー
2.グリム、憧れのドラマーに会いに行くも、冷たくされる事件。
- 憧れのドラマーは、ロックへの情熱を失っていた。そして、お前らの大会での姿を見てやるよ・・。グリム、辛いなあ・・。-
3.アクセル、自分の音痴に気付き、激しく傷つく事件。
- グリムが真実を言ってしまい、道中のカラオケ大会に出る事に。(ついでに、足りなくなったお金も調達予定。)けれど、アクセルの余りの音痴にブーイングの嵐。がっくり肩を落とすアクセルに代わってステージに立ったマッティンが見事優勝!ついでに、ティルダ、ヤジったおじさんにビールをぶっかけて”友だちを苛めるな!”と、一喝。-
4.ティルダ、家出と間違われ、警察に保護される事件。
- ティルダが、グリムたちに見せた両親の許可書は偽物だった。そして、彼女は警察に保護。けれど、機転を利かせたアクセルがティルダをチェロの入れ物に入れ、無事脱出かと思ったが、定年日だった人の好さそうな警官のパトカーに猛追される。ついでに、怒り狂うマッティンの兄貴と父も猛追。ティルダの的確なナビゲーターで逃げ切ろうとするも、目の前には工事中の橋が!
けれど、マッティンが披露する大ジャンプ!で無事、対岸に到着!
心中でキアヌ・リーヴスの「スピード」か!と突っ込むも、大変に爽快なシーンであった。
で、皆の気持ちも一つになり、アクセルはマッティンにボーカルを譲ることに・・。
”良いのか?”と優し気に聞くマッティンの表情。良い奴である。-
<そして、到頭会場に到着。だが、そこにはマッティンの父親が居て・・。初めて自分の想いを父親にぶつけるマッティンの姿。彼は、音楽の道に進みたかったのだ・・。
で、会場で彼らは自分たちのロックンロールを披露する。
見事な演奏に驚く観客たち。個人的にはチェロのティルダの演奏が凄いと思ったよ。
観客席には、グリムの両親と、アクセルの事を想う女の子の姿が・・。
グリムの両親は、涙ぐみながら肩を抱き合い、息子が演奏する姿を見ている。
そして、女の子が演奏後、アクセルの所にきて挨拶。マッティンは”女の子の気持ちが分かってないなあ、”とアクセルに一言。そう、大切な人は意外とすぐそばにいるのである。
グリムに冷たかった、ドラマーもスマホで彼らの姿を嬉しそうに観ている。
今作は、コメディ要素を絡めながら、夢を持つ少年少女たちが、共に旅をする中で、自分自身の夢を追う姿がとても良く、心に響く作品である。
旅は終わっても、彼らは以前よりも人間として成長している。
今作は、少年少女の心の成長物語でもあるのである。
<2022年5月15日 刈谷日劇にて鑑賞>