「【”罪と罰、そして赦し・・。”母子の複雑な関係性及び息子の母に対する想いの変遷を菅田将暉さんが、抑制した演技で魅せる作品。今作は哀しき物語ではあるが、柵を克服し、人を赦す大切さを描いた作品でもある。】」百花 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”罪と罰、そして赦し・・。”母子の複雑な関係性及び息子の母に対する想いの変遷を菅田将暉さんが、抑制した演技で魅せる作品。今作は哀しき物語ではあるが、柵を克服し、人を赦す大切さを描いた作品でもある。】
ー 若年性アルツハイマー型認知症に罹患した母は、僕に”半分の花火が見たい”と言った・・。-
◆感想
・ストーリーは、泉(菅田将暉)と母、百合子(原田美枝子)の現在と泉が小学生時代だった時を交互に、見せながら進む。
ー 今作は、泉と百合子の母子の過去と現在の関係性を8割がたの時間を割いて描いている。
そして、泉の妻、香織(長澤まさみ)と、百合子が一度だけ、生活を共にした浅葉(永瀬正敏)の4名で主要登場人物は構成される。-
・物語のトーンは、抑制されており、又、母、百合子の泉が小学生時代の一年間の”逃避”をどう見るかで、感想は変わって来ると思われる。
百合子に対するどこか、よそよそしい接し方をする泉の姿。
ー 個人的には、百合子の行動は許されるべきものではないと思う。
彼女の行動により、泉は心に深い傷を負ったのであるから・・。
更に言えば、浅葉と出奔した理由が、ピアノ教師と生徒の関係から、”同じ曲が好き”と言う理由だけで、愛息子を独り置いて行くだろうか・・、とも感じた。ー
・泉が母の部屋で見つけてしまった手帳。内容は映されないが、泉は内容を読み、吐瀉するシーン。それ程、泉にとっては衝撃的な事が書かれていたのだ。
ー ここは、百合子が浅葉と暮らしてた時に再会した旧友(神野美鈴)と喫茶店で、話している時の旧友の言葉”離婚なんか出来ない・・。子供がいるから・・。だから心の想いを手帳に書いているの。”という台詞とそれを聞いた百合子の表情が、効いている。ー
・そして、泉が百合子に対して、”あの時、何で俺を置いて行ったの・・”と血を吐くように言う姿。更に”忘れてるんじゃねーよ”と、荒々しく母に涙しながら言うシーン。
ー 菅田将暉という、俳優の凄さを改めて感じたシーンである。-
・ラストシーンも、印象的だ。ほぼ放心状態の母と息子が一緒に花火を見るシーン。
花火の下半分は、前の建物で隠れて見えない。
その前にも、妻が調べてくれた”半分の花火”のシーンがあるが、観る側が真の”半分の花火”が分かるシーンである。そして、泉はそれまで抱いていた柵から解き放たれ、確かに百合子に愛されていた事(一輪挿しのシーンなど・・)を思い出すのである。
そして、既に泉の事が分からない筈の百合子は、施設の近くのバス停で、泉を深く抱きしめるのである・・。
■私は、このシーンは百合子の泉に対する”詫び”と”愛しているんだよ・・”という、無意識のメッセージとして鑑賞した。沁みたシーンである・・。
<人間は”魔が差す”ことが偶にあると思う。それは、”大きな魔”であったり、”小さな魔”であったり・・。
今作は、母の犯した”大きな魔”により、深い傷を心に負いながら育った青年が、”半分の花火”を母と観る事で、確かに母に愛されていた事を思い出し、母を”赦す”切ない物語である。>
コメントありがとうございます!魔が差すことはあって当たり前だと思います。
ただ、幼少期の経験は人格形成に大きな影響を与えるでしょうし、そのときに居合わせなかった母、大事な人の元へ自分を捨て去り行ってしまった母への嫌悪感が冒頭公園で母を見つけたときに抱きつかれたのを拒絶したところに表わされたようで。それが自分たち夫婦が子を授かったときの不安感に繋がっているのだとしたら、それらを全て解き放ち赦せるだけ心を変化させる記憶の蘇りは並大抵ではないだろうと思ってしまい、最後にいずみが謝ることに違和感を覚えてしまいました。
そして、手帳を見つけ短時間で嘔吐するほどの衝撃的な内容が書かれていたとしたら尚の事心の溝は埋められないようにも思えました。
この作品は詳細な描写をせずに、捉え方は見た人それぞれに委ねたのだろう、だからこそ評価が割れているのだなと思います。
ですので、私の感想に対し丁寧にコメントしていただき、見終えてからまた深く考えることができてとても嬉しかったです!
ありがとうございました。
うーん、NOBUさんは、やっぱり優しい。会社ではいつも厳しい上司なので部下からは……とよくご謙遜されてますが、根っこの部分ではすべからく温かい目線でご覧になってるのが、あらためて分かります。
いつもありがとうございます。
とても分かりづらい作品でした。
菅田さん原田美枝子さんの演技は素晴らしく良かったのですが過去の映像が途切れ途切れで頭の中で繋げるのが大変でした。
私が痴呆になった気分を味わいました。