ヘルドッグスのレビュー・感想・評価
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良くも悪くも強烈な作家性
原田監督の映画を日本でいちばん長い日辺りから意識して見ているが、ほとんどの映画の特徴として「余計なものが極限まで削ぎ落とされたもの」を感じた。
この余計なものを極限まで削ぎ落とすものがドキュメンタリー風で人々の群像劇を描く場合は効果的に作用するのだろうが、こちらとしてはどうしてもテンションが上がりにくいという感覚がある。
結論としては今回の映画は自分には合わなかった。
そして今回の映画ではさらに長台詞が入ってきて組同士の対立関係をかなり早口で説明される。
この早口が映画全体の緊張感を高めてるのはわかるが、誰がどの立場でどういう利害関係なのかを理解するのにまず一苦労。
日本映画で字幕が欲しいと感じてしまった。
これが前作までのような「燃えよ剣(新撰組)」や「関ヶ原」だとみんなが歴史の授業で習った知識が前提であるから早口で進めてもまだわかったが、今回のような完全オリジナルの世界観だとそうもいかなかった。
なので序盤で少々置いてけぼりを食らったのも事実。
とはいえ後半にかけて、特に拷問場所での戦い以降は息もつかせぬ展開で誰がスパイで誰がスパイじゃなくて、誰が殺して殺されるのか予想外の展開が続き、かなり惹き込まれた。
演技面でははんにゃの金田さんが「燃えよ剣」に引き続いて素晴らしい演技。
賢いが肝っ玉の小さい具合が絶妙。
最後の坂口健太郎さんの部分はこの2人のバディの掘り下げが甘かった?ので今ひとつ。
というかこの作品はバディ物だったんだろうか。
原作未読なのでわからないが、宣伝が勝手にバディ物として売ろうとしたのか、それとも原作からバディ色強かったけど上手く出せなかったのかどっちなんだろうか。
かつて新宿で派出所勤務を出月梧郎(岡田准一)。 警官時代に近くのス...
かつて新宿で派出所勤務を出月梧郎(岡田准一)。
警官時代に近くのスーパーで強盗殺人事件が起き、密かに恋心を抱いていた若い女性も殺されてしまった。
それから警察を辞め、犯人を追って復讐を遂げていた。
その復讐行は警察組織対策課の知るところとなり、ヤクザ組織「東鞘会」壊滅のための潜入捜査官としてスカウトされる。
組織での相棒は、プロファイル上、最適とされた若き組員・室岡(坂口健太郎)。
兼高昭吾と名を変えた出月は、室岡とともに、組織最高幹部の土岐(北村一輝)のもとで、名を馳せる存在となっていった・・・
といったところからはじまる物語で、香港映画『インファナル・アフェア』シリーズあたりから一つのジャンルになっている潜入捜査官モノ。
いわゆる「なりすまし」モノの変型なので、映画の軸足の一方は、正体がバレるかバレないか、というところにあるのだけれど、本作ではその要素は薄い。
ハードなアクションの連続で見せ場を繋いでいくのだが、そこんところの弱さがドラマの弱さになっていて、どうもハラハラしないです。
代わっての要素は、組織壊滅ができるのかどうかというサスペンスで、ここのところは終盤の作戦(一気にラスボスを含めて最高幹部殲滅)が面白く、うまくいくのかとそこそこハラハラします。
(とはいえ、次から次へと登場する潜入捜査官には苦笑させられましたが)
で、観終わった印象は、あれれ、アクション映画なんだっけ? それとも別のジャンルだったけ? といったもので、映画の底流に兼高&室岡のバディが男臭さを通り越しての背徳的匂いがするから。
映画の物語の終わりは、兼高(=出月)が土岐の愛人(松岡茉優)に抱き留められるところなのだが、映画のラストショットは兼高と室岡の出逢い、兼高が室岡を背後から羽交い絞めにするところで終わっています。
ということで、この別の意味の男臭さがこの映画の面白さを担っているとも言えますね。
ロケーションを含めて美術は秀逸、画面の厚みで飽きないようにできています。
なお、タイトルは『ヘルドッグス』なのですが、タイトルバックの英語では「HELLDOGS IN THE HOUSE OF BAMMBOO」と書かれています。
なるほど、サミュエル・フラー監督『東京暗黒街・竹の家』へのオマージュですかね。
魅せるアクション、ストーリーがとても良かった
最近みたヤクザもの(と言えるのかは微妙ではあるが)の中では1、2を争うのでは無いかというレベルで面白かったです。
やはり岡田さんのアクションは安定感があると思いました。ガンアクションが特に派手で良かったです。
個人的にはロケとセットにこだわりを感じました。
また観に行きたいと思います。
好きな内容ではないけれど、めっちゃいい
内容的にちょっと…と思って観賞をためらっていたけれど、実際危惧した内容ながらも、作りが非常に巧妙で、かなり見入りました。率直にすっげえ面白いの一言。
台詞がかなり多めで、カットも多い─故に細かな内容についてついていけないところもあったけれど、それも狙いというか、頭に入ってこないところはそのように仕立て上げられているような─終わってみればそういう印象でした。非常に考え抜かれた映画だったような気がします。
映像も素晴らしくて、豪華キャストと優れた演技も相俟って、見応えがありました。
面白かったのだか…
そこそこ面白かったのだが、坂口君のサイコパス役はハッキリ言って似合わない(悪役が出来るかどうかも疑問⁉︎ファンにはごめんなさい)のもあるが役の設定自体がそもそもサイコパスでは無かった。セリフが聴きづらい所は字幕にするべきでは。それと警察がヤクザ組織を壊滅させる為に多数を殺す指令を出すとは到底思えない。たとえ裏組織であったとしてもだ。また主役の正体がバレる所が安直過ぎてつまらない。もう一捻り欲しい所。それから、一つの組にアンダーカバーが3人も潜入すると言う設定は余りにも無理くり過ぎないか。
原田眞人という監督について、あくまで個人的な意見。
ヤクザ映画は高校生の頃から好きで大抵の作品は見ている。映画通ではないし、少なくとも邦画に関しては監督の名前で映画を見るかどうか決めることはない。が、原田眞人という監督に関しては良い経験がない。魍魎の匣(2007)は原作は素晴らしかったのに映画は最悪(勿論全て監督のせいではない)、関ヶ原(2017)は題材もキャストも申し分なかったのに無駄に長い時代劇になってしまった)、検察側の罪人(2018)は近年稀に見るひどい映画でやたらとセリフが聞き取りずらかったのを覚えている。そもそも初めて彼の名前を知ったのは2003年にラストサムライを観た時で俳優としてだった。下手な英語を話す性格の悪そうな役柄で目立っていたので映画を見た後ですぐ名前を調べた。そもそも原田眞人も阿部寛(魍魎の匣)も極めて滑舌が悪い。検察側の罪人でも今回のヘルドッグでも役者の一部が明らかに意図的に聞き取りにくいようにセリフを言っているのは恐らく監督の指示だろう。この監督はこういう喋り方が良いと思っているとしか思えない。そしてそれは観ている側には大変辛い。にも関わらずこの映画は楽しめた。主因は恐らく岡田准一の演技だが、クラブでのシーン(吉原光夫の歌を含めて)が実に良かった。坂口健太郎のキャステイングに関しては未だ評価が難しい。最後に大きな疑問。。。日本の警察はこんなに有能なのか?そして大きなヤクザ組織はここまで間抜け(エージェントだらけ)なのか?
一大暴力団に潜入した土竜の正体はあの実在未解決事件の所轄警官?! ガチムチ、細マッチョ選り取り見取りの血みどろBL映画
邦画のアクション作品にしてゴリゴリのヤクザ映画ですが、警察がターゲット組織に潜入する"土竜"のお話でもあり、さらには屈強な男たちが冷厳な世界の中でほれ込んだ男に命懸けで尽くすBL作品でもあるという幾重にも楽しめる一本…。
原作は深町秋生さんのハードボイルド小説ですが、映画化に際して大胆に設定変更や登場人物追加が為されているようで、大きなところとしては実在の未解決事件である90年代半ばに発生した八王子のスーパーでの拳銃殺人事件がモチーフとなっており、主人公とその相棒の出自に深く関わっています。
勢力争いを制した組織が一夜にして瓦解していく退廃の極みと、結局は傍観していた国家権力がちゃっかり目的を達成するラストは徒労感も感じますが、それでもそれぞれの信念と美学に散っていった狂犬たちが眩しく写るのは同監督の時代劇作品の侍たちの姿に擬えられているところもあるのかもしれません。
本作によって、ガチムチのコワモテの方々だけでなく、眉目秀麗な男優さん方がメインを張ってもこれだけ骨太なヤクザ映画が成立する、ということが立証されたように思います。
アクション見たさで
岡田准一さんのアクションは勿論、坂口健太郎さんも楽しみだった。ヤクザ映画はあまり見ないので組織関係がよくわからなかった。聞き取りずらさもあったし。意外な出演者たちも見所。終始MIYAVIが綺麗。杏子さんかな?と思ったら、やっぱりそうだった。
心に残る映画、とは違うかな。鮮やかな格闘だった。
何がなんだか。
血はすごいけど意外にグロテスクではない。
ただ、何がなんだか。
誰と誰が敵で、どんな流れでバトルになって、ん???
みたいなことが何度も。
絶対に適切ではないけれど、字幕必要。
バトってて聞き取れないことも。
MIYAVIさんは終始キレイだった。皆が、岡田さんすら血みどろでも白スーツ、汚れなし。
続編あるのだろうか、右近さんが謎過ぎる。
カメオ出演か?
岡田くんが超絶セクシー。髪型、髭セクシー。
だけど、同じアクションならファブルが良かったなぁ。
アクション??
アクション映画だけどもっと見せ場あったのか?私がアクションの良さをわかれないのか…
岡田准一くんの一流のアクションということで楽しみに鑑賞。
数日前にドラマで坂口健太郎くんをみていた印象のままでヘルドッグス鑑賞…
ガリレオの映画鑑賞の後に鑑賞したので役者さんかぶりの多さ…。
ストーリーも潜入捜査のわりにドキドキ感なし。
結末は意外にあっさりまとまるところが残念かな…
キャラ的にはやはりファブルがはまるかな?
面白かった。138分と長くて原田眞人だから許されるのであろうかその冗長な部分も楽しめる映画好きのおっちゃんが撮ったやりたい放題の傑作クライムアクションである。思えばステディカムによる撮影技術の進歩が大きいと思われ以前は出来なかったカメラワークが容易にできるし撮影部や照明部の専門性というか演出部との垣根が低くなり監督が思い描くコンテを忠実に撮れる時代になったという事なのだろう。日本映画はフィックスのイメージが強かったが今ではハリウッドと遜色無くなった。坂口健太郎がすごく良いのだがやんぬるかな岡田准一の身長が低くバディを組むとコミカルな雰囲気を醸し出し「ファブル」のイメージも重なって困る。ひらパー兄さん岡田くんはやはりジャッキー路線を踏襲するしかないのであろうか。
作品の世界と、役者の「気」に酔いしれる。
原田眞人監督作品は「関ヶ原」「燃えよ剣」についで3作目です。ただ、前2作は歴史好きで原作を読んでいたため、台詞が早口でも何となーく「今この辺やろうな」っていうのがつかめていました。
しかし今度は現代劇。しかも原作未読の「ヘルドッグス」。
どうなるか?と半分不安で上映を待ちました。
結果、杞憂に終わりました!筋は至って単純。単純だからこそわざと台詞は早口なんでは…?いや暴力団とか欧米の支援団体も聞き取りにくい名前なのはもはやわざとなんでは…?とでも思ってしまうくらい(笑)、まぁ早口。
でも原田眞人監督は、そこが気にならないくらい(個人的にですが)吸引力のある映像で観る者を惹き込んでくれます。そしてそれに応える役者の皆さんの演技。世間一般に知られていない役者さんでも目を離さずにいられない魅力を放っていました。
坂口健太郎はあまり好きではなかったんですが、今までのナヨっとした役から思いっきり振り切れた演技をしていて、「上手いな」と単純に思いました。
ナイスキャスティングです!
あ、岡田准一は言うまでもないです笑
「軍師官兵衛」から応援してます。いや、「木更津キャッツアイ」かな?
【良かった点】 アクションシーンは圧巻!、邦画でこんな骨太アクショ...
【良かった点】
アクションシーンは圧巻!、邦画でこんな骨太アクション魅せてくれるってだけで十分元取れた印象。個人的にダークな主人公感が岡田准一にマッチして最高だった。狂った坂口健太郎も見事で、役柄でこんなに振れ幅ある演技ができるのか、と唸ってしまった。
【良くなかった点】
終始早口でトークするため、たまに聴きとれない部分があった。スピード感、ライド感は素晴らしいが、その速さにこの早口が乗っかるとずっと集中して聴いていても、ん?となる場所がちらちらあった。
原作の根幹を変える改編は改悪としか言いようがない
原作読了済。
素晴らしかった!と言いたかった。。
残念極まりない。。
ヘルドッグスのミソは警視庁の組織犯罪対策部の新米刑事 出月吾郎が東京を牛耳る暴力団のトップに君臨するドンの暗殺と殲滅を最終目的に極秘裏にその捜査対象の暴力団に潜入し、兼高昭吾というキラーになり時として人を殺め、日々暴力の世界に身を埋めるが警察官としての正義感を失いそうで悩み葛藤する切ない物語のはず。
なのに、何ですかこれ?
この作品に出てくる兼高昭吾は初めから元警察官で恨みを晴らす為に生きているキラーそのもの。悩み苦しみ葛藤するシーンはなしですか?それだけならまだ許せる。日本最大の暴力団西の華岡組神戸が氏家勝一と繋がってた?は?そして、家族をも巻き込む頭の中のネジが吹っ飛んでる阿内隊長の武勇伝や私怨はスルーですか?連絡係の衣笠典子さん、最後は必殺仕事人ですか。。
原作を読んだ時からこの作品の虜になり映画公開を楽しみにしてましたが、とんだ駄作に出会うとは思いませんでした。とは言うものの全く面白くなかった訳ではない。岡田准一のキレッキレのアクションはもはや安定の定番見ていて引き込まれそうになる。だからこそ、とても残念でならない。
原作に忠実に作って欲しいとは思わない。改編も時には有りだと思う。しかし、物語の根幹を変えてしまう改編は改悪としか言いようがない。
白石和彌監督ならどう撮ってただろう。そう思わざるを得ない。
名匠の劇薬
このところ暴力や流血シーンの多い映画には辟易していたのだが、敬愛する名匠・原田眞人監督と、贔屓にしている岡田くんがまたタッグを組むとなれば、観に行かないわけにはいかない。しかも潜入捜査モノとなれば、なおさらだ。
というわけで、『ヘルドッグス』。
期待どおり、とても見応えがありました。
滑稽と言えなくもないストーリーだけど、そこは名匠の手腕で、スケールの大きな、格調高いエンターテインメントに仕上がっています。
先日観た、同じく裏社会を描いた『グッバイ・クルエルなんとか』という映画とは、もう格が全然ちがう。
まるで「ダーク・シンフォニー(闇の交響曲)」とでも言うべき、壮大な音楽を聴いているような趣さえ感じました。
通奏低音のごとく作品を貫く緊張感。次は何が起きるのか、そろそろこのへんで何か起きるだろう、とハラハラドキドキ……。
なんと言っても、監督が役者たちそれぞれの持ち味を十二分に引き出していることがこの映画の大きな魅力となっています。
名匠のつくり出した劇薬で、脳内が活性化されました。
どうせウソをつくなら、これくらい派手にやってくれると気持ちがイイってもんだぜ、兄貴 ✌️😎
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