「雰囲気で押し切っているだけの映画。」ヘルドッグス とるこさんの映画レビュー(感想・評価)
雰囲気で押し切っているだけの映画。
ツッコミどころっていうか、この映画しっちゃかめっちゃか。
説明も出来てない。
テンポが早過ぎたり、遅すぎたりする。
まず兼高(出月)が元警官ながら殺しの鬼になった理由が意味不明。
警官がなんで女子高生と良い仲になりそうな描写があるの?
近所の幼馴染の女の子とかにすれば良いのに。
兼高は警官なのに倫理観が欠けてるって暗喩なら描写が足りない、弱い。
最後で女の子たちが死んだ経緯が判明するけど、お粗末。
それと、人間関係や組織が入り組んでいて難しいなら図解なり説明シーンなり思い切って入れちゃったほうがいいでしょ。
そこで兼高と阿内に会話させながら人間関係を線で結んでいくとかさ。
阿内がペラペラ喋ってるだけでは覚えられません。
あと全編通して食い気味なセリフ。
会話として全然リアルじゃない。
十朱の護衛につくルールで「すぐ捕まるから運転には気をつけろ」って言われた直後のシーンで狭い路地を爆走する描写。
え?
で、捕まらないよう目立ちたくないはずなのにバキバキにカスタムした真っ白いハマー。
ギャグですか?
整合性なし。
あと室岡のロマンスと家族設定必要?
大して筋書きに関わってこないし、サイコになった理由づけにしたいなら無理やり過ぎる。
兼高の正体を裏付けるのに必要だとして、なんでそんなにまどろっこしい回り道が必要なの?
劇中、突然出てくる詩的な表現の理由も回収もない。
副題にまでつけた「ハウスオブバンブー」の描写・理由づけも弱過ぎる。
松岡茉優と兼高がデキてるのは最後に繋がるだろうから良いし、お互いが潜入してるって事を知らないとかそこら辺はまあ良いやとは思うけど、象牙の話まで盛り込んだら観客は頭こんがらがるよ。
詰め込みすぎ。
その他にも溜息をついちゃうくらいイライラするような点はたーーーくさんあります。
救いとしては「演技が良い」だけ。
それ以外は全部ダメ。
役者さんたちは台本どおりに指示された通りにやったんだろうから台本と演出がポンコツ。
金かけたダメ映画のお手本みたいな感じ。
あとね、これは声を大にして言いたいんだけど、日本映画ってなんでセリフの音量小さいの?
アクション時との音量差もあり過ぎて、めちゃくちゃ聞き取りづらい。
今回セリフだけではなかなか組織も人名も複雑で分かりづらいのに、聞き取りにくくては何も理解できない。
過去10年でワースト3に入る。
出ているキャストがよほど観たい!という人以外はお勧めしません。