「いい雰囲気の映画ではある」ヘルドッグス えーかーさんの映画レビュー(感想・評価)
いい雰囲気の映画ではある
まず完成度は高いと思った。
チャチな邦画が乱発される中、雰囲気も良い。
だから途中離脱することは無かったが、それだけに惜しいところが目についた。
まずセリフが早すぎる。
これは早口ということでも声が小さいということでもない。
相手がしゃべったことに対してレスポンスが早すぎる。
漫才ならそれでも良い。練度から来るテンポが面白さとして加点される。
けれどこれは一人の男と闇社会の生き様を描く映画であって、
舞台劇でもなければ漫才でもない。
相手のセリフがわかっていないとあり得ないような返事のスピードでは
リアリティに欠ける。
次に血しぶきがCGすぎる。
銃の命中率にバラつきがあるのはアクション映画あるあるなのだとして、
血しぶきがいかにもなCGなのが惜しい。
あれでは説得力が出ないので、大変だろうけれど他の方法で演出してほしかった。
最後に、これは好みの問題もあるだろうが、
海外を意識してのことなのか、殊更なアジア感が少し嫌だった。
似たような例としてキル・ビルなどがあるが、あれは海外の制作陣が
言わば日本文化をイジっているような形での表現なのでまだ良い。
だけれどもこれが日本が制作したものとなると、
なんだか海外の顔色を伺っているような印象でなんだかなぁと思った。
まぁNetflixで公開してる時点で意識するでしょと言われればその通りなので
前述の通り好みの問題ではあるのだけど、
なんだか日本映画なのに韓国映画を見てるような気分だった。
とまぁここまで惜しいポイントを列挙していったものの、
それをこんな長文でお送りしたくなるくらいには良い出来だったと思う。
格闘をするにあたって説得力のある岡田准一の肉体と所作も良かったし
MIYAVIはこの雰囲気に華を添えるにはピッタリだった。
銃の扱い方もぎこちなさは無かったし、ナイフによる近接戦闘も良かった。
なにせ日本人なもので、有名俳優は他作品がチラついたりするものだが
それを考慮したとしても、全体としては良い出来だったと思う。