「良くも悪くも強烈な作家性」ヘルドッグス よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くも強烈な作家性
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原田監督の映画を日本でいちばん長い日辺りから意識して見ているが、ほとんどの映画の特徴として「余計なものが極限まで削ぎ落とされたもの」を感じた。
この余計なものを極限まで削ぎ落とすものがドキュメンタリー風で人々の群像劇を描く場合は効果的に作用するのだろうが、こちらとしてはどうしてもテンションが上がりにくいという感覚がある。
結論としては今回の映画は自分には合わなかった。
そして今回の映画ではさらに長台詞が入ってきて組同士の対立関係をかなり早口で説明される。
この早口が映画全体の緊張感を高めてるのはわかるが、誰がどの立場でどういう利害関係なのかを理解するのにまず一苦労。
日本映画で字幕が欲しいと感じてしまった。
これが前作までのような「燃えよ剣(新撰組)」や「関ヶ原」だとみんなが歴史の授業で習った知識が前提であるから早口で進めてもまだわかったが、今回のような完全オリジナルの世界観だとそうもいかなかった。
なので序盤で少々置いてけぼりを食らったのも事実。
とはいえ後半にかけて、特に拷問場所での戦い以降は息もつかせぬ展開で誰がスパイで誰がスパイじゃなくて、誰が殺して殺されるのか予想外の展開が続き、かなり惹き込まれた。
演技面でははんにゃの金田さんが「燃えよ剣」に引き続いて素晴らしい演技。
賢いが肝っ玉の小さい具合が絶妙。
最後の坂口健太郎さんの部分はこの2人のバディの掘り下げが甘かった?ので今ひとつ。
というかこの作品はバディ物だったんだろうか。
原作未読なのでわからないが、宣伝が勝手にバディ物として売ろうとしたのか、それとも原作からバディ色強かったけど上手く出せなかったのかどっちなんだろうか。
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