劇場公開日 2022年9月16日

「一大暴力団に潜入した土竜の正体はあの実在未解決事件の所轄警官?!  ガチムチ、細マッチョ選り取り見取りの血みどろBL映画」ヘルドッグス O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5一大暴力団に潜入した土竜の正体はあの実在未解決事件の所轄警官?!  ガチムチ、細マッチョ選り取り見取りの血みどろBL映画

2022年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 邦画のアクション作品にしてゴリゴリのヤクザ映画ですが、警察がターゲット組織に潜入する"土竜"のお話でもあり、さらには屈強な男たちが冷厳な世界の中でほれ込んだ男に命懸けで尽くすBL作品でもあるという幾重にも楽しめる一本…。
 原作は深町秋生さんのハードボイルド小説ですが、映画化に際して大胆に設定変更や登場人物追加が為されているようで、大きなところとしては実在の未解決事件である90年代半ばに発生した八王子のスーパーでの拳銃殺人事件がモチーフとなっており、主人公とその相棒の出自に深く関わっています。
 勢力争いを制した組織が一夜にして瓦解していく退廃の極みと、結局は傍観していた国家権力がちゃっかり目的を達成するラストは徒労感も感じますが、それでもそれぞれの信念と美学に散っていった狂犬たちが眩しく写るのは同監督の時代劇作品の侍たちの姿に擬えられているところもあるのかもしれません。
 本作によって、ガチムチのコワモテの方々だけでなく、眉目秀麗な男優さん方がメインを張ってもこれだけ骨太なヤクザ映画が成立する、ということが立証されたように思います。

O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)