劇場公開日 2022年9月16日

「これは監督の責任」ヘルドッグス キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5これは監督の責任

2022年9月23日
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原作未読で言うのもナンだけど、これ、お話はすごく面白いと思うんだ。

役者陣もすごく魅力的だし一人一人が輝いてる感じに溢れてる。

なのに。

人名が山ほど出てくるものの、ちゃんと整理してくれないし、顔写真も一瞬で、名前の漢字だけでも分かればもう少し頭に入るのに。

セリフはホントに聞き取り難くて、「この会話、日本語じゃないのかな?」と思う箇所も複数。

私の老化という問題を棚にあげて言うが、説明のためのセリフが早すぎて多すぎて不親切すぎる。

結果的に、私はストーリーにリアルタイムでついて行くことはほぼできず、「この人とこの人が今こうなってるってことは、ああ、あの時のアレはそういうことだったんだろうな。」と、状況を見て後から答えを探すことの繰り返し。

種明かし的に差し込まれる回想シーンも、「そこの回想いる?」「もっと知りたいこといっぱいあるんですけど」という感じ。

…と文句ばかりの割にちゃんと点数を付けたのは、前述したとおり物語が面白そうだ、ということと、役者達の存在感がすごかったから。

岡田くんは、これまでも「凄い」とは聞いてたけど、体術のキレはもちろん、もうあの身体の分厚さを見せられただけで「タダモノ」じゃないことがよく分かる。

熊さん役の方も良かったし、MIYAVIやはんにゃ金田も上手かった。もちろん安定の北村一輝に松岡茉優。

坂口孝太郎もすごく良かったけど、あの善良な顔のお陰で、最後まで「サイコ野郎」であることを飲み込めず、「おいおい、急にどうした?」と思うことが多かったかな。

とは言え、役者達の魅力でずっと見ていられたというのは大げさではない。

そう考えると、これだけ面白くなる要素を含んだこの映画を、面白く見せることができなかった監督の責任は重いと思わざるを得ない。

字幕付きなら随分印象は変わったかもね。

キレンジャー