「地獄の犬に鎖は無用【通算400レビュー記念】」ヘルドッグス マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
地獄の犬に鎖は無用【通算400レビュー記念】
原田眞人
静岡は沼津出身の
映画ライター出身の映画監督
役者の好きなように演技させ
編集でスパッとまとめてしまう事で
脇役のキャラを利かせながら
非常にテンポの効いた作風が特徴
どんなテーマでもどこか度肝を抜く
エンタメ性を忘れず
SFからアイドル映画から史実ものまで
なんでも撮れるなかなかいない存在
通算レビュー400本目は
そんな原田監督が近作「関ケ原」
「燃えよ剣」で組んだ岡田准一
主演の今度は現代が舞台の
バイオレンスアクション
でどうだったか
今作も十分面白かったです
ヤクザ社会でトントンのし上がる
様をハイテンポで描きながら
印象的なロケーションも生かし
世界観で引き込んでくるので
台詞が早口で聞き取れないとか
べつにそんなとこは関係ない
くらい話も入ってきました
とにかくテンポ重視
それでいて2時間フルスロットル
ようやっとる
警官の職を捨て
個人的な復讐を果たし抜け殻となった男
出月梧郎(いでづきごろう)は自首するも
警視庁の組織犯罪対策本部の阿内に拾われ
東鞘会(とうしょうかい)内部に
兼高昭吾(かねたかしょうご)として潜入
詳しくは後で明かされますが中で出世する
ことを命ぜられます(ちゃんと報酬制)
そこから1年後
兼高は出世して東証鞘会トップ十朱(とあけ)
の直下に使える神津組トップの土岐の片腕
東鞘会は跡目争いから抗争が絶えず
十朱は抗争を終わらせるために様々な
工作を仕掛けながらも身を守るため
ボディーガードを配下から募りますが
兼高は弟分の室岡とその選考に望み
勝ち抜いて2チーム制の警備担当
十朱が率いる現行の東鞘会は
外見は一般企業を装っており
十朱自体は男の絆で囲まれた社会が
国家権力をも越える正義を
実現できると公言し
ヤクザの福利厚生に使える施設の
建て直しまで考えているなど
私利私欲が当たり前の暴力団の
中にあって異色の存在
兼高は壊滅が目的でありながら
立場上十朱を守る任務は
とりあえず全うすると
阿内には告げます
兼高はこの十朱のひと味違う感じを
いち早く察知していたのです
十朱は急進的に東鞘会のトップになった
事で本当に狙われており
警察も組織の解体にあの手この手
海外の架空のヒットマンを雇った
情報などあることないこと流し東鞘会を
攪乱しようとします
そんな中で十朱は関西最大の暴力団
華岡組トップの俵谷を買収し
抵抗勢力の黒幕をバラすよう
迫りますがその現場でホステスに化けた
殺し屋を兼高が見破り暗殺を阻止
土岐は俵谷に渡した金に付けた発信機を
たどって(裏切り確定の)俵谷を始末
兼高はその殺し屋を尋問し始末する
「処理場」に十朱らと行きますが
それもワナで殺し屋の身体に
付けられた発信機から
十朱の場所がバレてしまい
そこへ暗殺部隊がなだれ込み
なんとか兼高らは十朱を
守れましたが片腕だった
熊沢を失ってしまいます
十朱は自分の迂闊さを痛感
しますが熊沢の後釜には
すぐ兼高を指名します
これで室岡とのコンビも解消です
でね・・
この室岡は
親が死刑囚で様々な虐待を受けた
結果精神が崩壊して壊れちゃった
危険な男といった感じで
兼高の正体に東鞘会側から迫る
重要な役なんですが
まぁハッキリ存在感が薄い!
演じている坂口健太郎
「仮面病棟」「劇場版シグナル」
など観ましたがどれも服に着られてる
感じの印象に薄い演技しかできない
ドラマ俳優の壁を破れない感じ
まぁ原田監督の作品は役者に演技
そうさせないしなと思ったんですが
この映画登場人物のキャラクターが
全員濃く付けられているのもあり
役者側のキャラが強く出ちゃってる
んですよね
山田裕貴や村上虹郎のほうが絶対
ハマったと思います
十朱のMIYAVIはかなり
ハマってましたね
この映画のヤクザはヤクザって
いうか変な人大集合って感じなんです
で
兼高がそこまで出世した段階で
阿内は十朱が持っていて
それのせいで手が出せないから
警察内の機密ファイルを取り戻してこい
という本当の目的を明かします
また土岐の女や情報を流す
マッサージ師の衣笠もそれぞれ
自らの復讐のために東鞘会の
トップらを始末しようとします
この辺から急に必殺仕事人みたいに
なります
兼高はボディーガードらを打倒し
十朱に接近しますが十朱は自ら
自分が潜入捜査官だったことを
明かしそこで兼高がやはりという
反応をしたことで兼高の正体を
暴き・・国家権力より正義を
貫ける力を持った自分の組織に
改めて兼高を引き入れようとします
しかし地獄の犬に鎖は無用
サシで十朱を始末してしまいます
さてこれで終わったかと思ったら・・
室岡が兼高の女を連れて
来るよう要求してきます
ここは前述の存在感の関係もあり
そういえばいたね感があった
そして女々しくゴネゴネ
したあげくあっさり眉間を
撃ち抜かれます
ヤクザ者のあっけない最期
ってのもあるんでしょうが
移入は出来ないねぇ・・
室岡のパートはあの
犯罪被害者の集まりといい
話から浮いてた感じでした
もっと自然なやり方が
あった気もする
とはいえ骨太のアクションも
よくできており最後まで飽きさせない
いい作品になっていたと思います
坂口健太郎はどういう役が
いいのかねぇ