「こどもずかん」ゴーストブック おばけずかん 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
こどもずかん
去年は妖怪が現れたものの、日本の夏の映画からおばけがいなくなって久しい。
私がまだ小学生の頃は『学校の怪談』や『トイレの花子さん』があったもんだ。
別に怖い心霊ホラーでなくていい。それはJホラーがやってくれる。
見たいのは、ちょっぴりのハラハラドキドキと、冒険と、一夏の出会いと別れ、ノスタルジックな気分に浸らせてくれる、子供たちのジュブナイル・ゴースト・ファンタジー。
ある地方都市。仲良しの小学生男子3人組、一樹、太一、サニー。
祠に願い事をしたところ、“図鑑坊”と名乗るおばけが現れ、導かれるまま、奇妙な古本屋で“おばけずかん”を手に入れる。
外に出たら、そこは…
パッと見は同じ。
でも、よくよく見ると、違う。
不思議な異世界に迷い込んでしまった…。
この異世界のビジュアルが秀逸。
町並みなどほとんどは同じ。でも…
看板など見た事ない読めない文字。
家の外観に奇抜なデザインが。その中では、部屋が動いたり…!
三角コーンなどが勝手に動く。
山の形が違う。
その山の向こう。断崖絶壁…!
まるで、この異世界に閉じ込められたよう。
この世界は一体…?
謎はまだまだ。
自分たち以外誰もいない。子供も大人も。
どうやらこの世界にいるのは、自分たち3人と、“巻き込まれて”迷い込んでしまった臨時教師の遥子先生。唯一の大人だけど、頼り無さげ…。
“先客”が一人。3人と仲良しの女の子、湊。
が、湊を見て、3人は驚く。
何故なら、今湊は…。
異世界で出会った美少女に“秘密”は付き物。
夜になったら、“住人たち”が徘徊し始めた。
おばけ。
ここは、ほとんどは同じだけど、ちょっと違う、おばけが住む世界。
何故、こんな世界に来てしまった…?
やっとここで“おばけずかん”の出番。
白紙だったページに、突然何かが書き込まれる。
一体のおばけの絵と説明。あの図鑑坊だ。
召還して事情を聞くと…
ある“願い”の為にこの世界に送られた。3人、心当たりあり。先生は“巻き込まれ”だけど。
その願いを叶える為には、あるミッションをクリアしなければならない。それは…
おばけずかんに記されたおばけを捕まえる事。
ずかんの表紙に記された数字から、残るおばけは後6体。(すでに捕まえた図鑑坊を含め全7体)
表紙には数字の他に、何かの記号が。タイムミリットを示しているのか…?
尚、捕まえたおばけは困った時に“お助けキャラ”として呼び出せる。
何だかゲーム感覚。
異世界で繰り広げられる“リアルポケモンGO”…いや、おばけハントの開始!
出てくるおばけたちは…
見た目は可愛いけど、ちょっと生意気。度々手助けする“図鑑坊”。
“ヤッホー!”と言えば返ってくる。でも汚い言葉には、怒って本体が飛んで来る“山彦”。
その身体で相手を絞め、ちょっとキザで綺麗好き。空飛ぶおばけの代表、“一反木綿”。
死角ナシ! 時代劇な性格で、攻略するには目をしみらせろ! “百目”。
ぶら下がり禁止。つぶらな瞳であの世へ連れていく“雲梯”。
その鏡の前でボヤいたら面倒な事はやってくれるけど、その代わり…。分身も出来る“身代わりおばけ”。
コミカルだったり、なかなか厄介だったり。“お助けキャラ”としてもここぞという所で活躍。
豪華声優陣が担当しているのも注目。
アナログ感を残しつつ、おばけたちはフルCGで表現。
図鑑坊のモフモフ感、百目の質感など、非常にリアル。
CGで創造した世界観のビジュアルも見事。
山崎貴×白組のハイクオリティーVFXは安心安定。
CGを多用した今年の邦画は『シン・ウルトラマン』が話題だが、クオリティー的にはこちらの方が上。
本作のような作品は子供たちの魅力あってこそ。
真面目だけど役立たない自分を嘆く城桧吏、クールぶってる芝崎楓雅、いじられキャラだけどちょいちょいナイス活躍のサニーマックレンドンが各々好演。『万引き家族』の城桧吏クンの成長ぶりが話題だろうけど、人懐っこいサニーくんが良かった。
オーディションで選ばれたという吉村文香は拾い物。キュートで明るくて儚げで、こういう作品に必要な美少女ヒロインの魅力を発揮。
子供たちと並んでもキュートさ見劣りしないガッキー先生はやっぱりスゲェ。空回りでチームTシャツがダサイ?カワイイ?けど。(にしても、主題歌を旦那担当とは…)
神木クンも一緒に冒険するのかと思ったら出番少なくて違ったね。
3人の願いと、湊の秘密。
3人の願いは同じ。“湊が元気になって欲しい”。
実は、現実世界の“本物”の湊は今、事故にあって入院中。昏睡状態。
もし、湊が事故に遭う前に戻れたら…。
3人の純真で強い願いが、この試練に選ばれたのだ。
おばけハントは後一体。時間を戻せるおばけ。
“ジズリ”。ラスボスに相応しい強敵。見た目はおばけというより、もはや怪獣!
タイムミリットも僅か。そのタイムミリットはこの世界に居られる残り時間ではなく、現実世界の湊の命であった…。
オチについてはやはりな予定調和。
他のおばけとは比べ物にならないジズリの強さに、大ピンチ!
が、絶対に諦めない。絶対に湊を救う!
おばけずかんのおばけたちの力も借りて、子供たちが見せる知恵と勇気!
さすがに湊が…って展開にはならなかったけど、それとは違う切なさ。ある別れ。
まあおそらく、賛否分かれるだろう。
山崎貴監督の作品自体賛否になる事多いが、それとは別に、
子供向け、子供騙し、ちっとも怖くない。…
いいじゃないか、これで。
真面目な作品が見たいなら『ドライブ・マイ・カー』を見ればいい。
怖いホラーが見たいなら、Jホラーやハリウッド・ホラーを見ればいい。
そういう目的の為の作品じゃない。
子供たちが楽しめ、大人も童心に戻れる。
他愛ないけど、そんな作品だって大事だし、私たちの心を満たしてくれる。
冒険、出会いと別れ、ちょっぴりの切なさ…。
何故子供たちの一夏は、こんなにも胸ときめかさせられるのだろう。
そんないっぱいの思い出を、“こどもずかん”に残していこう。
コメント失礼します
言いたいところを言ってくれてて嬉しかった👍
その映画に何を求めて見に行くかと思えば今作は良い出来だと思いました
一本の映画としてまとまってはいたし終わり方も良かった
こういう映画を子どもと一緒に見たかった(うちの子は成人してるので😂)
コメントありがとうございました。勉強になります。そうですね、子供の方が意外に現実主義シビアかもですね。キネ旬の順位についてはおっしゃるとおり完全に疑問です。総合ベストテンに「芸術作品」が多すぎです。興行成績が全てではないと思いますが、ある程度「年間ベスト100」くらいに興行成績が入っていないとベスト10入りはおかしいですね。明らかに。5位の「水俣曼荼羅」8位「由宇子の天秤」よくわからないですねぇ、評論家の頭、疑いたくなります。1位の「ドライブ・マイ・カー」については3時間超えに私の膀胱が異を唱えてきましたので、スペシャルエディションをDVD📀だかBlu-rayだか(それすら未確認。)Amazonで購入して、満足してパッケージの📦まま眠っています。ダメですねぇ、映画は映画館で缶詰めで見ないと・・・「すばらしき世界」は真っ当な評価かも知れません。長文すみません、ありがとうございました。\( ˆoˆ )/
おっしゃるとおり、子供向けですから・・子供騙しで正解だと・・ただ子供は「お岩さん=伝統的な日本の怪談」もキャパの範囲内かと・・・イイねありがとうございました😭。