「幸せの形はみんな違う」チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい すみさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せの形はみんな違う
前半はラブコメディ、後半は同性愛の将来について真面目に描かれていたと思います。
正直1番最初に観たときは、これじゃない感があり自分でも疑問に思っていました。
おそらくですが先述の通り初めは2人のラブラブっぷりをみていたのに、いきなり将来の話や親への挨拶など現実味のあることをしたからだと思います。
魔法がなくなったところも、結局童貞卒業したからなくなったのか、自然に解けたのかよくわからず…。魔法の力がきっかけに物語が展開されているので、そこに重きが置かれていないことにモヤっとしました。
ドラマを見直して再度トライ。色々な方の意見も見てから行きました。
改めて観て、とても良い映画だなと思えました。
安達と黒沢、それぞれの強さと弱さが現れていて、それを2人で乗り越えさらにその先にある周囲へのカミングアウトという流れがスっと入ってきました。
特に黒沢が長崎にいる安達のもとに駆けつけて語り合うシーンは泣けます。黒沢の「相談してくれなくて悲しかった、長崎に行っちゃうのが寂しかった」と言うところで思わず涙が零れた場面が好きです。ドラマでも「安達が後悔しない選択を」とあくまで安達ファーストに考えていた黒沢が、ようやくそれが自分の弱さだと知り、本音を吐き出せたのがよかったです。
その後の安達が2人で幸せにではなくて、大切な人達に知ってもらって、みんなと幸せになりたいというのも安達の成長を感じられました。
また、藤崎さんの「自分が納得のいく生き方ができたら、それはきっと幸せだよね」というセリフがとても印象に残っています。
自分自身藤崎さんのように誰とも恋愛せず、趣味を楽しんで生きていきたいと思いながらも周囲の言葉が鬱陶しく思っていたからです。恋愛もいいし、1人でいるのも幸せでいいよねというメッセージを感じました。
そして、黒沢と安達が「ずっと一緒にいたい」という想いを持ち続けていたのがとても眩しかったです。
結婚しなくても幸せになれるこの時代にあなたと結婚したいんです、という有名なキャッチフレーズがありますが、あれと同じ印象です。
男だろうと女だろうと、好きになった人と恋をして、ずっと一緒にいたいと思えるってとても尊くて素敵なことだなと思います。
羨ましいのではなく、ただ純粋に恋っていいなぁと感じられました。
最後の結婚式(?)の映像はあまりに現実味がなくて曖昧な表現だったのが気になりました。他の方も言ってますがラブシーンで手の描写がかなり多く、直接的な映像がなくて…柘植&湊カップルが普通にあっただけにかなり違和感がありました。事務所NGなのかな〜仕方ないんですが、そこだけ-0.5です。
個人的には主題歌の心音がすごく刺さりました。口コミで見たのですが1番は安達、2番は黒沢の気持ちを表現しているらしく、エンドロールも2番の歌い出しに合わせて町田さんの名前が出てくる演出はめちゃくちゃ泣けました。
細部までこだわって丁寧に作られている、だからこそ何回でも観たくなるのかなと思います。
ハッピーエンドでまとまってしまったので続編はあまり期待できないかな…と思ってますが、原作もまだ続いているのでぜひ作って頂けたら嬉しいです。