「ドラマとは少しピントが合っていない」チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい SaSa E.さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ドラマとは少しピントが合っていない

2022年4月9日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

原作とドラマはとても面白いですが、映画版は展開こそドラマの続きではあるものの、根本の雰囲気が異なる別物の作品です。ドラマと同じ面白さを期待する方には正直おすすめできません。
脚本家の方がドラマと違う方なのですね。脚本家の方の「映画を通して同性愛の素晴らしさを伝えたい、当たり前になってほしい」という執念を感じましたが、その結果、物語全体が綺麗事になってしまっていた気がします。そういったメッセージを伝えたいのであれば、その部分に過度にフォーカスしすぎるのではなく、さりげなく自然に織り混ぜてくれた方が伝わると思います。ドラマ版の脚本家の方はその塩梅をよく分かっていた気がします。
主演のお二人がインタビューで「お互い安達と黒沢になってるか何度も確認し合った」と言っていたが、そりゃそうだと思いました。ドラマと根本の雰囲気が違うので、良くも悪くも決め台詞が多く、かっこよくなりすぎていた気がします。本来の、不器用な2人がくすっと笑えるコメディ的な日常を過ごす中で、実は少しずつ成長していき2人で前へ進む、といった原作やドラマ版の味わい深さはあまり見られませんでした。尺が短いので仕方がないのかもしれません。
脚本の切り取り方ひとつでこうも作品って変わるのかと、ある意味勉強になった映画でした。
もちろん2人が幸せそうなシーンが観られるので、その点ではお薦めします。ただ終わった後はダイジェスト編を見たようで、少なくとも映画1本分の物語を見終わったという満足感は感じられませんでした。
でも、主演のお二人は相変わらず良い演技をされていました。

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SaSa E.