「幸福度がありつつも批判再来の予感」チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい あおねるさんの映画レビュー(感想・評価)
幸福度がありつつも批判再来の予感
不穏なタイトルですみません。
まず始めに私がしっかりと示しておきたいのは、個人的には満足度が高く、映画化してくれて本当に有難う御座いますという気持ちがあるということです。
そして原作者である豊田先生の呟かれていた通り、素晴らしい作品になっていたと思います。
安達と黒沢の二人の楽しそうな場面が多く、序盤は明るい雰囲気に包まれています。
妄想の安達と共に送る黒沢少年合唱団が一度きりの登場だったのは少し残念でした…!
スタートからラストまで、全体を通して観て、すごくすごく幸福度の高い作品なのは間違いないです。
ただ、ドラマ放送当時、柘植と湊にはあったにも関わらず、安達と黒沢のキスシーンやラブシーンの描写をあからさまに失くす、避ける、部分においたことへの批判が凄まじかったことをリアルタイムで見ていた私としてはかなりトラウマにもなっており、私の友人の中にはボーイズラブ作品への冒涜とも捉えた人もいました。
今回鑑賞してみて、先に言ってしまうと明確に見せるキスシーン、ラブシーンの描写はなく、キスシーンは角度を変えての撮影であくまでもした体、という形でした。
チェリまほ自体どちらかというとほのぼの系のボーイズラブ作品なので、そういったシーン自体不必要で二人が幸せに描かれていればいいと思っている方も当然多いと思います。私もその一人です。
どうしても原作からのファンの方々の中には、映画の内容が長崎編と分かった時点で、安達の魔法がなくなるきっかけとなるあのシーンをやるのではないかという期待値が上がっており、今回鑑賞後の席から「映画の円盤に新しくスピンオフ入れて今度こそキスシーン入れてくれないかな、せっかく映画化したのに残念」との声が聞こえてきて、賛否両論が再来するのではないかと既に不安に駆られている状態てす。
「おっさんずラブ」や「窮鼠はチーズの夢をみる」と比べられていたのも目にしており、消化不良に思う人で溢れないか心配になり、又、予告がピークになってしまっていることは私でも感じてしまいました。
頑張って制作して下さった方々に対して、その部分に関してだけはそう感じてしまった自分が情けないです。
人によって価値観は違うので、ラブシーンの有無にこだわる人も少なくないと思います。
私にとっては赤楚さん、町田さんを始めとして全てのキャストの方々のお芝居は素晴らしいものでした。それは間違いないです。ハッキリと言えます。
しかしラブシーンにおいての期待値のハードルを高く掲げて劇場へと足を運ぶ方でこのネタバレありのレビューに触れる方には、過度にそういったシーンのハードルを上げず、ただ二人が困難を乗り越え幸せに暮らしていくほのぼのとした過程を見るつもりで足を運ぶことをおすすめします。
とても幸せで満足な作品でした。観れて良かったです。