「テープが繋がって浮かび上がる言葉」スターフィッシュ bionさんの映画レビュー(感想・評価)
テープが繋がって浮かび上がる言葉
冒頭の「実話に基づく物語」という宣言にいきなり戸惑う。SFスリラーって紹介されているし、始まって見るとやはり、SFチックな展開。実話という設定がフェイクなのか、妄想に取り憑かれた人間の話なのか、どちらともとれる。
物語が進んでいくと、どうやら大切な友人を失った主人公の心象風景を映像化していることがぼんやりわかってくる。喪失から受容に至るプロセスが、友人が住んでいた街を舞台に進んで行く。
主人公の心の内の物語だとは思うが、ある音声信号が異世界のとの扉を開けてしまい、奴らを招きよせてしまうというSFストーリーはそのまま続く。そして、主人公はミックステープの謎を追いかけ続ける。
弦楽器を多用したメランコリックな音楽がバックで流れ、主人公が誰もいない街から戻ってくる度に、ペットのリクガメ君が登場する。何の話かだんだん分からなくなってくるが、映像はやたらと美しいし、アニメーションパートは、音楽、映像ともに素晴らしい出来。
作品の内容からして、人気がありそうに思えないが、ソールドアウトになるほどの人気で、これはビックリ。しかも20代の観客が多い。インフルエンサーがおすすめしたのかなぁ。
好き嫌いがハッキリする作品に間違いないが、自分にとってはすごくよかった。テープが繋がって浮かび上がる言葉は、とても感動的な。
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