「殴り合わない少年マンガ」アキラとあきら つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
殴り合わない少年マンガ
原作は読んでいないので映画に限った話になるが、池井戸潤原作の作品が面白い理由は「熱さ」にある。
腹黒さや金銭などを扱って、大人の世界を舞台にしているものの、信念のために戦う者たちの物語は少年マンガと同じなのだ。
信念の向こうにある誰かを救いたい気持ち、自己犠牲、そして、ファンタジー世界とは違うリアル世界の必殺技。
少年マンガとの違いがあるとすれば、戦う相手が誰なのか定かではないことくらいだろうか。
はしゃぐ十歳の子どもの心と、都合よく登場する必殺技や気合いだけでなんとかすることに冷める大人の心の両方を、同時に満たしてくれるのが池井戸作品なのだ。
わざとらしいくらい大袈裟なキャラクターも、挫折も苦悩も、道しるべも、運命的ななにかも、全て少年マンガの要件を満たす。
小難しそうに見えて全然そんなことはない、ただ「熱さ」を追求しただけなのが魅力だ。
はしゃぐ十歳の心なんてないよ、とか言っちゃう、つまらない大人じゃなくて良かった。
コメントする