劇場公開日 2022年8月26日

「主演の2人」アキラとあきら 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5主演の2人

2023年9月30日
PCから投稿

池井戸潤の原作らしい金融ドラマだが、竹内涼真と横浜流星のさわやかさが上手いことブレンドされてとても青春ドラマのような味わいも見せてくれる作品。青春映画っぽさは、監督が三木孝浩だからというのもあるだろう。同じ「あきら」という名前を持つ同期のライバルである2人。1人は歴史ある大企業の御曹司でありながら、金で揉める血縁関係に嫌気がさして銀行に、もう一人は小さな工場の息子で貧しい生活をおくってきた。対照的な2人が、反目しあいながら銀行員にとって大切なことは何かを見つけていく。
主役の2人がとにかくいい。ストレートな正義感を持つ竹内涼真は、はまり役。こういうまともで影のないキャラクターを嫌味にならず演じられる彼のセンスは貴重だ。人情を否定する横浜流星の影ある芝居もすごく良かった。笑みの浮かべ方に歪みがあるのがいい。理想と現実の狭間で葛藤するお仕事ドラマとしても共感を呼べる作りになっているので、仕事に悩む社会人にもきっと良いヒントを与えてくれる作品だろう。

杉本穂高