「スリリングで爽やかな「瑛と彬」。」アキラとあきら ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
スリリングで爽やかな「瑛と彬」。
池井戸潤の作品では、使命感を持って理想に向かう人を応援し、私利私欲や保身に囚われる人を嫌う。竹内涼真演じる山崎瑛はまさに理想に生きる男であり主人公にふさわしい。主人公は一人でいいはずだが、これは山崎瑛と階堂彬二人が主人公の物語である。理想主義の山崎に対して超現実主義の階堂は最初から激しく対立する。竹内涼真と横浜流星の対立する演技はとても際立っていてインパクトがある。この作品のテーマは既に十分伝わっている。そんな犬猿の仲であるはずの二人が、力を合わせて会社再建に取り組む姿は美しい。本来、理想主義と現実主義は対立するものではなく、折り合いをつけてより良い方向を目指すべきものであることを教えてくれる。
池井戸潤の作品ではおなじみの悪役が今回はいない。悪役と思われていた人たちが、結末ではそうでないことが分かる。銀行上司の不動は出世と会社の利益しか頭にない堅物かと思ったら違った。階堂の叔父達は無能で嫉妬深いダメ経営者かと思ったら違った。両者とも二人のアキラが乗り越えるべき壁であった。乗り越えて初めて気が付く。
今までの池井戸作品とは少し違った、スリリングで爽やかな印象が大きかったです。
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