「乗り越えられない宿命はない!」アキラとあきら 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
乗り越えられない宿命はない!
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二人の生い立ちは違えども、二人とも精神的には悲哀を抱えて育ってきました。竹内は物理的なものであり、横浜は精神的なもの。いずれもトラウマのように彼らの人生を苛みます。その二人が出会って、大銀行の同期として活躍していく姿は、状況がどうであれ、苦闘の連続でした(特に竹内)。後半はほぼ東海郵船グループの復活に向けての戦いですが、同期の二人の熱い友情に、ただただ涙。何度も厚い壁にぶち当たるたびに竹内は思い出します。「乗り越えられない宿命はない!」と。そして、やがて経営の根底的な欠点が、家族の間にある亀裂であったことに気づき、見事に企業を復活の道へ。そのとき宿命は使命と変わっていくところが、実に秀逸で唸りました。人間にとって経済は単なる数字ではないのでしょう。企業もそうです。その存在は人を幸せにしてこそ、その使命を果たすものだと信じます。ラストシーンで、路上から拾い上げたベアリングを、横浜がハンカチで拭いて竹内に手渡します。出会った時と全く同じシーンでしたが、それは「出会いは運命である」ことを教えてくれています。きっと人生は、1分1秒まで全てシナリオ通りに展開しているのかもしれません。
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