「アキラ300%」アキラとあきら サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
アキラ300%
もう、たまらなく嬉しいです。大好きなんですよ、池井戸潤。「空飛ぶタイヤ」、「七つの会議」、そして映画化3本目となる本作は「アキラとあきら」。ドラマ化もされていたようですが、全く知りませんでした。キャストは総入れ替えでの2度目の実写化。しかも、メガホンをとるのはなんと三木孝浩監督。主演は大好きな横浜流星と竹内涼真。期待出来ない要素がないっ!!!
かなりハードルが高かったのに、やはり面白い。
そして、やっぱ凄いや、三木監督。人物の描き方が素晴らしい。池井戸潤の作品って、人物が多くてあまり映画向きじゃない。ドラマの方が面白いと思える。現に「七つの会議」では人物の描き足りなさが目立ち、ストーリーとしては非常に面白いものの、勿体無いなと思ったのを覚えている。でも、本作は過去2作品とは比べ物にならないくらい人物像の作り込みが素晴らしかった。これは、紛れもなく三木監督の才能。やっぱりいいなぁ、この監督は。大好きっ。
横浜流星、竹内涼真を初めとした豪華キャスト。髙橋海人、江口洋介、石丸幹二、ユースケ・サンタマリア、児嶋一哉、宇野祥平、塚地武雅、上白石萌歌、奥田瑛二。池井戸潤作品の好きなところでもあります。大俳優のアンサンブル。見応えあって楽しい。先程も言ったように、ひとりひとりのキャラが立っていて本当に面白い。横浜流星カッコイイなぁ、竹内涼真男前だなぁ、髙橋海人演技上手いなぁ、、、江口洋介怖ぇ、ユースケ・サンタマリア雰囲気良き、塚地武雅の貫禄凄いなぁ。語り始めたら止まらない。誰か一人好きな俳優がいたら、絶対に見てください。後悔しませんから。
本作は「2人のアキラの再生」を描く人間ドラマ。色んな場面で三木色が出ており、暖かい気持ちで終わりを迎えれる、言わば池井戸潤ぽくない作品。テンポもよく、ストーリー展開もお見事。今までの池井戸作品が苦手だと思っていた人には、意外にも面白いと思えるかも。ただ、池井戸潤ファン、経済映画好きの私には少し物足りなく感じた。後半の畳み掛け方、爽快感、興奮度。なんか上がらず、ちょっと残念。これはこれでいいんだけど、ラストにはやっぱり不満を覚えてしまった。もっとガツン!と来て欲しかったなぁ。
他にも演出が若干くどかったり、物足りないと思ってしまったが、選曲センスや配役が最高に良く、銀行の話なのに竹内涼真パワーなのか、すごく身近に感じて居心地がいい。エンドロールのbacknumberもハマっていたし、映画としてはかなりの成功なのでは?ヒットしそうな作品の予感。この調子でいっぱい経済映画作ってくれ!!
「空飛ぶタイヤ」「半沢直樹」「七つの会議」のような奥深さは少なかったが、いいセリフ・いいシーンが沢山あって愛おしい作品だった。上記3作品は好みが別れるため人にオススメしにくいが、本作は結構万人受けしそうなのでオススメしやすい。面白く、楽しく、考えさせられるいい映画です。この夏にぜひ。