「経済エンターテイメントとしては面白いが、情や善意を信じ過ぎてはいないか?」アキラとあきら tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
経済エンターテイメントとしては面白いが、情や善意を信じ過ぎてはいないか?
情に厚い熱血漢と冷徹な合理主義者の出世競争の話なのかと思っていたが、後者の役割は、もっぱら江口洋介が演じる上司が担うことになる。前半、竹内涼真が演じる瑛に対比させる形で、横浜流星が演じる彬の冷血漢ぶりが強調されていれば、一族の諍いを和解させるための定番のシーンも、もっと感動的になったのではないかと、少し惜しまれる。
映画全体として観れば、紆余曲折のある話を2時間程度によくまとめているし、負債や融資といった取っ付きにくい題材を、分かりやすく、見応えのあるエンターテイメントに仕上げているのは立派である。
ただ、無能な上に性格もネジ曲がっている叔父たちが、ちゃんと痛い目にあって反省する場面がないのは、勧善懲悪という観点からは物足りない。
それから、人情や善意の大切さばかりが強調されているが、世の中には悪意を持った人間も確実にいて、そういう輩に裏切られたり、利用されたりすることがあるのも事実である。そうしたこともしっかりと描いて、瑛だけでなく、彬の言うことにも一理あるというバランスも取ってもらいたかった。
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