ハケンアニメ!のレビュー・感想・評価
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爽快お仕事ドラマ
面白かった。128分あって最後まで退屈しない。吉岡里帆がロボットアニメ(テーマカラー:ブルー)を、中村倫也が魔法少女アニメ(テーマカラー:ピンク)を撮るし、前野朋哉演じるスタッフから女性監督への、善意や親しみっぽく見せかけたハラスメントの描写も秀逸だし、価値観が一歩前へ進んだ感じがする。一歩だけでも。
王子が言った「書くことの壁は書くことでしか越えられない」「机にかじりついてやるしかない」は本当にそう。普通のことを言っているようで、見落としそうになることもあるので心に響く。
ただ、タクシー車内の「結婚してあげてもいいけど」は余計だった気もする。男女の間に恋愛じゃない絆がある関係、描き切ってほしかった。敏腕女性Pのおにぎりもな、おにぎりじゃなくて何かもうちょっとなかったかね。ラストの柄本佑の喜び方も好きな人は好きだと思うけど、私は違うパターンでお願いしたかった。サントリーオールドの長塚京三とかTOKYO MERの石田ゆり子とかのイメージが残りすぎていて。
【”刺され、誰かの心に!”愚直なまでに妥協せず、アニメーションを作る若き新人女性監督と周囲のスタッフの関係性の変化や、天才監督の心の葛藤を描く。今作は、一人の若き女性の心の成長物語でもある。】
■ライバル関係にある二つのアニメーション制作会社が土曜日、夕方の同時刻で公開される新人監督斎藤瞳(吉岡里帆)の「サウンドバック 奏の石」と、天才監督王子(中村倫也)の「リデルライト」との視聴率競争で、どちらが覇権を取るか!を、アニメーション業界のややブラックな側面や、アニメ製作過程を背景に、二人の監督の心情を前面に出して、描いた作品。-
◆感想
・小学生の時に、毎日独りぼっちで過ごしていた瞳は、公務員の職を捨て、アニメーション製作会社に入社する。
彼女の動機は、王子監督の作品を受けた事が切っ掛けだった。自分も幼きときにあのようなアニメを観ていれば、打ち込めるものが出来たかもしれない・・、という想いを持って。
そして、到頭連続アニメの監督に抜擢。
- だが、敏腕プロデューサー行城(柄本佑)の要求は厳しい。アニメ製作意外の部分で。インタビュー屋、便乗商品宣伝など、プロモーション活動に追われる日々。
憤慨しつつも、妥協なき作品作りを続ける瞳。
映画監督って、偶にミニシアターで話を聞いたりするけれど、本当に大変何だよな、映画製作意外で・・。-
・妥協なき作品作りを続けるが故に、客寄せパンダとして起用された人気アイドルの声入れに何度もダメ出しをしてしまう。
- 泣きながら、録音ブースを出て行く彼女の姿を見て、行城が瞳にさりげなく言った言葉。
”彼女のインスタとか、観てる?”
あ、このプロデューサー、仕事が出来る奴だ!、と思った瞬間である。ー
・一方、天才監督と謳われた王子も、表面上はお気楽な態でノー天気に行方不明に。その姿に憤りつつ、彼を必死にフォローするプロデューサー有科(尾野真千子)。
- だが、彼も又プレッシャーと戦いながら、執筆を都内のホテルで続けていたと、有科に語るシーン。彼の仕事場は大きな眺めの良い部屋だが、彼一人の仕事場で大量の書きかけの紙が散乱している。”天才の孤独”という言葉を思い出す。
そして、彼も瞳と同様に、妥協しない仕事をしている事が分かる。それを知るのは有科プロデューサーのみ。王子が、有科のみを信頼している事が分かるシーンである。
何となく、現代日本を代表する数名のアニメーション監督の姿が脳裏に浮かぶシーンでもある。-
■少しだけ、残念だったところ
・王子や、瞳が実際にペンを走らせているシーンが、殆どなかったことと(難しいのだろうが・・。「バクマン」は、Gペンの穂先だけに焦点を当て、上手く見せていたなあ。アニメーションは違うのかな・・。)、アニメーションの制作工程をもう少しだけ詳しく見せて欲しかったかな・・。
■瞳を抜擢した人物。
それは、敏腕プロデューサー行城だったことが分かるシーンは、上手く描かれていたと思う。瞳の面接の際に彼も同席していて、彼女の言葉に顔を上げた表情。
自分自身の生い立ちを語り、自分の言葉で何故、公務員を辞め、アニメーションづくりをしたいかを語ったシーンである。
<”観てくれた人に魔法をかけられる作品を作る。”
今作は、アニメーション制作への熱い思いを伝える制作作品であり、一人の若き女性の成長物語でもある。>
■映画は、エンドロールが終わり、客電が灯るまでは席に座って、観賞に浸りたいよね。敏腕プロデューサー行城の人間らしさが伺える、素敵なシーンがありますから・・。
■アニメーション業界だけでなく、映画業界も、ブラックな要素がドンドン少なくなりますように・・。Byブラック企業で働く男。
エクレア食べたい
アニメ制作がテーマで、六角精児さんが出演しているということで見てみました。
制作に携わる業種の多さに改めて驚きました。シンプルにアニメにするだけでも色や声優さんや沢山いるのに、
売るとなると宣伝、コラボとかも考えなきゃいけないから大変だ、と実感。
劇中で2作品を同時に見れる映画手法は面白かったです。スレッガーさんのセリフも聞けたし。
でも制作の苦労は分かるんですが、ぎりぎりで内容変えるのはちょっとな~~と、監督より形にする制作サイドの気持ちになり、ちょっと複雑でした。
ぎりぎり間に合う猶予があったからまぁ監督の熱意に打たれて協力してくれたんだとは思いますが。
あと一応視聴率とかは追ってましたが、いかんせんどうにでも出来ちゃう部分なので映画としての盛り上がりには欠けてて流れとしては少し残念、というか映画にするには難しいテーマだったかと思います。
野球ならホームランとかで点が入れば明らかに勝ちですが、視聴率もDVDなどの予約数も、劇中で別に好きに操作出来る数字だからそこに説得力が無い。にもかかわらずそう提示しなきゃいけない脚本にそもそも無理があった感はあります。
ともあれ、アニメの制作現場が少し垣間見れたのは良かったです。劇中に何度か出てくるエクレアが食べたくなりました(笑)榎本さんの、最後の喜びの仕草が良かったです。
久しぶりに最高の映画です!
1つ1つのセリフがささりました。夢中になって努力することを忘れていました。私的にはムネモリさんの夏のスタンプラリーイベントのシーンが好きなので、写真で終わったのは残念でしたが、その分、リデルライトやサウンドバックが見られたので大満足です。ラストも映画の方が好きです。最後の行城さんも
可愛かったし。仕事や演技、歌唱のレッスンも大変ですが、明日もがんばるゾーという気になりました。原作の世界観を上手に伝えていると思います。
自分を越えていく力をくれる
物作りの根源の感情を熱く呼び起こされる映画だった
この映画自体がまさに、主人公がやりたかった"自分みたいな人間にも魔法みたいな力を与える作品"になっている
仕事をする上での理想と現実
売れるものを描くこと、0から1を生み出す苦しさ、描くことで生まれる壁は描くことでしか乗り越えられない…
すごくリアルな生み出す苦しさの中、それでも理想を追い求め、こんな未来が掴みとれたらいいって希望をしっかり描いてくれてる
多少のご都合はあったとしても、ちゃんと安易なハッピーエンドじゃない
序盤は少し退屈な展開だと思ってたけど、王子が出てから温度が変わった
対談での王子の言葉はクリエイターとして温度が高く厚みがあって一気に気持ちを惹き付けさせられる
かつ作中アニメがすごくいい!
「君を絶望させられるのは世界で一人、君だけだ」
このセリフ一言が聞けただけで本当によかったと思える
アニメのラストを主人公は、目標にしていた王子のような路線へ変更する
みんなが求める王道ハッピーエンドではなく、マイナーかもしれなくてもそこに主人公の本当にやりたい想いがあって
"安易なハッピーエンドは現実にはやってこないし失ってから新しく得るものもある"
そういう新しい希望を提示していく
一方王子はその先を行く
絶望させるんじゃなく、死をキャッチーなものとして扱うんじゃなく、本当にすごいのは死に物狂いでボロボロになりながら生きることだ、そして「そんな私も愛してよ」とヒロインに言わせる
これはきっと王子の心からの声だ
天才でいなければ、キャッチーで意外性のある結果を出さなければ、自分の評価に自分が雁字搦めになる中で、もがいてたって天才的な意外性じゃなくたってがむしゃらに作品を作っていく強さを得たように見えた
どちらも結局どうありたいか、どんな人にどう届けたいかだ
売れ線を狙うのも一つの戦略だ
でも作り手は本当は理想を追いかけたい
端っこの人間でもいいから誰かの心に強烈に刺さりたい
そう思って渾身のものを絞りださなきゃ、結局誰の心にも刺さらないんだ
こんな熱い作品を作ってもらえてうれしい
理想をこんな風に胸に届く形で届けてくれてうれしい
これを見た中にきっと触発された作り手がまた誰かの心を震わす作品を作るんだろう
そうして物語は生まれていくんだ
エクレール
2ヶ月ぶりの試写会(その間にボチボチ当たってはいたのですがタイミング合わずで行けずじまい…)は今年大本命のハケンアニメ!超楽しみに待っておりました。
観終わった感想ですが、もう最高でした!昨年のポンポさんを彷彿とさせるような作り手の葛藤や苦悩を余すことなく描き、声優さんとの対峙も描くのも良かったですし、アニメなどでしか見ない表現を実写と交えているのも見応えがありました。
アニメ制作会社の縦社会的構造に真っ向勝負をかけていく斉藤瞳監督vs天才監督王子千晴との対立構造もアニメの力で戦うという「バクマン」的なリアルではないものを武器として使い戦うシーンが非常に熱かったです。一視聴者なら批判も称賛もTwitterなどで簡単にできますが、製作側からしたら売れるためにはなんでもするという理論は罷り通っているなぁと感心させられました。
劇中でのアニメも完成度が高く、実際に1クールで放送してフルで見たいなと思うクオリティでした。本職の声優さんを起用しているのもあり、安心して尚且つ面白く観えるというこの映画に特大の華を飾ってくれて感謝しかないです。実際の現場でのアフレコもしっかり映っていてこの業界に興味のある自分としてはとてもタメになるシーンでした。
声優さんの中でフューチャーされるのは高野麻里佳さん。ウマ娘のサイレンススズカ役で初めて知り、以降色々作品で見かけるたびに追いかけているのですが、今作は可愛らしい声を全面に、それでいて芯のある熱い言葉を放つ役を演じられていて、改めて声優さんの凄さを知ることができました。
役者陣は本当に素晴らしく、吉岡里帆さん、中村倫也さん、尾野真千子さん、柄本佑さんと中心となる方々をはじめ、脇を固めてくれている役者の方々も一人一人情熱が込められており、常に手に汗握るような熱い展開が目白押しでした。
お仕事ムービーとして常に気を抜くことなく駆け抜けるアニメに携わる人々を見事に描き切っていました。日本で沢山のアニメを見れることに感謝感謝です。
鑑賞日 5/12(試写会にて)
鑑賞時間 19:00〜21:20
座席 K-5
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