ハケンアニメ!のレビュー・感想・評価
全66件中、21~40件目を表示
原作よりこっちが好き
原作も嫌いではないけど、辻村美月さんの少女マンガっぽい恋愛要素が苦手だったから、正直観ない予定でした。
でも観てよかった!恋愛要素も原作より抑えめだった気がします。
俳優さんも声優さんも最高でした。特に吉岡里帆さんと柄本佑さんと高野麻里佳さん!いやでもみなさんかっこよかった!!
なんでうちの地域ではもう上映終了しちゃうんだろう…もっと映画館で観たかったです。
本気で頑張るってかっこいいと思わせてくれた作品でした。
あ、エンドロールもその後も含めて最高だったので絶対に最後まで観ることをオススメします。
アニメ番組の制作現場を舞台に繰り広げられる、2つの番組の視聴率争いを描いたドラマ。それぞれの想いがリアルに描かれます。
観ようか迷っていた作品だったのですが
空いた時間に丁度いい上映枠が。
「観れば?」 と言われた気がして鑑賞です。
で。
面白かったです。
アニメ作品の制作現場の描き方が
とてもリアルな感じで、制作現場の空気を味わえる
見応えのある作品でした。
お話はというと
同じ時間帯にTV放送される事が決まった
2本のアニメ作品があり
一方の監督が
「王子千晴 (中村倫也)」
デビュー作が大ヒットして一時代を築いたものの
その後ずっと新作が無く、この作品で復活 と
実績・話題性ともに充分。
もう一方の監督が
「斎藤瞳 (吉岡里帆)」
国立大卒→県庁職員→アニメ制作会社 と
変わった経歴をもつ女性。
実力は未知数。
この二人の監督および制作スタッフが
どちらの作品が高視聴率をあげるかで争います。
放送開始に先立っての公開対談。
司会者が煽るように向けるインタビューに対し
冷やかに鼻であしらう王子監督。
一方の斎藤監督は
「視聴率で勝ちます」 おお
一気に高まる対決姿勢。
そして放送開始。
作品制作に関わる監督や
プロデューサーや制作スタッフ達。
それぞれの作品に関わる想い
放送毎に変化する作品への評価
それによって揺れ動く監督の心理 などなどを
巧みに描いて話が進むのですが
その描き方にリアリティが感じられ
どちらの制作側にも
共感を感じながらのエンディングでした。
制作スタッフの
「良い作品を作り、多くの人に見てもらいたい」
というだけでなく
「カリスマとして見られることへの恐れ・苛立ち」
「 実力不足を疑われることへの苦悩・焦り」
その心中が伝わってくるものでした。
128分の上映時間はあっと言う間。
観て良かった。 満足。
◇あれこれ
■オモテとウラ
同じ時間帯で放送される番組のこと。
二人のカントクが互いに 「そっちがウラ」
と言い合っているのが妙に可笑しい。
3番目の番組は何と呼べばいいのやら…
あぁ オモテ一つ以外は全部ウラ ?
■出崎演出
出た ♡
「出崎演出」 って
若い人たちにも分かるのなら 嬉しい。
それにしても、一つの表現方法に
人の名前が付けられるのって、これはすごい事。
今後も誰かが同じような演出をすれば
「ああ、 出崎演出だね」
とか言われてしまうわけで。
◇最後に
視聴率の勝負
…というとアタマに浮かぶのが
「宇宙戦艦ヤマト」 と 「アルプスの少女ハイジ」
1974年の同じ曜日・時間帯に放送されたのですが
視聴率で明暗が分かれた良い例かと。
今ではどちらの作品も名作と言っていいかと
思うのですが、放送時点での評価の指標となると
うーん やはり視聴率
ってことになってしまうんでしょうか …はて
…って
そんな事を考えていたら、
観てから1週間以上過ぎてしまいました (汗)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
ものづくりの心意気
アニメ制作の話だけど、ものづくりをする人全般の、必要とする人達に届けたいという心意気を感じる事のできる良い作品だと思います。
ただ、そのやる気に依存した長時間労働は日本の問題点だとは思うのですが、この映画はそれがテーマでは無さそうなので、目を瞑っておきます。
それで、この映画を観て一番届いて欲しいと思ったのは、「この世の中は繊細さのない・・・」のシーンかな。
あのシーンは多く子供たちに、今は刺さらなかったとしても、心の片隅にでも届いて欲しいと思った。
まあ、この映画を子供が観る事は少ないかもしれないけど。
人って、誰かが見ていてくれると分かった時、分かろうとしてくれると気付けた時、前に進む原動力になりますよね。
そんな人と人とのつながりが、しっかり描かれている良い映画ですね。
【個人的メモ】
制作進行 久遠明日美さん
演出が気になる
面白い作品だとは思うけど、どうしても演出が気になってしまった。
具体的にはわざとらしいオタク台詞の多用。2,3か所なら気にならなかっただろうけどあまりにも頻度が多すぎる。オタクを描こうとした作品でありがちな演出でもあるけど、いつになったら効果的ではない演出だと気付くのだろうか。しかもこの手の演出の悪いところは、結果としてオタク的な人を一括りにして描いてしまうので、同じ属性の登場人物がフラットな印象になってしまう欠点まである。何よりも聞いているこっちが恥ずかしくなってしまう。
わざとらしいオタク台詞に頼らずに、映画「勝手にふるえてろ」のような言葉の端々や挙動からこの人はオタクっぽい人なのかなと観てる人に自然に思わせるセリフや人物描写だったらもっと自然に映画を楽しめたと思う。
誰が彼女にエクレアを渡すのか。
前半は感情移入し辛く乗れなかったが、トータルとしては丁寧な作りで良かったです。否定的な部分もありますが、とりわけ本作の後半の展開の腕力は凄まじく、生理的に感動させられてしまいました。
この話は「内向的な新人監督がチームの輪に入り、仲間と協力して自己実現を果たす」という話の、極めて真っ当なお仕事映画であり、その骨子を「エクレア」という小道具から考える。
主人公の吉岡里帆は新人監督。敏腕プロデューサーからは沢山の仕事を押し付けられ、スタッフからはクオリティよりもスケジュールを優先した(というように見える)提案を受けては捌いて、という忙しい日々を送っている。彼女が監督する作品は裏番組で天才監督、中村倫也が手掛ける作品と今期の覇権をかけて対決することになる…
序盤、吉岡里帆はスタッフたちからさまざまな提案を受けるが、すべて「絵コンテ通りで」という回答で跳ね除ける。製作チームとの連帯はなく、チーム全員が試写に向かう廊下でも1人で後ろから歩いていく。この序盤で彼女がチームから孤立している、アニメ製作において壁にぶつかっていることが窺える。
壁にぶつかるというのは具体的な画としても示される。帰り道電車から降りると足早にケーキ屋へ向かうシークエンスがある。彼女の好きなエクレアを買うためであるのだが、ここでは閉店時間に間に合わず、ガラスの自動ドアにぶつかることになる。
周りに振り回され、アニメ製作において壁に当たった彼女の求めるもの=エクレアは、本作では覇権や彼女の自己実現などのメタファーとも取れる。
その後も彼女はエクレアにありつくことは出来ない。打ち合わせや収録で事あるごとにケータリングのエクレアに手を伸ばすが、敢えなくプロデューサーの柄本佑に先を越されてしまう。
周囲から孤立して、フラストレーションが溜まった吉岡里帆は突然現れたライバルの中村倫也からの助言に従い、演技力の無さから厳しく当たっていた主演声優と和解する。この和解のシークエンスの頭で彼女はガラスの扉をこじ開ける。これはケーキ屋のガラスの自動ドアにぶつかったシーンの対比であり、吉岡里帆はアニメ製作の現場でぶつかった壁に対して、チームの仲間に心を開くことで乗り越えたことを意味する。
彼女はその後多忙なスケジュールから体調を崩して倒れてしまう。
救護室で目を覚ました彼女に対して、プロデューサーの柄本佑が声をかける。彼の手にはエクレアがあり、それを彼女に渡す。そして今まで山のような仕事を振っていた理由を語る。
吉岡里帆は他社から誘われており、前途有望な彼女が退社する前にアニメ作家としてなるべく多くの経験をさせてあげたかった、というのである。(最初から伝えとけとも思う)
上の世代のメンターから、新しい世代へと知識や経験を継承することをエクレアを渡すというアクションでも表現されている。今まで彼女からエクレアを取り上げ続けてきた柄本佑がついに渡したエクレアは、彼女の成長物語はここで完成していることを表しており、その後の展開では覚醒した彼女がチームの仲間と協力してアニメ製作を行うことで自己実現を達成する。
上記の物語において小道具としてのエクレアが演出上重要に扱われている。この丁寧な作劇が後半のアゲ展開を形作っており、そこに感動しました。
以下、個人的な不満。
前半は各キャラクターに感情移入することが難しかった。これは映画の状況説明の為の仰々しい描かれ方が自分に合わなかった(対立構造を明確に打ち出す為のトークイベントのシークエンスとか…)こと、キャラクターみんながアンガーマネジメントしない系の作劇が古くみえたこと、現実の労働問題という視点をオミットして一般化されたお仕事映画として描かれていることが腑に落ちなかったからだと思う。
とりわけこの現実の制作現場での労働問題、ないしは搾取構造を無視して、いわゆる現代のアニメの現場を主題とした映画を作るのは不誠実だと思う。エンタメ映画なのだからこのテーマをがっつり取り扱えとまでは言わないが、深夜までの残業や無理なスケジュールを気合と根性で乗り切ることに対して美化するだけではなく、批判的な視点を入れることは出来たと思う。
2015年刊行の原作で映画制作にも時間がかかるので仕方ないけど、今見ると業界の描かれ方はちょっと前かも…と感じる。テレビの視聴率で対決して、円盤の売り上げを競い、配信サービスもほぼ出てこないのは、それだけ業界も変わったとも言えるけど、ちょっと古い気もする。
(特に女性への)結婚観が古い。最後のタクシーのシークエンスはキモくて、なんか可笑しみがあった。「俺が結婚してあげてもいいけど。」
作品前半で吉岡里帆がチームから孤立してアニメ作っているような描写として「絵コンテ通りでお願いします」というセリフがあるけど、後半で対比としてチームのメンバーの意見を作品に取り入れるシーンがあっても良かったと思う。主演声優に「最後のセリフはお任せします」というシーンがあり、素晴らしかったけど、脚本家や編集、制作進行の意見も聞いてあげて…
良かった
管理部門ではありますが、割と似たような内容の業界(ゲーム開発)にいるので身近に感じました。たくさんの関係者を調整しながら、かつ、クリエイティブでユーザーを楽しませるものを作る苦しみとできあがった楽しんでもらったときの喜びは共通なのかなと思いました。ラッシュをスタッフで観に集まるシーンで最初は監督は最後尾でついて行きますが、最後は皆の先頭を行くシーンとか随所のシーンも良かったです。尾野さんが自社の幹部陣に取り囲まれているシーンは碇ゲンドウがゼーレの会議に出てるシーンを思い出したり、主人公がもらったエクレアに「チョコじゃないのかよ」と突っ込んだところはクスリとしました。クレジットの後にもシーンがあるのでご覧ください。
「ハケン」を勘違いしていた
できるだけ事前情報を入れないで映画を見たい派なので、てっきり派遣社員がブラックに働かされる、最近多いお仕事コメディかと思ってスルーしていました。
評判いいらしいよって家族が言うので一緒に見に行ったら(見るまで家族も自分と同じく誤解していた)、熱い熱い映画で大変良かったです。
調べたら原作小説があってタイトルも同じなんですね。
でも原作を知らない層で私のようにタイトルで誤解して見に行ってない人が多そうなので、その点は実にもったいないと感じました。
きっとこの映画は現場の方からしたらあり得ない理想も含んでいて、全てが現実に即しているわけではないことは理解できます。
それでも人間このように自分の目指すものに向かって、もがいて生きたいと思わせてくれました。
劇中アニメが視聴率で競うという形を取りますが、最後には作り上げたものが順位関係なく誰かに「ささる」ことを心から実感し報われる。
この映画も私に間違いなく「ささり」ました。レビューを読むと他のたくさんの人たちにも。
それが制作に関わった全ての方々に届きますように。
結構面白い
意外と面白かった。アニメを作るまでの工程を知れた!
最初は声優さんなどと関係が上手くいかなかったけどだんだんみんな心をひとつにして制作に取り組んでいてかっこよかった。自分みたいな子供に届いて欲しいっていう思いが最後ちゃんとたいようくんに届いていて感動した。
ハケン(覇権)にこだわるな!
吉岡里帆、中村倫也はじめ俳優さん、みな良かったですね。
映画ではハケン(覇権)という言葉が使われていましたが、それそれのアニメ監督(および制作グループ)が、ベストを尽くして自分がやりたいことを実現していく過程を追っていました。
・中村倫也は、8年前にやりたかったができなかった主人公殺しを実現するため最後まで粘る。
・一方の中村倫也に憧れてアニメ制作を始めた吉岡里帆は、主人公殺しの予定で制作していたが、最後の最後に殺さない方向(希望を持たせる方向)に変更した。
ここが面白かったです。
でも映画としては、どっちがどうでも関係なく、それぞれがそれに集中して全力でやっていく姿が良く伝わりました。
何事も(恋愛でも仕事でも)、結果ダメでも全力をだしたならば、後悔は少ないし切り替えもうまくいきますな♪
感動しました
僕はこういう感動系ドラマに弱いんです。
天才と呼ばれる王子監督と新人の斎藤監督の差?みたいな。
天才の王子監督はスタッフに対しては自分の意見を押し通して作りたいものが作れるけれど新人の斎藤監督はスタッフが言うことを聞いてくれなかったり。
人の違いがはっきりしている、いろんな人がいるというのはドラマ的でいいと思います。
その上で、新人だからうまくいかない部分もあれば、実績があって天才と呼ばれていても天才のレッテルのために重圧を感じたり、制作会社に縛られて描きたい結末を描けなかったり。
そういう不自由な部分?
脇を固めるスタッフも、行城プロデューサーはカップ麺とコラボしたり、番組の露出を増やすためならどんなことでもやる嫌な人のように見せておいて、実は斎藤監督の入社面接の場にいてその夢を知っていて、できる限りの方法で全力で協力していたとか、斎藤監督が「可愛いだけで実力不足」という評価を下していた声優が、実はアニメの場面のモデルになった実際の場所へ行くなどして役になり切るために頑張っていたり、自分はただの客寄せで実力不足だと承知しながら、それなら客寄せで多くの人に番組のことを知ってもらおうとしていたとか、中盤意向そういう一面だけ見てもわからない隠れた部分を明らかにしていくことで良い人も嫌な人も、優秀な人も能力の低い人も、みんなが自分なりの方法で番組を成功させる同じ目的を目指しているっていうのもよかったと思います。
そうして斎藤監督と声優の関係が改善されたら上映会の後で「声が良くなった」と言われるようになっていったり、最終回の最後のセリフについて「言い方は任せる」っていうのは、声優が監督と十分な信頼関係を築いてコミュニケーションすることで監督の頭の中のキャラクターを理解したとか、つまりチームが成長した、強くなったってことでしょう?
王子監督が最終回のコンテを有科さんに渡して言いたいことはあるかって尋ねたのに対して、監督はこれで良いのかって聞き返した場面も。
終盤は感動して泣くポイントがいくつもありました。
映画を観た後本屋へ行って原作の文庫を買ってしまいましたよ。
とても良かったです。
アニメの裏側、そして人に勇気を与え教えてくれる神映画!!
いやぁぁぁ!!ずっと公開を待ち望んでいました!
我が推しの吉岡里帆ちゃんの主演作品「ハケン×アニメ」アニメ制作陣の裏には、1つの作品を手掛けるためにどれだけの人間・どれだけの時間とお金が掛かっているのか、普段知り得る事が出来ないお仕事の裏の顔こういった作品がより多く増えれば、このような世間の光を浴びる事が少ない人々がより注目され、よりたくさんの人に感謝されると考えます!いつも素晴らしいアニメを我々視聴者に見せて下さりありがとうございますと伝えたいです!
新人監督で幼少期の自分のようなアニメはアニメの世界「現実にヒーローや魔法少女は、いないと」と思っていた斉藤瞳は、公務員からアニメ業界に入り当時の憧れであった王子千晴よりも素晴らしい作品を作り覇権を取るという。アニメーション業界の裏を描いた今作、、自分はこういったお仕事系の映画は、あまり見ずに飽きるかなと思っていましたが、全くなかったです!だってりほりほが可愛いすぎて"(∩>ω<∩)"飽きさせることなく、新人女性監督の苦悩をものすごく上手に描かれていたので頑張れ瞳さん!負けるなって感じで前のめり状態で作品を見ていました。作品を手掛けるにはまずは、企画・脚本・キャラデザを考え次に絵コンテ・作画の打ち合わせ・線画撮影・美術とCG・仕上げ・撮影と段階を踏んでそこに声優陣が声を当てて最後に制作陣全員でのチェックをしてやっとで1話完成とこれだけの工程を挟んでやっと1つの作品の第1歩を歩き出せると考えると毎シーズン事にあれだけの大量な作品が別々の時間帯で熾烈な争いをしていたのだと考えるとすべての作品に必ず愛があるんだなと感じました。素晴らしい!そして私が感動したのは、瞳と声優の郡野 葵とのシーンです。瞳が思うトワコと葵が感じているトワコの微妙なすれ違いが作品に大きなひびを付けるんだなと感じた時は、その数センチの隙間を埋めるために凄く神経を使うし色々と考えなくては、ならないんだなと思うと凄く大変だなと思いました。
けれど、和解のシーンで声優の葵が聖地巡礼を兼ねてキャラクターの一つ一つにどれだけの力量を与えいるのかを知ると案外簡単な事じゃないかなとも思いました。そして監督とマネージャーとの関係性も複雑な立場である監督も何を切り捨て何を与えることでその作品が視聴者にどう見せることが出来るのか、それを行城役の柄本佑さんが上手くそして有科役の尾野真千子さんが表現されていたのですごく良かったです!そして忘れてはならないブルボンのルマンド男子中村倫也さん変わらずの気だるさ演技からのガチ本気モード有名台詞の上手い使い回しに圧巻でした。本当に誰を掲げても素晴らしい作品だったなと思いました。文句無しの満点!誰かの胸に必ず刺さる勇気と希望を与えてくれた最高傑作の映画でした。出来れば2回目の鑑賞もしたいなと考えております。是非皆様も……アニメの制作陣にの頑張りに噛じりつけ!
派遣アニメじゃない
思っていた以上によかった。評判が最悪なのでどんな映画かと思っていたが。
派遣アニメではなく覇権アニメなのね。
見る前までフリーのアニメーターの話かと思っていたが、視聴率の覇権を目指した対決ものでした。
いろんなエピソードを見せられるが、どれも良く描けているし、まとまっている。そこは辻村深月の原作、流石である。
ただ、クライマックス前で監督とスタッフがぞろぞろと、これからやるぜ!みたいな廊下を歩くシーンがあるのだが、そこだけダサくてカッコ悪かった。
あと、あれだけ、視聴者の声を字幕にして出していたのに最終回が終わった後の視聴者の声を出さなかったのは意図的だと思うが、ちゃんと出したほうが良かったと思う。
原作を読みたくなりました。多分原作も面白い。
おみそれしました
原作は文句なく面白いんだよね。
それで舞台化されたから観に行ったら、これも面白かった。
映画化されるっていうから、絶対に観るって決めてたの。
吉岡里帆が有科香屋子役だと思い込んでたの。尾野真千子が演じた役ね。
原作は、四部構成だかで、各部で主人公が違うんだよね。でも共通して有科香屋子がいる感じで、ここを中心に描いていくのが楽なはずなの。
王子監督と一番絡んで対立するのも有科香屋子だしね。
そしたら、吉岡里帆は新人監督・斉藤瞳役だった。
「いや、王子と斎藤の二人で描くのはキツイだろ」と先行きに不安を感じたの。
不安といえば、オープニングもどうなんだろうという感じで。
七年前の斉藤瞳の面接から入るんだけど「なんだこれ?」と思ったな。
あと不安だったのは。原作も舞台も、そんなにアニメ作品を映さないんだよね。
だから、観客が自分の脳内に好きに「すごいアニメ」を再生させればいいの。
でも映画でやっちゃったら、ここは描かざるを得ない。
人気を博するアニメの片鱗を、呈示しないといけないの。
でも、不安は杞憂だったね。
ストーリーは停滞してたけど、王子と斉藤瞳の対談のシーンから盛り上がる。
それまでは主人公の片割れが不在だから、話が進まないのも当然だけど。
アニメも一部しか出してないけど、なんか納得のでき。
そして話が進んでいき、斉藤瞳が「やらなきゃ」ってなるところから、原作の熱さがそのまんま出てきた。
ラストは「かつての自分のような子供に作品を届けたい」っていう斎藤監督の望みが叶ったってことだけど、もう少しすんなり終われた気もする。
オープニングで不安を与えてしまう点とかもあったから、吉野監督の次回作は観てみて、癖なのかこの作品だけなのか確認してみたいと思ったよ。
小野花梨も良かったね。たぶん、王子・斎藤の対決を描くだけなら、なくても良いエピソードだと思うの。なんならキャスティングの関係で描かざるを得なかったんじゃないかっていう。
でも効いてた。そして、作品後半に向かうにつれてキレイになってくね。恋をしてるってことなんだけど。
声優役の高野麻里佳の「駄目な声優」演技もうまかった。
アニメを真剣に観ないから良く分からないんだけど、それでも「この声優のこの声の出し方はないわ」と思ったもん。当たり前だけどラストに向けてはキッチリ良くなる。
色々あるけど、元の作品の熱さが残るから、面白いよ。
劇中二作品も含めて作り上げる原作者・辻村深月がすごいな。
アニメ視聴率競争
原作は未見です。
初監督作品として挑む作品なんだけど…。
この作品のプロットから主人公が携わったものなら、もう少し周りとの関係が密になっててもよいんじゃないかと。
またテレビアニメを作り始める部分を端折り放送間近の状態からスタートし、その部分を何も語らないってありなのか?って思った。
その上、制作で7年勤めた会社で人間関係がほぼないのってどうなの?そういった語られるであろうことを端折り主人公が右往左往する姿と作品を仕上げることに取り組む姿のみでは物語に入り込めない。
根本として覇権という言葉なんて視聴率のみでは測れないものだと思ってますし、覇権という言葉がこの映画のタイトルとしてあってない様にも思えた。
アニメのクオリティ
ものづくり、作品にかける情熱は伝わる。痛快(?)お仕事ムービーとしてはおもしろい。カタルシスもある。
ただ、出来上がったアニメーションのクオリティが高くない。アニメの部分については特に画角とカット割の悪さが目立つ。
物語としておもしろいのに、登場人物たちが身を削って作ったもののクオリティが低いと説得力に欠ける。そこが惜しいと思う。
手頃なアニメお仕事もの
辻村深月の小説原作。好きな小説家だったので気になっていたのですが、原作は未読で。
まあまあ面白いかな〜。アニメを知っている方なら、ちょっとした「くすぐり」が面白かったりしますが、良く知っている人だと「放送1週間前にコンテ差替えなんてあるかよ」とツッコミところも、、、
原作の評判は良かったのですが、、、これならSHIROBAKOでいいかな。実写でやったことには意義はあると思うが、それなら「なつぞら」でいいか。
アニメパートで笑えたのが、ヒロインの監督に「演技ができない可愛いだけのキャスト」とこき下ろされるのが、高野麻理佳って本職の声優さん。これが微妙なキャスティングで、、、それ言っちゃう?って。いやいやウマ娘声優ですよ〜、サイレンススズカって言えば準主役じゃん!でも、それが代表作だし、、、他のアニメパートの声優は潘めぐみとか花澤香菜とか、普通に1戦級なんですがね。
お話はファンタジーではあるものの羨ましくもあり
この業界の末席に席を置く身としてリアルな目線で観ると、「あー業界ファンタジーだよなぁ」となってしまう。だってリアルはもっと殺伐として生っぽいし、いびつな人のオンパレードだもん(笑)
まぁアニメ制作の内容に関してはほぼ正確だし、作品の端々には業界あるある的な要素もある。でもそれはあくまでも断片の集積でリアルさは薄いなという印象だ。
でもね、観ててなんとも羨ましく感じてしまったのも事実。時間もない中、ラストのリテイクで制作全体が熱く一丸となって、あんな風に神が宿る瞬間なぞないもの。あのシーンはまさに羨望の極みである。不覚にも目に汗が滲んでしまったよw
作品の作りはこれがまぁ贅沢なもので、作中に登場に登場するアニメ二タイトルがガチで作りこんでて感心した。正直、土曜夕方地上波アニメであの作画枚数とカット数はないわな…と悪態をつきつつも挿入される両アニメの出来の良さに感心してる。ずるいw
断片だけとは言え、どちらもマジで独立して1クールイケそうなクオリティの企画だ。そういうところを手を抜かずかなりな熱量でキチっと詰めてくるとこは大いに賞賛したい。おかげで作品に厚みが出てるもの。この辺はあの「映像研には手を出すな」と共通のものを感じた。
よく見ると結構アニオタネタを端々に突っ込んでるんだけど、陳腐なものが多くて割と不発なのが残念。今さら「親父にもぶたれたことは無いのに」とかはないだろうよw
あ、テレビ局編成の会議室のシーンがゼーレっぽくて好きだったがw
惜しむらくは、監督2人がアニオタっぽくないところか。
たとえば、女性監督の生活感のある部屋と男性監督の無機質な部屋の対比を見せたかったのだろうが、ぶっちゃ両アニメ監督の自室にフィギュアのひとつもないなんておかしかったりするんで。その辺はリアルさは欠いているなぁと。でもまぁガチオタの監督じゃ映画にならんかw
あと、あの時間帯での視聴率争いとかもチョットおかしいかな。だって女性監督のサウンドなんちゃらは明らかに土曜の夕方という時間帯のアニメではない。大きいお友達向けアニメだしw最後にBluRayの予約枚数で勝つとかもないよ。王子監督の作品は若年層向け設定だからBluRay販売に差が出るのは当たり前なのが現実。でもそこはファンタジー設定ってことで許容かな。
業界ファンタジー映画ではあるものの、関係者が観たら素直に羨望してしまう映画だと思いますよ、これ。ゆえに佳作です。 ホント「チョコじゃないぃぃ…」だw
あと、王子監督って広井王子がモチーフ?w
ハケンアニメ
通勤途中のポスターと、映画の番宣の吉岡里穂ちゃんの人柄に触れて見ました。想像以上に面白く感動しました。前情報ほぼ無かったので、見終わった後から原作者や連載時の挿し絵の豪華さや凄さ、出版社の熱の入れようが、思い浮かびます。本屋大賞後に映画化されてこんなに感動したので、現場の取材量も半端無いなぁ~と思いました。どの人の立場から見ても、仕事の大変さややりきった感があるので、働く大人にぜひぜひ見て欲しいです。アニメのリアルな現場まで見れて、何度も確認したい映画です。
刺され誰かの胸に、の誰かの顔を具体的にイメージできてないから散漫な映画が完成する。
インディーズ映画の掘り出し物探しもマジ駄作ばかりで飽きてきて、最近はちゃんと面白そうなメジャー映画を観るようにしているのに何故か駄作ばかりを連続で引き当ててしまって、口直しに評判は良さそうな今作を観ることにしました。
が、これも駄作とは言わないですけど中途半端に散漫な映画でしたね。
興行的にも初週でトップテン入りを逃したと知って、だろうな、と納得できる出来映えでした。
劇中のセリフを借りると、刺され誰かの胸に、の誰かの顔を具体的にイメージできてないから散漫な映画が完成するんですよね。
アニメ好きに刺さりたいのか、職業バックヤードもの好きに刺さりたいのか、声優オタに刺さりたいのか、夢追い物語好きに刺さりたいのか、または実際に物作りをしている人に刺さりたいのか。
そういう具体的なイメージが出来ていないでボンヤリしたイメージで色んな人に好かれようとあれもこれも描くから散漫な話になるんですよね。
おそらく原作の伝えたかったメッセージを1番分かっていない映画スタッフに実写化されるなんて、なんとも皮肉な話です。
原作を読んでないので原作の良さを映画が殺しているのか、それとも原作より映画がマシになっているのかは分かりませんけど、脚本にはダメなところがいっぱい目立ちましたね。
描きたいエピソードと描かなくてもよいエピソードの取捨選択が出来ていなくて、編集でもカット出来ていないから話を盛り込みすぎて流れが全部グチャグチャになっているんですよね。
食べ放題に来て元を取るためにムリヤリ色んな料理食べる人みたいな。
デザート食べたのに、新しい肉料理来たからそれにも手を出すというか。
あれ食べてこれ食べての連続で、前菜から落ち着いて一品一品を順番に食べきってくれない感じです。
唯一の救いは監督でしょうかね。多分、この監督は優秀ですね。
このダメな脚本では監督が違えばマジで観られたものじゃない可能性がありました。
それぐらい脚本は酷いです。監督は比較的優秀です。
脚本を本打ちで直せない、編集でも切れないという意味では監督もまだまだ未熟ですが、今後には期待しましょう。
まず、冒頭からアニメ雑誌が書店に並ぶ前までのシークエンスが不要です。
アニメ雑誌並びます、ナレーションベースでザックリとアニメ業界の説明します、タイトルイン。
なぜこれで始まる編集にしなかったのか?
この辺の編集とか演出はとてもテンポが良くて気持ち良いのに、その前まではマジでテンポ悪くて客の興味を削いでます。
面接シーンからいきなり時間を飛ばして7年後、なら面接シーンの小出しも不要でしょう。
あとでいくらでも差し込む場所はあるし。イメージカットみたいな机もそう。要らないです。
編集スタジオの長回しも、冒頭でムリヤリ主要な登場人物をいっぱい出す必要がない。
しかも長回しだからあらゆる間と間が間延びしてタルすぎる。
小野花梨のくだりなんてマジでどうでもいい。
デートとかペンネームとか作画とか、このキャラが主役なら分かるけど、世間的に無名な役者で映画の中でも重要でもないキャラに冒頭で時間を割きすぎです。
しかもコイツだけ長回しでもなくシーンを割って丁寧描くから、見ている観客に誤解が生じます。
重要なキャラだと思っていたら、全然重要じゃないので、無駄なフラストレーションを与えています。
キャラの優先順位を間違いすぎです。
冒頭だけじゃなく、小野花梨と工藤阿須加と六角精児のくだりは全部カットでいいぐらい不要です。
あとタイマン記者会見シーンが長い割りに絶妙に面白くない。
中村倫也の変人ぶりが描きたいのか、カリスマ性を描きたいのか。
吉岡里帆の中村倫也に対する憧れを描きたいのか、覇権を取る宣言を描きたいのか。
この辺が、全部混ぜ込んでしまっているからグチャッとしたシーンにしかなってない。
このシーンまで観て、傑作になる要素はあるけど、絶対大した作品じゃないと核心しました。
ので、あとは流してしか見てません。
が、気になったのは群像劇的に色んなキャラを出し過ぎてキャラの感情、おそらく主人公の吉岡里帆のキャラさえも感情の流れが不自然だったことでしょうか。
そもそも吉岡里帆は何が目的なのか?
アニメでハケンを取りたいのか?
中村倫也に勝ちたいのか?
面白いアニメを作りたいのか?
いじめにあってる隣りの子を励ましたいのか?
過去のトラウマを払拭したいのか?
そういうのも絞れていないから、何がしたいのか分からない魅力無しキャラと散漫なストーリーが出来上がります。
中村倫也からアドバイスもらったら喧嘩した声優のSNS見てすぐに仲直りすればいいのに、ライバルアニメに負けてる、代打だと知る、フラストレーション溜まる、ストレス発散にボクシングしたら尾野真千子に遭遇する、話したらまたやる気出てくる、ふとSNSチェックする。
声優は声優で良い子だと気付いて謝って仲直りする。
……中村倫也のアドバイスから声優と仲直りまでが時間的に離れすぎだし、それよりは大きな葛藤が出てきたのに、小さな葛藤に話が引き戻されるのがとても不自然で観客には苦痛です。
柄本佑も実は吉岡里帆の実力を評価していたのなら、それまでの冷たい言動も意味不明だし、代打の噂の出所もご都合だったことになるし、脚本家のキャラも吉岡里帆を敵視していたのに、ラストの方でいきなり協力的だし、前野朋哉は柄本佑が良い奴になった代わりに急にイヤな人に転身するのが気持ち悪かったです。
それにあのタイミングで吉岡里帆が倒れるのはご都合だし、前兆がなさ過ぎて唐突感がすごいです。
中村倫也が尾野真千子に告白するのも意味不明で鳥肌ものです。
そんな感情、どこに片鱗があった?
あと根本的なところで、日本人がいくらアニメ好きとはいえ、今クールのハケンアニメはどのアニメか?を国民の多くが注目し過ぎていて気持ち悪いです。
それはどこの国の話なんだろうか?
覇権って言葉も一般まで浸透しすぎていて……。
アニメで1番は分かるけど、全部が同じ曜日同じ時間帯に流れているわけじゃないから、単純に順位をつけられないはず。
しかも、視聴率を競っているのに、スマホで見ている人がいるのは何で?
テレビとネットで同時に流すはずなくない?
そして、この手の物語に有りがちな問題はアニメが面白い前提の話なのに、そのアニメが面白そうにはまったく見えないことです。
天才ボクサーの物語を考案しても、どんなに演技が上手な役者を連れてきても、撮影で工夫しても、特訓しても、決してボクシングが強く見えないのと一緒ですね。
せいぜい頑張って演じてるな、ぐらいで。
そのジレンマがあるから、アニメ盛り上がってます、日本中も盛り上がってます、という展開に白けてしまうんですよね。だってそもそもアニメが面白そうには思えないから。
この映画のためだけに頑張ってアニメ作ったのは分かるんですけどね。
中村倫也が発する、クリエイターがクリエイトする苦しみみたいなセリフは良かったですね。
でもだからこそ、中村倫也のキャラにガンダムのシャアのセリフとかを安易に言わせないで欲しかったです。
クリエイトする苦しみを知っているクリエイターが人の作品から安易にセリフをパクる人間性なのかどうか、考えたら分かりそうなものですけどね。
原作が他アニメのセリフを引用させていたとしても、そこは考えて欲しかったですね。
まぁ、安易にセリフをパクっちゃう程度の志の脚本家さんなんでしょう。
そうだ。
ラスト付近で急に最終回の話を変える、というのが吉岡も中村も似通ってましたね。
対極にいるキャラだからそれぞれ全く違う方法やアイデアやアプローチで、自分の個性を最大限に生かしたワザでハケンを取りに行くのがセオリーだろうと思ったんですが、主人公格でライバルの2人にほとんど同じような行動をさせるという脚本は斬新だったなと笑いました。
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