「怒濤の感動作」ハケンアニメ! mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
怒濤の感動作
主人公ひとりのビルドゥングスロマンは数あれど群像として業界の成長をこれほどまでに無駄なく感動的に描いた作品を他に知らない。
まだ見てない人がいるとしたならば、今すぐ、すべてを止めてこの映画をというレベル。ちなみに見るまではヤサグレた孤高のアニメーターが派遣され制作会社の危機を救う話かと観るまでそう思ってた(笑)
主人公の吉岡里帆の設定が実は全体の登場人物に共通した内容で、展開する複雑になりがちなシナリオを極めて小さなエピソードを丹念に繋いで、しかもそれでいて物語の進行はシンプルで到達点が明確に設定されている。複雑と単純を同時に楽しみながらどの時点にでも自分の人生や立場を投影しやすいように誘導されている。気が付いた時には自分が感動のトロッコに載せられて、最初は抵抗していたにも拘らずいつの間にか自らのトロッコ自分で推進し、気が付いたらドンドン周りに同じ方向を向いて走っている仲間のトロッコに気が付く、怒濤の展開にすがすがしい迄の疾走感と単純なハッピーエンドを超えた群像劇の複雑さの中にある幸福感の多様性が描かれている。終盤にはまさに感動のトルネードが待ち構えているのである。
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