「新人アニメ監督が憧れの天才監督・王子千晴に戦いを挑む熱戦!!」ハケンアニメ! 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
新人アニメ監督が憧れの天才監督・王子千晴に戦いを挑む熱戦!!
はじめて監督を任された斎藤瞳(吉岡里帆)の情熱・熱意・頑張り・必死さ。
それがバンバン暑苦しいほど伝わる映画でした。
アニメ業界の人たちは「人の心に伝わる作品」を届けるために、
寝食を忘れて、プライベートを犠牲にして、頑張ります。
なんでそこまで熱くなるの?
と聞きたくなるほど《一生懸命》
そこが人を動かし山を動かし《天下=覇権》を取ることなのですね。
アニメ監督の仕事の中身がかなりリアルに描かれています。
アニメは日本を代表する芸術で今や2兆円産業とか。
斎藤瞳・28歳
公務員を辞めてアニメ制作会社大手に転職。
7年目にして初監督の指名を受ける。
(演じるのは吉岡里帆。頑張り屋の代名詞のような方です)
テレビアニメはワンクールに50本もの新作が製作される。
その中でトップを取ったのアニメを「覇権アニメ」と言う。
(覇権とはあまりにも大袈裟な形容だが、原作は8年前、
(この映画の企画は7年前で、当時は覇権が普通に使われていたが、
(今ではその言葉はあまり使われていないそう)
斉藤瞳の仕事ぶりを見ていると、アニメ監督とは
かなりの権力者だと知れる。
スポンサーとテレビ局の次に偉いのだ。
ざっと仕事内容をあげてみます。
1、脚本と絵コンテ制作
(この設計図が一番大事だと思われます)
2、各関係者との打ち合わせ
3、レイアウト
4、原画チェック
5、カッティング
6、アフレコの立ち合い
そして更に統括プロデューサーの行城(柄本佑)が雑誌の宣伝やグラビア撮影などの
雑用(都、瞳は思っている)を多々入れるので仕事は無限大に多くなる。
まさにオールマイティーを要求される最高責任者が監督
・・・なのですね。
責任者って下で働くスタッフの信頼を得て、彼らがいかに気持ちよく、
斎藤監督のためなら無理難題も聞きたくなる・・・
そういう存在に瞳が成長して、信頼を得るまでの過程が
後半で怒涛のように描かれる。
瞳が監督らしくなって行く様子が素晴らしくて引き込まれました。
そして瞳が命を賭ける「劇中アニメ」のクオリティの高さに目を見張りました。
原作者の辻村深月さんが、
『奏の石 サウンドバック』と、
『運命戦線 リデルライト』の、
12話2作品のプロットを作成して東映のプロデューサー陣に渡すほどの
意気込みだったそうです。
なので
「サバク」は谷東監督。
「リデル」は大塚隆史(絵コンテと演出も)
という2人の気鋭の実力者とスタッフが作り上げた。
(まったく何という贅沢な作品なのでしょう)
「サバク」と「リデル」の作画の違いにも注目。
「サバク」のトワコは日本の子どもそのもの。
「リデル」の少女戦士は無国籍の美少女系。
そして更に「ラスト」
“主人公を殺したい”と、熱望する王子千晴(中村倫也)。
そして「サバク」のラストにも一波乱が起こる。
そのゆくへは如何に?
(このあたりの対比が映画に厚みが増しました)
本当の意味で「我を通した」のは千晴か?
はたまた瞳か?
覇権をとる意味は、結局は一等賞より、良い作品を届けたい・・・
10年後にも残っている作品。
だが良い作品と言われる前に売れる作品、視聴率のとれる作品もまず必至で、
このあたりにジレンマがある。
覇権(金メダル)をとってはじめて監督として認めてもらえる。
王子千晴は瞳の人生観を変えた「ヨスガ」の天才監督。
その憧れの人に「覇権をとります」と勝利宣言。
瞳は世間知らずの怖いものなしに見えます。
ラストに向かって自他共に「天才」を自認する王子千晴が、
実は普通の男の素顔をさらしてきたり、
「努力」と「頑張り」「ど根性」に見える斎藤瞳が、
真の粘りとヤル気で《才能》を開花させる・・・図式も見えてくる。
「アニメ」そして「映画」「音楽」も、「文学」も、
「人はパンのみにあらず」のたとえ通り、
どれだけ救われ、どれだけ人生を豊かにし、生きる力になっているか………
改めて考えさせられました。
中村倫也、尾野真千子の実力と愛すべき存在感。
神作画の小野花梨。六角精児。古舘寛治。
声優の高野麻理佳。
ダントツの柄本佑。
素晴らしい奇跡のコラボレーション。
☆そうそう、ラストのラスト。
エンドロールの最後の1秒まで見てくださいね。
(真の勝者がわかるかも……)
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。
熱いレビュー読ませて頂きました。
鑑賞時の記憶がよみがえってきました。
ありがとうございます。
他のレビューも読ませていただこうかな と
PCで覗いてみたら
レビュー件数が 549件 (11月4日時点)
… わーい
おいおいと読ませて頂きます。 (…汗)
今後ともよろしくお願いいたします。
琥珀糖さん
コメントとフォローありがとうございます。
拙文をお褒めいただき、恐縮です。
本当に、「サバク」と「リデル」をちゃんと観てみたいどすよね。
映画のなかでもそうでしたが、実際のクリエイターの皆さんは凄いと思います。
私は、とにかく筆が遅くて、レビューも書ききれずに未公開がたまっていく体たらくの野郎です。
どんどん観賞してどんどんレビューをアップされる手練れのレビュアーさんたちにほ遠く及びませんが、時々アップするので読んでやってください。
よろしくお願い致します。
> 「鍵のない夢を見た」と「傲慢と善良」を読んだばかりです。
うわ、羨ましい。まだ読んでないです。楽しみ。
もし過去作も読もうと思われたら「辻村深月ワールド」とか「辻村深月 読む順序」で検索すると、過去作を網羅してくれているページが出てくると思います。読む順序で感動が増すので、よかったら、参照ください
日本のアニメは世界一と言えますね。
作画とかは中国に押され気味ではありますが、、、監督となるとやっぱりダントツで日本だと思えます。
努力に見合う報酬が手に入ると良いのですが。
コメントありがとうございました。日本のアニメは素晴らしい。ちょっと監督としては貫禄が・・とは思いましたが・・・レビュー楽しく拝読させていただきました。こちらこそよろしくお願いいたします🙇♂️😊。よろしかったらごらんください。最近酒飲まなくなって甘いものが復活した私です。どっちがイイかはわかりません。😊😊😊