劇場公開日 2022年5月20日

  • 予告編を見る

「“お仕事映画”という難物」ハケンアニメ! シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5“お仕事映画”という難物

2022年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

公開時気にはなったがスルーして興行的にも振るわなかった様だが作品の一般評価自体は悪くなく、何となく気になっていた作品だったので再映された機会に観に行ってきました。
鑑賞結果、客観的に見て確かに映画そのものとしての出来は良かったと思いましたし、ヒットしなかったのも勿体ないと思いましたが、個人的には色々とシックリと来ない部分も多々あり、評価し難い部類の作品でした。
そこで今回お話ししたいことは、タイトルの個人的な“お仕事映画”による評価基準の難しさでしょうかね。

まず、鑑賞前にこの作品のタイトルの意味が私は全く分からず“ハケン”も“派遣”を指す意味と思い込んでいたのが、鑑賞中に“覇権”という意味だと分かりました。
私は映画は“時代の写し鏡”だと思っているので、この作品の設定やテーマに対して若干の時代性のズレ(古さ)を冒頭に感じてしまったので、それが最後まで引っかかりとして残ってしまいました。
私が、Amazonプライムビデオに加入して何年経ったか忘れましたがもう数年は過ぎて、最近Netflixに加入してからも、今アニメを鑑賞するツールは完全にネット配信に移行してしまっているし、テレビの衰退が叫ばれてからもかなりの年月が経ち、今ではティーバーやらアベマなどテレビ番組まで配信コンテンツになっている状況で、今更テレビの視聴率争いを物語の主軸にするって時代感覚は、私の映画嗜好からは完全に外れていました。
まあ、アート系作品とか普遍性を扱った人間ドラマであれば違った角度から鑑賞出来ますが、現代劇でしかも娯楽映画の中の時代性のズレは、私にとっては入り込めない要素の一つになっています。

本作は大枠“お仕事映画”として分類される作品だと思いますが、私のもう一つの個人的な“嗜好”(こだわり)として、昔から“お仕事映画”が苦手なんです。
それは恐らく、個人史的に仕事現場に対して良いイメージがない人間なので、最終的に“仕事”を美化したり、仕事を頑張る事の素晴らしさをテーマとした作品に対して素直に肯定出来ないのが原因なのでしょうね。逆に様々な問題点が解決しないままに終わってくれた方が作品に対しての印象は良くなります。

まあ私の場合、今回の“仕事”に対して感覚は“会社”“組織”“団体”“国家”“政治”に対する感覚と同様で、客観的に良く出来た作品であっても、これらを最終的に美化する内容の作品に対してはいつも懐疑的であり、取り扱いに困ってしまう苦手な作品群ではあります。
今回の感想は私の映画の観方のスタンス表明みたいなものになってしまいました。

コメントする
シューテツ