渇水のレビュー・感想・評価
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男の一生
市の水道課で働く職員の男を通して、見る人間の本質に迫った作品だと思いました。
街では、日照りが続き水不足に堕ちいっていた。
そんな中で水道の支払いが滞ってる人の家に行き、水道料金の催促に向かう。
それに答えてくれない相手に対しては、強制的に水道を止めてしまう。
水というのは、人間にとって最も大切なもので有り、それを止めるという事は、「死」をも招きかねない大変な事だと感じた。
この男性も本心では、街の人達が快適に住み良い街になってくればと願っているのだけども自分が任せられている仕事がそれと逆行している自分に葛藤していた。
主人公の男性は、そんな事もあり家族との生活の中で自分が自分でないような死んだような目をして、生きていた。
そんな事で愛想を尽かされでていてしまった妻と子。
自分が求めているものが今の仕事にあるのか?
このまま誰かの生活を狭めるような行為ばかりが正しいのか?
水がある(家族がある)というのは、とても有難い。
普段何気なく身近にある(愛情)からこそ、気付かない内にそれが枯渇してしまっているのかもしれない。
悲しいけど、足りないと感じた時には、既に遅いのかもしれない。
ちょっとずつでもいいから気づける自分でありたいなと思いました
水不足に悩む水道局職員という面白い設定ながら比喩や内容が浅薄
水を愛の比喩として、降水量の足りない夏に水不足による給水制限に悩む街の水道局職員の男が、料金未納で給水停止した家庭の幼い姉妹に水を上げることで、自分や周囲への愛を取り戻していく過程を描いた作品。
男は家族と別居中、姉妹は父親はおらず母親からも半ば育児放棄に遭っている。双方とも水不足と愛情不足に苦しみ、男は生活に行き詰まりを覚え、姉妹は万引きしなければならないほど追い詰められていく。
限界を感じた男は姉妹を連れて公園に行き、勝手に給水制限を破り、ホースで噴水のように水を噴き出させ、姉妹に浴びせかけ逮捕されてしまう。男の好意を信頼した姉妹は男に愛情を返し、男はその後別居した妻とも復縁できる。
設定は面白いし、主演の生田斗真、子役の山崎七海は好演で魅力的だ。しかし、原作や脚本のせいもあるのだろうが、あまりに単純な比喩と単純なストーリーではないか。
水=愛のない生活の描き方が薄っぺらいし、給水制限されるほど水不足なのに、市内の川は豊かに水を湛えて涼しげに流れているし、子供たちは楽しそうに水遊びしている。
しかも、水道局の職員たちは「太陽と空気と水はタダでいいはずだ」とか、「未納家庭の給水停止をするたびに人間は変わっていく」などと、何とも幼稚なことを口走る。要は内容が浅薄に過ぎるのである。
つまらない恋愛映画が量産される中で、こういう傾向の作品をつくるのは難しいだろう。志はよしとして、次回作に期待するとしよう。
「もう大丈夫。何にも心配いらないからね。」なのか。
母は知らない。
今日、娘の乳歯がぬけたことを。
夜中の公園で姉妹が生活の水を汲むことを。
生きるために、妹を守るために
いけないと知ってる万引きを姉がしてしまうことを。
何日も帰らず?
逃げた夫とおなじ水の臭いがしない男を嗅ぎつけ…
うまくいく?
あの子達の父親の代わりを掴むまで?
それともそれはあなたのため?
それより先に
姉妹がいま一番必要なのは何?
それはたぶん
水でもない。
電気でもない。
ガスでもない。
喉から手がでるほど欲してるのは
目の前のあなたに、ずっと言えないでいる形のないものだ。
そして大人がフォーマットの流れにあてはめた役割に安心しながら
「もう大丈夫。何にも心配いらないからね。」
という。
何にも…ってなんだ。
あのこたちの何かって
きっとそんなに簡単ではない。
養護施設の職員を待つ姉妹は、なみなみと水が溜められたプールに気づき手をつなぎ笑顔で飛び込む。
節水解除後のラストシーンだ。
お姉ちゃんが泣く妹をみて慌てて自分の涙をぬぐいながら
「泣かないで。それだってお水だよ。もったいないじゃん。」と言ったシーンを思い出しながら、
あれだけ待ち侘びた水が、姉妹をようやく抱きしめ涙のない世界に連れ去ってしまうような未来を感じ、私の涙はもう止めれなかった。
生田さんがゼロの華やかさで葛藤に挑んだ苦悩づくめの顔と磯村さんの若々しくからりとした優しい青年像、姉妹役の二人の辛い立場に迫る姿、門脇さが醸し出す境界のわかりにくいリアリティ、尾野さんがみせる強いシビアさは、皆それぞれに前を向く。
心の渇きを潤すものを求め静かに強く運ばれるこの広い世界の、ある切ない物語でした。
水道局の仕事
水を断つ〜それは命を断つこと〜行政は、must not!!
いくらなんでも水道と電気を止めることは、
生きるな!!
死ね!!
を意味する。
行政がそれをするのは憲法に違反してませんか?
人間の生きる権利を奪うことになる。
最低限の水。
最低限の電気。
それは保証してほしいです。
主人公の水道局・職員・岩切は、水道代を4ヶ月も滞納している家庭を
訪問して水道を停止する仕事をしている。
岩切は停水後のことは考えないようにしている。
バディの木田(磯村勇斗)は、その仕事に疑問を持ち慣れることが
出来ない。
そんな中シングルマザーの小出有希(門脇麦)、水道代を滞納したまま
姿を消す。
幼い姉妹の姉の恵子(山崎七海)は必死で妹の久美子(柚穂)を守る。
電気はすでに停められ、公園から水汲みをする。
次第に食べ物を万引きするようになる。
一方で水道局の担当者の岩切は、妻子に実家へ帰られて
鬱屈した日々を過ごしている。
岩切は子供の頃、親から愛された記憶がない。
そんな彼は実の息子の愛し方が分からずに、
妻とも、息子とも家族として繋がることが出来ず悩んでいる。
岩切が毎日帰宅後に花壇の向日葵に水をやるシーン。
姉妹が船長と名付けた【金魚】を愛おしむ様子は胸を打つ。
何かを大切に思う気持ち・・・
それが愛の基本ではないだろうか?
群馬県前橋は渇水注意報が出ている。
連日猛暑で雨が降らない。
住民のイライラも募る。
姉妹の姉役の山崎七海が、両親に顧みられない娘の頑なさと
妹への一途な優しさを最高の演技で表現が素直で胸を打つ。
妹役の柚穂ちゃんも、歯が抜ける時期のあどけなさが、
なんとも、愛らしい。
こんな子たちを捨てる母親はヒトデナシだ。
また門脇麦が上手い。
ネグレストを意識していないバカ親をリアルに演じる。
岩切役の生田斗真。
影のある男がキレる所が、爆発力で鬱屈を表現。
(心の奥には子供が不当に惨めな状況にあることの怒り、
(そして自分へのもどかしい怒りが、あった)
見て見ぬふりをする大人たちが、自分だ。
毒親家庭の子どもとのふれあい
水道局職員の停水活動を描いた作品。色々登場人物はいるがやはり印象的なのは門脇麦演じる毒親と2人の娘。子どもたちに非がないのは言わずもがなだが、それでも水を止めねばならぬのだ。
税金で食ってるくせに偉そうに、と言われるのが流石に気の毒。税金で食ってるのは確かだが、そりゃ公務員だから当然だ。水道代を払わなければ水道を止められるのは当然じゃないか。
いやぁ、でもあれはマズいよね💦子どもたちを見て居ても立っても居られずというのは理解できるが、それにしてもやってることが支離滅裂。自主退職ではなく、きちんと懲戒にして欲しかったですね。(懲戒免職は流石に厳しすぎるとは思うが。)
それに指摘は野暮かもしれないが、あんな大雨なら流石に今時の天気予報なら読めてたでしょ?いくらなんでもストーリーが雑でした。
30年前の設定を現代社会に持ってくるから…
子役の2人が凄すぎ!
人とのつながりを考えさせられる
2023年最高の邦画になるかも
公開直後から見たいと思ってましたが、タイミング合わずにようやく角川シネマ有楽町で見てきました。
山崎七海さんと柚帆さんの子役2人はもちろんのこと、生田斗真さんも磯村勇斗さんも過剰になりすぎない演技でとてもよかった。いつも苦手だった門脇麦さんも素晴らしい役作り。
演出も脚本も絶妙なバランス感覚で、子供達の追い込まれ方や停水係のやるせなさを見事に描き、それでいて悪い意味で引っかかるところがなく、短い時間に凝縮された忘れられない一作となりそうです。何より厳しい現実の中でも確かな希望が描かれていることに心を打たれました。
色々気に入らない点があっても今年の邦画No.1は「怪物」だと思ってましたが、いやいや私は本作を強く推したいです。
世相を表した秀作
自己再生? 家族再生? ネグレクト? 社会福祉? ……いや、テーマは「水は無料でいい」だった。
映画の冒頭、姉妹が水のないプールで遊ぶ。幼い妹を楽しませようとする姉の健気さが伝わり、染みるシーンだ。
結局、このシーンが一番良かったように思う。
水道料金滞納者に督促をし、支払いに応じなければ給水を止めるのが業務の主人公・岩切(生田斗真)が、不幸な境遇にある姉妹と出会ったことで自身を見直す自己再生の物語…ではある。
であれば、岩切の気付きのポイントが重要な気がするのだが、そこが私には見えなかった。
母親が育児放棄状態の姉妹。幼い妹を抱えて追い詰められていく小学生の姉。その姉に助けの手を差し伸べ、拒否されたことで岩切の決心は固まったように見えた。
後輩の木田(磯村勇斗)に対しては業務への割り切りを指導していたが、自分の中では葛藤があったのだろうか。淡々と仕事をこなしながら不条理を感じていたのだろうか。
しかし、である。
ここまで岩切には妻子との間に問題があることは見えていた。自分の子供時代に親との確執があったことも匂わされていた。
たが、あの爆発した行動は社会の不条理への(あるいは納得のいかない業務への)反発ではあっても、自身の夫婦・親子関係の問題には直結しないように思えた。
息子や妻はあの行動を見てはいないのだから、何が彼ら家族の関係を雪解けさせたのか。
「メデタシ、メデタシ」に無理があるように感じた。
不良母(門脇麦)からの謎かけも単に思わせ振りなだけに感じた。
原作は未読だが、脚本段階での練りが足りないのではないだろうか。
そして致命的なのが、画面から暑さや渇きが伝わってこなかったこと。太陽の光を利用するなどして工夫された撮影ではあったが、私にはそれほど暑さが伝わらなかった。
特に、室内の描き方だ。電気も止められているのだから、もっと茹だるような暑さの演出をしても良かったのではないだろうか。
子役も含めて、演者たちはそれぞれ実力を発揮していて、場面場面は引き込むものがある。
が、全体感では不満が残る映画だった。
残念。
尾野真千子の凄み!!
生田斗真「湯道」に続きまた水系
少し物足りず...
切実さが無いのだよ
敬愛する白石和彌の初プロデュース作品ということで見に行ったのだが、かなりバイアスがかかってしまい終始制作側目線で見てしまった自分がなさけない。
つまり水道局のシーンは何度か出て来るのだが当然一日でロケ、しかも午前中で撮り切ってるんだろうなとか、生田と磯村がからむ姉妹の家のシーンも続けて撮ってるんだよなとか。
これは白石監督の「止められるか、俺たちを」のパンフに載っていた「撮影日記」を読んだ悪影響である。あの映画の場合は2週間の日程で実質10日くらいで撮っていて「制作」というと香盤のことばかりがちらつく。
髙橋正弥という監督なのだが、まるで学生映画を見せられているかのような印象で芝居を寸断する寄り引きのオーソドックスなカット割りで、「段取り」が脳裏から離れてくれない。
特に驚いたのは、生田が夜の庭で出て行った尾野真千子を回想するシーンで、煙草ふかして二階を見上げて回想にOLしてまた戻って来るという前時代的な手法を恥ずかしげもなく展開していてあきれる。
どうして白石監督が自分で撮らないのか?と疑問に思うが、しかしごつごつしたピュアな良さも多少はあって特にナンバーガール向井秀徳のギターがガンガン鳴って生田が暴走するシーンは「これぞ学生映画」的なまんまの躍動感があって良い。
設定が「誰も知らない」にあまりにも似ていて、なのに家の中が美術的に貧困の匂いが皆無で、切実さが無く虚しい。
麦ちゃん途中でフェードアウト
悪くないんだけど
題材からして期待した
魂が捻じ曲げられるようなところは
なかったかな。
麦ちゃん2児の母かぁ〜
その子山崎七海ちゃん
多分美貌になるでしょう。
演技も凄いです。末恐ろしいです。
60点
2
TOHOシネマズ日比谷 20230607
パンフ購入
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