渇水のレビュー・感想・評価
全206件中、81~100件目を表示
人とのつながりを考えさせられる
静かでどこか優しいあたたかさがさざ波のように広がっていく不思議な後味の映画でした。多くの問題があり、どこか壊れたというか空虚な人たちがささいなつながりから活きることを取り戻していく。さみしくて痛ましいけれど、どこかほっとしていとおしい。人とのつながりを考えさせられる映画でした。見れてよかったです。
2023年最高の邦画になるかも
公開直後から見たいと思ってましたが、タイミング合わずにようやく角川シネマ有楽町で見てきました。
山崎七海さんと柚帆さんの子役2人はもちろんのこと、生田斗真さんも磯村勇斗さんも過剰になりすぎない演技でとてもよかった。いつも苦手だった門脇麦さんも素晴らしい役作り。
演出も脚本も絶妙なバランス感覚で、子供達の追い込まれ方や停水係のやるせなさを見事に描き、それでいて悪い意味で引っかかるところがなく、短い時間に凝縮された忘れられない一作となりそうです。何より厳しい現実の中でも確かな希望が描かれていることに心を打たれました。
色々気に入らない点があっても今年の邦画No.1は「怪物」だと思ってましたが、いやいや私は本作を強く推したいです。
世相を表した秀作
封切り後、1ヶ月、ようやく観てきました。水道会社の仕事というのは、このような仕事もあるのだなと改めて認識しました。貧困にあえぐ水道料金未納者とそれを停止する職員。そうした人間模様がよく描かれていて、とても興味深い内容でした。貧困が生み出す環境の中、子供達が歪んでいく様、また、非情に停水する職員が人間性を取り戻し、ルールを破る場面で心の繋がりを取り戻すシーンが泣けました。
自己再生? 家族再生? ネグレクト? 社会福祉? ……いや、テーマは「水は無料でいい」だった。
映画の冒頭、姉妹が水のないプールで遊ぶ。幼い妹を楽しませようとする姉の健気さが伝わり、染みるシーンだ。
結局、このシーンが一番良かったように思う。
水道料金滞納者に督促をし、支払いに応じなければ給水を止めるのが業務の主人公・岩切(生田斗真)が、不幸な境遇にある姉妹と出会ったことで自身を見直す自己再生の物語…ではある。
であれば、岩切の気付きのポイントが重要な気がするのだが、そこが私には見えなかった。
母親が育児放棄状態の姉妹。幼い妹を抱えて追い詰められていく小学生の姉。その姉に助けの手を差し伸べ、拒否されたことで岩切の決心は固まったように見えた。
後輩の木田(磯村勇斗)に対しては業務への割り切りを指導していたが、自分の中では葛藤があったのだろうか。淡々と仕事をこなしながら不条理を感じていたのだろうか。
しかし、である。
ここまで岩切には妻子との間に問題があることは見えていた。自分の子供時代に親との確執があったことも匂わされていた。
たが、あの爆発した行動は社会の不条理への(あるいは納得のいかない業務への)反発ではあっても、自身の夫婦・親子関係の問題には直結しないように思えた。
息子や妻はあの行動を見てはいないのだから、何が彼ら家族の関係を雪解けさせたのか。
「メデタシ、メデタシ」に無理があるように感じた。
不良母(門脇麦)からの謎かけも単に思わせ振りなだけに感じた。
原作は未読だが、脚本段階での練りが足りないのではないだろうか。
そして致命的なのが、画面から暑さや渇きが伝わってこなかったこと。太陽の光を利用するなどして工夫された撮影ではあったが、私にはそれほど暑さが伝わらなかった。
特に、室内の描き方だ。電気も止められているのだから、もっと茹だるような暑さの演出をしても良かったのではないだろうか。
子役も含めて、演者たちはそれぞれ実力を発揮していて、場面場面は引き込むものがある。
が、全体感では不満が残る映画だった。
残念。
尾野真千子の凄み!!
原作があり、構想に3年?と聞いていた本作!邦画が見たくなり観てきました。
門脇麦、尾野真千子の二方が雰囲気たっぷりに好演しています♪
色々、暗喩的なワードが出て来ていた?気もしますが、意図してなのか、偶々なのか…自分では理解できなかったです。(匂いや水、海)
後は、子役が凄いです。将来が楽しみ!!
お時間がある方は、子役の演技・女優を見るだけでも価値があると思います。是非、ご観賞下さいー!
生田斗真「湯道」に続きまた水系
どんなに生活が苦しい家でも
滞納しすぎると水道を止めなければいけない。
母が帰って来なくて子供達しかいない家でも…。
テーマは重いが
登場人物のキャラクターが見やすくしている。
特に姉妹!!この子達の演技は秀逸。
“上手過ぎて無理がある子役”ではなく
“素過ぎて芝居か?”でもない
良きバランスの女の子2人!
物語は途中何ヶ所か???なところはあるが
(麦ちゃんは臭い鑑定士?)
ラストへの盛り上がりは映画っぽくて好きだ。
生田斗真「湯道」に続きまた水系。
しかもポスターも似ててねぇwww
少し物足りず...
貧困やネグレクトや夫婦の問題や…
なかなか興味深いテーマなんだけど、
結局、予定調和なラストだったかなぁ。
所詮、主役がいちばんで…
私的には、夫婦の問題より、
ラスト、子どもたちの何かで終わって欲しかったかな。
切実さが無いのだよ
敬愛する白石和彌の初プロデュース作品ということで見に行ったのだが、かなりバイアスがかかってしまい終始制作側目線で見てしまった自分がなさけない。
つまり水道局のシーンは何度か出て来るのだが当然一日でロケ、しかも午前中で撮り切ってるんだろうなとか、生田と磯村がからむ姉妹の家のシーンも続けて撮ってるんだよなとか。
これは白石監督の「止められるか、俺たちを」のパンフに載っていた「撮影日記」を読んだ悪影響である。あの映画の場合は2週間の日程で実質10日くらいで撮っていて「制作」というと香盤のことばかりがちらつく。
髙橋正弥という監督なのだが、まるで学生映画を見せられているかのような印象で芝居を寸断する寄り引きのオーソドックスなカット割りで、「段取り」が脳裏から離れてくれない。
特に驚いたのは、生田が夜の庭で出て行った尾野真千子を回想するシーンで、煙草ふかして二階を見上げて回想にOLしてまた戻って来るという前時代的な手法を恥ずかしげもなく展開していてあきれる。
どうして白石監督が自分で撮らないのか?と疑問に思うが、しかしごつごつしたピュアな良さも多少はあって特にナンバーガール向井秀徳のギターがガンガン鳴って生田が暴走するシーンは「これぞ学生映画」的なまんまの躍動感があって良い。
設定が「誰も知らない」にあまりにも似ていて、なのに家の中が美術的に貧困の匂いが皆無で、切実さが無く虚しい。
麦ちゃん途中でフェードアウト
悪くないんだけど
題材からして期待した
魂が捻じ曲げられるようなところは
なかったかな。
麦ちゃん2児の母かぁ〜
その子山崎七海ちゃん
多分美貌になるでしょう。
演技も凄いです。末恐ろしいです。
60点
2
TOHOシネマズ日比谷 20230607
パンフ購入
渇いた心
水道局に勤務する岩切さんとその助手。
水道代を何ヵ月も支払いをせず、未納を回収
する為に家を訪問する。無理な場合は停水を実行。それは精神的にも疲弊する仕事。
助手のたわいもない発言。
「太陽の光も空気もただなのに
水は何故、ただにならないか」の言葉が素直。
とある辛い境遇の幼い姉妹宅へ。
パパ活で生計しながら家に帰ってこない母親。
岩切さんの匂いを嗅ぎ、出て行った旦那と
同じ水の匂いがすると。
その匂いがすると家族を幸せに出来ないという
言葉が印象的。父性を感じ無いし、持ち合わせて無い香りだったのでは。
公園でのプチテロ行為は、過去の自分がサットエンドになり自分の心も、やっと潤った。
離れていた家族と一緒に海に行き、これまで感じなかった心のシャワー沢山浴びて三人で家族といいものを探して欲しい。
結局、何も語っていない
前半は訪問営業の面白かったり腹立ったりのエピソードいくらでもあるから楽しめた。
結局、なんだかんだ言われてもカネ払わなかったら元栓閉めるだけなんだもん。
NHKの集金人に閉める元栓なんてない。罵倒されればされるほど元栓閉める歓びってのが生まれるだろうな。
今くらい景気が悪いと水道局員ってそれなりに自慢出来る仕事だと思うわ。小説が発表された90年代は公務員より商人の方が景気が良くてモテてたけど。
なのに必要以上に辛い仕事って、強調されても全然ピンと来ない。主人公の行動も腑に落ちないことが多い。
なんか全部上っ面ばっかり。
空気も太陽もタダなのに、なんで水はタダじゃないの?ってそれ説明しないとわからんのかなあ。
うーん
映画はノンフィクションと思いながらも、うーんと思うことがあり…
母親出て行く場面に行きあったら、とりあえず児相に電話しようよ
とか、
噴水の場面、役所だったら一回目なら揉み消さないかな?とかいろいろ思うことあり。
でも、お姉ちゃん役の子の演技が素晴らしく、星半分プラスしました。
是枝三作を超える傑作
是枝監督作品の『誰も知らない』『万引き家族』『そして、父になる』と似た人物設定、展開があり、それぞれの作品が提起した課題をまとめて打開しようとする良心を感じ、それらを超える傑作である。
優れた短編小説の映像化
原作は読んでいないが、優れた短編小説の映像化に成功した一例と言える。
自身と親との関わりから、我が子と適切な距離を持てない男が主人公。
水道局の停止水執行業務に淡々とこなしている。
母親からネグレクトを受けている姉妹との出会いが彼の心に何か変化を起こさせるというストーリーではあるが、役者陣がそれぞれ良い働きをしている。
門脇麦も良かったが、長女も今後が楽しみな子役。尾野真千子も作品ごとに別人のように登場するさすがの演技派。
よく似たテーマの作品がほかにもあるという指摘もあるが、見方はそれぞれ。
好感が持てる作品。
美しいものは誰のものでもないものである。
原作は未読ですが、30年前の原作当時とは違って、今はさらに貧富差が拡大し、コロナも加わって、一人親世対の困窮度はさらに高まっているようです。当たり前になっているので、『私だけ感』が弱まっているからなのか、『苛烈』と言われている原作からイメージされるものとは若干異なり、少し未来に希望をもてるような中身になっているところは、とても良かったと思います。
本作を観て、昨年9月に起こった、中学生姉妹の列車事故を思い出しました。運転手が『二人抱き合っているように見えた』というあの事件です。最近の国会で野党が子供達の心の安全と命を守るために対応が必要との訴えのときに持ち出したのがこの事件でしたが、答弁に立った大臣の声が心なしか涙で震えているように見えたのがとても印象的でした。
美しいものは、誰のものでもないものである。
日本のある詩人がこんな意味のことを言っていました。
生きてゆくのに必要なもののうち、太陽の光や、青空や、空気はただなのに、何故水に料金がかかるのだろう。この映画にもそんな台詞がありました。雨水を濾過して清潔な状態にし、運搬するのには、コストがかかるのだから、それはしょうがないよなとつぶやきつつ、よくよく考えると、電気とは違って、それがないと命の維持が最早不可能になるような性質のものなのだから、基本的人権を守るためのベーシックインカムの一部として現物給付することもできるのではないか・・・なんていう夢想に走ったりします。(以下ネタバレあり)
ささやかな水テロ。そんな本気の抵抗の根っこにあった感情は、多分『抱き合って死んだ』姉妹たちの話を聞いて震えた大臣の感情と同じだったのだと思います。映画ではささやかすぎて、社会の仕組みをかえることは無論無理だったわけですが、その共感が姉妹のこころにある重要な変化を与えたように、国の政策にも変化を与えて、幼い命が無駄に散るようなことが一切ない世の中になってほしいものだ・・・そのように思いました。
くり返し考えると★の増える作品
生田斗真が主演なので見に行った、とゆうだけの私にはちょっと難しかった
社会問題をたくさん提示され、何を感じれば良いのか。。私も流されて生きてるからね!
監督がもっと言いたいことを、明確に出してくれたら。映画見てる時間は別世界と思ってるので、思いっきり表現してくださいな。
ネグレクト、学歴社会、貧困、ほか諸々(働く意義、家族)の問題が同時に降り掛かってきたら、心は乾くね。
岩切は子供の愛し方がわからない程になってる。
自分が小さい頃愛されていなかった…て理由だけじゃなく、人の家の水道を停止する仕事に愛を感じないからじゃないかなぁ。。助けようとしても分かり合えないし(小出の母とかね)。
しかし①水はタダよ、山の中の滝とかはね。でも家に来る水は整備されてるんだから水道局にありがたく金払うでしょ。下水道のお金も払わなきゃあね。
しかし②「湯道」のむき卵のような肌と比べて今回の肌はどうだ。生気のなさはどうだ。俳優ってすごい…
誰かがやらなきゃいけない仕事
払わなきゃいけないものだから
映画の様なやるせない気になる環境下で決断を下さなければならない時もあるでしょう。とある放送料とは違って公平性ある中での支払いなのでただ単に払わない輩は止められても仕方ないよね。
嫌な業務お勤め御苦労様です。
長女の子がのんに似てると思いながら色々な作品に出てくるんだろうなぁと😅
最終的に前向きで良かった。
個人的にもっと泣ける内容を期待してしまった。。
子供への親と社会の責任
それは大人もいろいろつらいのであるが、子供は無防備であるのだから、社会システムがもっと強く守れるようにしないといけない、ということを改めて感じた。主人公の家族への感情も生い立ちに起因している。とはいえ、自分も子供にはそっけなかったので子供も感情表現があっさりしているなと思い、思いつまされるのであるが。
じわじわと胸にくる
子どもたちとホースで水を撒くシーンで、なぜだか目に涙が滲んできた。
父性、というのはなかなか言語化・具体化しにくいけど、この作品は、社会の中で働く男、特に父親の存在にフォーカスした稀有な作品であるといえる。
男はつらいよでもなく、リーアムニーソンでもない、普通の、社会の仕組みに組み込まれ、家では煙たがられている男がみな持っている感情をうまく表現した佳作である。
諦念を超えた先に生まれる行動と感情の結末に、共感を感じるか否かで、この作品の受け止め方はまるで違うと思う。
ヴェオリアだったらこうはいかない
ガッキー風味のある毅然とした姉といつでも無邪気に明るい妹がネグられた上、猛暑の水不足下で水道まで停められる。公園での水テロ場面や、やたら生田斗真にタバコ吸わせて間をもたせるとか、彼女の妊娠に気づかない磯村勇斗のありがちなボンクラぶりなど気になるところは多々あるが、健気な姉妹の姿に同情しないわけがなく、正直反則である。
母親役の門脇麦は生活臭のする貧乏シンママ感を出しながら、化粧すると絶妙なグンマーの援交・パパ活女子らしさで相変わらずすばらしい(めちゃくちゃ言ってすみません)。水のにおいがする男はダメって、普通の30歳じゃ出てこない知見だ。
粒子の粗いざらついた映像はフィルムっぽさを狙ったのか。まあ、普通に撮っちゃうとNHKの2時間ドラマでいいかという話だが、予算なさげな割に著名な俳優が端役まで揃ってるのは製作の白石和彌の力だろう。ラストは生田の家庭が修復されるより、姉妹の父親がスエズ運河から戻って二人を迎えに来るファンタジーにしてほしかった。やっと雨が降ったんだし。
全206件中、81~100件目を表示