劇場公開日 2023年6月2日

「公務員の一現場を観て」渇水 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0公務員の一現場を観て

2023年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

同時期公開の「怪物」との比較がよくされています
水道局職員と幼い姉妹、小学校教員とそこで学ぶ児童たち
公務員は市民への公平性が求められる一方で、様々な批判非難を受けることで、「法令順守」で感情を抑え込んで「仕事」をすることが求められるような姿を感じます
セーフティネットと言われる生活保護だって、困窮している人自らが福祉の窓口に行かなく
ては支援を始まらない  そういった困窮者をみつけて役所の支援につなげようとする善人(本作ではお節介っぽい柴田さん)がいなければ、福祉の窓口みずからが(虐待事案でなければ)支援できない  それに対して水道局は、料金徴収という「公平性」を保つ行為の中で、(悪意の滞納者もいる中で)声をあげない、あるいはあげられない人たちの存在をみつける  「公平性」のため市民税滞納者の徴収に加え、国民健康保険、国民年金の保険料未納者に対してチームを組んで徴収に取り組まれている自治体は増えているが、水道料金においても、一つの公的サービス利用料として徴収率を上げ、未収を減らすという「公平性」が求められている現状に胸が痛くなりました  この原作が相当前の時代に起ったことが描かれているとすれば、「行政の効率化」「小さな役所」「公務員の削減」といった現在の流れ、さらに水道事業の民営化・広域化は、水の供給・支払いも電気ガス同様契約による「自己選択」となり、「ライフラインだから」という考えは将来なくなっていくのでしょうか
そういった市民の生活や意見に触れている公務員(将来は民営化・外部委託となるのでしょうが)が、ぶつけどころのない「怒り」「葛藤」を持って小さなテロを起こしたことに、小さな拍手を送りました  子どもたちが幸せでありますように
(6月11日 イオンシネマりんくう泉南 にて鑑賞)

chikuhou
琥珀糖さんのコメント
2023年9月16日

ご無沙汰してます。

水道局が未納車の水道を停止する。
実際に電気とガスが停められたらどうやって生きていくのでしょうね。
まぁ、親がいなくなった時点で、福祉の方へ連絡するのだと思いますが。
姉妹を捨てる母親に憤りを感じました。
「怪物」はまだ観てないのですが、是枝裕和監督の、
「誰も知らない」
この映画も公園で水を汲むシーンがあり、
訴える感情はもっと強かったです。
子供が悲しんだり苦しんだりしないこと。
願いますね。

琥珀糖