「新しい試みを感じさせる作品」ONE PIECE FILM RED もっちゃれんさんの映画レビュー(感想・評価)
新しい試みを感じさせる作品
ドレスローザあたりから原作を追っている比較的新規のファンです。
原作ファンや新規ファン関わらず評価が真っ二つに分かれてる、今までの劇場版シリーズにない面白い作品だと思います。
私は受け入れることができた側でした。
ネタバレなしで今回の作品を評価できたらと思います。
【良かった点】
・シャンクスと赤髪海賊団が喋って動いている
・シャンクスの人物像が掴める
・戦闘シーンは激アツ
・ED
・製作陣側の新しいことをしようという意図を感じられる
【悪かった点】
・初見だとウタに感情移入しきれない
・前半パートがダラけている
・特典の小冊子ありき
・他作品に比べて麦わらの一味間での感情のやりとりが少ない
低評価された方達は歌唱やボイスを含め、ウタというキャラクターを受け入れることが出来なかった方が多いという印象を受けました。
評価の割れ方を見ていただけたら分かると思いますが、ウタに感情移入出来るか否かで物語の満足度が大きく変わります。
YouTubeで公開されているウタのMVを見て無理かも、となった方は劇場に行かず、配信や地上波を待つのも全然ありだと思います。
ただでさえ間延びした印象を受ける前半パートで、好意的な感情を抱いていないウタが出ずっぱりになるので、苦痛と感じてしまう人も出てきてしまうのも当然です。
ですが、歌唱ボイスををado以外で起用したほうがよかった、という意見は少し違う気がします。
ウタの持つ過去や思想、今回引き起こす若さ故の行動は、今のインターネット社会で絶大な支持を受けているZ世代のアーティストでないと意味がないのではと思いました。純粋に歌唱力の高いベテランを起用してしまうと物語の核から外れてしまう。
ですが、逆にウタのことを理解できると本当に何十倍も面白くなります。
第一弾特典である今回の小冊子、前作のスタンピードと違い、劇場版スタッフが描いたキャラクターのデザイン画が一切ありません。
尾田先生が描いたコスチュームラフ+収録曲の歌詞+尾田先生が書いたプロット
以上です。
もうこれだけで1000円以上払う価値があるのではというくらいにウタというキャラクターを理解するのに必要です。
小冊子の内容を踏まえてもう一度劇場に足を運ぶと、ふとした瞬間のカットの意味が分かり、また違った印象を受けることができます。
ただ、今回は「ウタの物語」という印象を強く受けるため、どうしても麦わらの一味の面々の活躍は弱まっています。
これまでの劇場版の様に一味が繰り広げる冒険、バトル、バトル!をワンピースの映画で望まれる方には少し合わないかも。
ですが、これまでのワンピースからしては異色なほどウタという人物は、複雑で矛盾したリアルな心境を抱えています。
なので、その分一人の少女を通した人間ドラマが見れるかと思います。(Twitterで時々流れてくるオマツリ男爵に似ている、という意見はここからきているのでは)
また、シャンクスについてですが、劇場版名探偵コナンのゲストキャラクターばりの活躍は期待しないほうがいいです。
ですが、シャンクスという本編にすら殆ど登場しないキャラクターを物語の根幹に絡めつつ、原作に影響しないギリギリの範囲でルフィらと関わりを持たせたのは純粋に上手いと思いました。
それに加え、「赤髪のシャンクス」だけでなく「一人の父親」としてのシャンクスが見れただけで、もう前半部分チャラになるのでは、となるくらいに満足できました。
ラストシーンは本当に感動しました。
長々と書かせていただきましたが、ウタを受け入れることができるかな、と思った方はワンピースを知っている方、あまり知らない方関わらず是非見ていただきたい作品ですので、特典の冊子がある間に劇場に足を運んでもらいたいです。