ギャング・オブ・アメリカのレビュー・感想・評価
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マフィア、ギャング映画好きにおすすめのマニアック作
マイヤー・ランスキーといえば『ゴッドファーザーPART2』でリー・ストラスバーグが演じたハイマン・ロスのモデルになった人物であり、数ある「ゴッドファーザー」の登場人物の中でももっともモデル度が高いキャラ。そのランスキーが、一体どんな人物だったのかを落ち目のジャーナリストが追いかける構成になっていて、地味ながら入門編として入りやすい作りだと思う。 それでいて、ハーヴェイ・カイテルの正体を掴ませない演技もあって、新たなレイヤーは加わってもどんな人物だったのかはいまいちわからない。それも「わかった気になる」お手軽に伝記映画とは違う、本作の作り手の真摯な部分だと思う。 基本的にユダヤ人目線を貫いていて、いささかランスキーを美化し過ぎてないかと思う部分もあるが、第二次大戦時の対ナチス工作など、ギャングの所業に収まらない部分も興味深い。『ゴッドファーザーPART2』だけでなく、『バグジー』や『モブスターズ 青春の群像』などの関連作と併せて観るのもオススメ。
老いてもなお我々を魅了するカイテルの演技
数々の名作において切れ味のある存在感を刻むハーヴェイ・カイテルが、80歳を超えるいまどんな姿を見せるのか。若かりし頃のバイタリティは無い。体のサイズもやや縮んでしまっているように見受ける。だが、彼がいざダイナーで一言セリフを放ち始めると、そこには独特の響きとリズム、カイテルならではの穏やかな緊張感が広がり始めるーーー我々が老いてもなお彼の演技に釘付けにならざるを得ない心理的流れは、ちょうど伝記作家(サム・ワーシントン)が不安を抱えながら”ランスキー”と出会い、徐々に引き込まれていく過程と似ているかもしれない。ただ、回想と共に現在地(80年代)を同時進行で描こうとする本作の野心的な試みをつつがなく全うするには、2時間の枠内では到底無理だ。そのため多少、足早になったり、二人の関係性が沸きらないままだったり。だがそれでもなお、本作がトライしようとしたこと、カイテルが刻んだ存在感は大いに買いたい。
渋い実力派。ハーベイ・カイテルとランスキーは立ち位置も似ている
アル・パチーノやロバート・デ・ニーロと同様、ハーベイ・カイテルもギャングを度々演じてきた男くさい俳優だ。だがパチーノとデ・ニーロの華やかなスター性と比べると、カイテルの地味さは否めない。どちらかと言えば重要な脇役でいぶし銀のように控えめな輝きを放つ渋い演者なのだ。 そんなカイテル(現在82歳、メイクのせいもあるだろうがずいぶん顔が老け込んだ印象)が本作で演じるランスキーもまた、米国の犯罪史上特に悪名高いマフィアだが、外国の一般人にとってはアル・カポネ、ラッキー・ルチアーノ、ベンジャミン“バグジー”シーゲルに比べると知名度がかなり下がるのではないか。映画で描かれるように、ランスキーは子供の頃から数字に強く、マフィアに企業経営を応用して組織を近代化し、カジノ経営でも大成功した。知的で用心深く、冷酷な面もあったランスキーだが、敵対勢力を次々に倒す武闘派や、賭け事や女遊びで豪快に生きる顔役に比べると、やはり映画の主人公としては少々地味な印象を受ける。ギャング紳士録におけるランスキーと、「ギャングを度々演じた俳優リスト」におけるカイテルの立ち位置は似ている気がする。理にかなったキャスティングと言えるかもしれない。 監督・脚本は、本作が長編2作目のエタン・ロッカウェイ。父親が生前のランスキーにインタビューしたそうで、父親をモデルにした作家ストーンをサム・ワーシントンが演じている。年老いてマイアミで楽隠居中のランスキーがストーン相手に語る回想が、そのままランスキーの人生の振り返りとして描かれる構成だ。ただし、噂されるランスキーの隠し財産を探るため、FBIがストーンに接触してくるので、ランスキーがマフィアの世界で成り上がっていく過程を描く回想パートだけでなく、ランスキーとFBIの間で揺れるストーンの現代パートにもサスペンス要素が加味されている。 ロシア系ユダヤ人移民だったランスキーが、第二次世界大戦中は米国内に入り込んだドイツ側スパイの摘発に協力した話など、米国の裏の歴史を知る面白さもある。ギャングを扱った近年の映画では、スコセッシ監督の重厚な「アイリッシュマン」、ジョシュ・トランク監督による変わり種の「カポネ」などに比べると、やはり地味ではあるものの、手堅くまとめた印象だ。
深かった
カジノ王マイアー・ランスキーの物語です。話の流れはあらすじや解説を見ていただくとして、肝心な3億ドル、どこにあるのか?そもそもあるのか?というところが実際のところわかりません。実態的に見つかってないわけですしね。 自分は、ラストでなんとなく分かりました。あってないようなものであって、あるんだけどないのと同じようなものなのかなあ。と。そう考えるだけでいろんなパターンが思考されまして、それだけでも楽しいです。今でも。 それから、ランスキーって誰も裏切ることはないんだけど、裏切られっぱなしなんですねえ。裏切りが分かったら容赦しないですけど、そこは短兵急に始末するわけではない。そういうところは「仁義」を感じました。二次大戦時、ドイツのスパイ対策で活躍したのにアメリカからお尋ね者扱いされ法廷に立たされ、イスラエルの建国時に援助を惜しまなかったのにあっさり裏切られ追放され、と結構散々な、見る人からすれば「因果応報」かもしれませんが、人生だったみたいですね。しかし、ランスキーを裏切らなかったものが2つだけあったんじゃないか?って気付きました。そこと3億ドルを結びつけて考えると、ほら、スルスルと話がつながっていく(ホントかいなw)。 そういう構成です。 なお、小ネタというか笑いどころも結構ありまして、幸いにして貸切状態で鑑賞できましたのでところどころで大笑いさせていただきました。 しかしですねえ・・・ ・邦題がおかしい。ギャングの話ではないです。少なくとも。原題のLANSKY以上にしっくりくるものはないです。 ・史実そのものではないようです。離婚してませんし、バグジーの最後もよくわからない描かれ方としています。 ・FBIむかつきますねw
ドラマシリーズで!
禁酒法時代のギャングとしてアル・カポネ、ラッキー・ルチアーノ、バグジー・シーゲルなどと比べるとマイナー存在である(私が知らなかっただけかも)マイヤー・ランスキーの半生を描くドラマ。 第二次大戦下のアメリカでナチス協力集会に殴り込んだり、ドイツのスパイ摘発に協力するなど興味深いエピソード満載。 晩年のランスキーを演じるのはハーヴェイ・カイテルで適役なんだが、ひとまわり小さく縮んでしまった感ある彼の姿に寂しい気持ちになってしまった。 監督の父親が実際にランスキーにインタビューしていたそうで、記者の視点やエピソードを入れたかったのだろうが、これはなくても良かった。 特にFBIこ命令で記者に近づく女性のエピソードなんかは蛇足感否めず(ミンカ・ケリーもブレイク仕損なっちゃよね。)。 禁酒法時代のギャングの中では長期間の服役経験もなく普通に病気で亡くなった稀有な存在のこの人物を描くには、映画よりも『ボードウォーク・エンパイア』のようなドラマシリーズが相応しかったのではないか?
好好爺然とした晩年のランスキーが教えてくれるもの
本作はマイヤーランスキーの禁酒法時代からキューバ革命後までの彼の躍進と悲哀の半生を描く。 それはまさしく白とも黒ともつかないグレーの濃淡そのものの人生だ。 彼は人生というゲームの「胴元」にまではなることができず、 彼さえも我々と同じ「カモ」に過ぎなかったのだろうか。 「お金を失うことは大したことないが、健康を失う事は厄介。そして、最も大変なことは自分を見失うこと。」 彼が作中で語る数々の含蓄ある言葉は3億ドル以上の価値がありそうな気もする。 マフィアの抗争の歴史はそこそこに マイヤー・ランスキーの「人間」としての一面がここに描かれている。
現代アメリカのギャング史(主演のハーベイ・カイテルが痺れるほど格好良い)
カジノ経営をギャングの生業にした男 映画の中盤で印象的な言葉があった。 「殺人(殺してしまっては・・)は、金にならない」 そう言ってマイヤー・ランスキーはマーダー・インク(殺人株式会社)の経営から、 経済ギャングに方向変換した。 ランスキーは数字にはめっぽう強かった。 マイヤー・ランスキー(1902~1982年) 投獄もされず、仲間にも殺されず、天寿を全うしたギャング。 彼は生涯を、売れないライターのデヴィッド・ストーン(サム・ワーシントン)に語り、 回想シーンでランスキーの過去を振り返った映画。 ギャングの近代化を見るような映画だった。 暴力からビジネスマンへ。 過去のマフィア映画。 「ゴッドファーザー」1972年公開の伝説のマフィア。コルレアーノ・ファミリー。 「バグジー」1991年公開。砂漠にラスベガスを作ったベンジャミン“バグジー“シーゲルの生涯。 (ランスキーはバグジーの片腕だった) 「グッドフェローズ」1990年。仲間同士が、裏切り殺し合う血みどろの世界。 「ブラック・スキャンダル」2015年。 ジョニー・デップがギャングのボスホワイティを演じた。 この映画は自ら手を下して殺すやら、麻薬売買の現場は抑えられるわで、証拠の垂れ流し。 これらのギャング映画で、警察との癒着や政界との馴れ合いも描かれている。 ギャングの考え方、生き方そして家族。 デヴィッド・ストーンもランスキーも良き家庭人であろうとするものの、 ランスキーは妻から「結局は犯罪者でしょ!!」と断罪されるし、 デヴィッドの妻は金にならない夫を見下して浮気に走る。 しかしランスキーのビジネス・・・キューバのカジノ経営は大当たりして、 イスラエル政府に巨大な資金援助をするまでになる。 と言うことは、国際的にも権力者として一目も二目も置かれること。 (ランスキーのルーツ、ユダヤ人愛も見もの) ランスキーの隠し財産に興味を持つFBIはストーンに盗聴器を仕掛け、 更に金を交換条件に懐柔を図る。 本当に隠し財産が3億ドルもあるのか? アル・カポネも晩年、FBIの監視下に置かれて、隠し財産を見つけるために、 FBIは大掛かりな盗聴を仕掛けて屋敷の池を掘り返したりしていた。 それって結局、徳川埋蔵金と一緒でしょうね(笑) ギャングの大悪人(ランスキー)も年老いて余生をマイアミで悠々自適だもんね。 良いご身分です。 ラストに流れるテロップ。 皮肉ですね。 カジノ事業は巨大な税収を収め、200万人の雇用を生み出した。 だから、マフィアは「必要悪」のブラック企業!? 《な訳はあるまい》 冗談じゃない!! 冗談がキツイぜ!!
アメリカって怖いです!
言わずと知れたラッキー・ルチアーノと並び有名なギャングの半生です。彼が捕まらず、最後まで余生を送れた理由が分かりました。今まで不思議に思っていたのですが、政府と取引していたのですね。ナチスのスパイを摘発するのも、イスラエルの建国にも力を貸していた。
生まれ故郷ロシアで、ユダヤ人であるため、差別と迫害をされ続けていた。アメリカに移住し、ビシネスの才能を開花させ合法的なマフィアに改革した。余生をイスラエルで過ごそうとしたが、ニクソンによって幅まれた。いくら建国に金と武器の調達してもらっていた恩があっても、犯罪者を入国させる訳にはいかないですよね。アメリカも取引した極秘情報を、他国に知られたくないし、CIAの監視下に置きたいですしね。
しかし、戦争に勝つためには、犯罪組織も利用するアメリカの凄いところですね。まあ、今も司法取引がありますから。FBIがランスキーの財産の行方を追っていたが、CIAにもみ消された。彼が逮捕されたら、全てが明るみに出ますから。今まで映画にならなかったのって、当事者が生きていたからですかね?
それにしても、バグジー、ルチアーノ、マランツァーノとか大物ギャングが勢揃いで、ドキドキしました。ユダヤ人である事を国に利用された彼の悲哀が伝わり身に沁みます。
政治と金
いつの時代も政治と産業と金って関連性があるんだなって思った。悪事とわかりながらも、財を成すことは野望の固まりで。でも家族にはいい暮らしさせたいしもわかる気がするが。明るみに出ない、秘密やお金にまつわる話しはたくさんあるんだろうと思った。どこかに隠してる💰はいつかは見つかるのかな?
久々のギャングモノ…ちょっと物足りないかなぁ
久々のギャングモノ。 主役を張るパチーノ、デニーロに対し、脇を固めつつ、存在感を示してくるのがペシそして今作の主演ハーヴェイカイテル。 レジェンドが出るだけで作品がぐっと上がる気がする。 今作はカイテル演じるマイヤーランスキーが自身の半生を夫婦仲に問題を抱える作家に語ることで話が進んでいく。 現代パートが長いなぁ。FBIとの攻防より、アイリッシュマンのように もっと長尺でアメリカの闇の歴史そのものと言えるレジェンド ランスキーの生き様をじっくりと観たかったなぁ。
禁酒法時代から半世紀にわたりアメリカの暗黒街を支配した伝説的マフィ...
禁酒法時代から半世紀にわたりアメリカの暗黒街を支配した伝説的マフィア、マイヤー・ランスキーの人生を描いたクライムドラマ。
燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや
売れない作家が金のためにマフィアのドン、ランスキーの伝記を執筆するということで、武勇伝のような過去の半生語りと現在のFBIによるランスキーのかくし金さがしの同時進行という構造。 マフィアらしい武勇伝のほうのいかにも盛り盛り満載で派手なエピソードの合間に現在時間で起きることが「意味が分かると怖い話」のようにじわじわ来ます。 ランスキーは家族や友人など自分の気に入った人間には徹底した優しさをみせるが、思い入れのない人間には本当に容赦なく冷たく処理する。 自分を出し抜いた人間や自分を陥れるスパイは容赦なく始末する一方で、家族や友人は最後まで見捨てない。 どうしても受け入れられないことを本来誰のせいでもないのに神や自分のせいにして錯乱する奥方の売り言葉にも、普通は言ってしまいそうな買い言葉を絶対に言わない。 世の中の半分ぐらいの人は言ってはいけないことを言って相手にも自分にも致命傷を与えてしまうものではないか・・・。 男というのはどうしてこんな綺麗にハニートラップに引っかかってしまうものなのか・・・・ 実際、わかっていても歯止めが効かないものなんだろうけど
愛する人の眼にどう映るか
作家のデビッド・ストーンは、伝説的なマフィアであるマイヤー・ランスキーの伝記を書こうとし、1981年にマイアミでランスキー本人にインタビューを行った。ランスキーが生きている間は公言しない事を条件に、ランスキー自身から語られる人生は、ロシアでユダヤ人として生まれ、1910年代にロシアからアメリカに両親と渡ってきてからインタビューを受けた1981年までの約70半の生き様と博打から始まったギャングたちの抗争の記録でもあった。そしてインタビューが終わりに近づいた頃、ストーンはFBIが脱税で得た3億ドルとも言われるランスキーの巨額な資産を捜査していることを知りFBIから情報提供を依頼された。捜査協力を強いられたストーンは・・・という、ランスキーのドキュメンタリー的作品。 個人的にはランスキーを知らなかったので興味深く観れた。 マフィアの会合のようなものがあった事も知った。勉強になった。 自らは殺しを実行せず、他人にやらせる所はずる賢いのかも。 色々と含蓄のある言葉を発していたが、生きることは愛する人の眼にどう映るか、を考えて判断する、というのが1番心に残った。
グレーの濃淡
落ち目の作家ストーンが、伝説の悪党マイヤー・ランスキーの伝記を書くことになり、未だ知られざる彼の真実に近づこうとする物語。 作品としては、ランスキーをインタビューを通した回想シーンを基に、ストーン自身が抱える問題やランスキーの真相を掴もうとするFBIからも圧力をかけられて…といった展開で進んでいく。 バルト9のこの枠なので、B級アクション的なものを想像していたが、とにかく濃厚なドラマ作品。 序盤、ランスキーやベンの行動は悪党そのもので、何故こんな奴らがのうのうと外を出歩けているのか、なんて思ったりもしたが。。 悪党と政府の関係…。昨今でも、汚職やらなんやらを確実にやっていると思われる連中が逮捕されないのも、単に立場や金を持っているからってだけじゃなかったりするのかな…。そんなことを考えてしまった。 皮肉にも、悪事って多量の利益を生み出しやすかったりするんですよね。 内容としては、ランスキーらが悪いことをしながらのし上がっていき、更なる問題にぶち当たり…というのは何となくわかるが、登場人物の多さや会話の内容からして、ワタクシには細部までは読み込みきれない難しさがあった。 そんな中でも、危ない橋を渡るストーンの緊張感や、ランスキーの本当の想いが垣間見えた時には胸がアツくなった。始まりはわからんけど、ビジネスに執着したのは、どうにか良い人生を…と思ったんじゃないかな。それもこうなってしまったら…。 いくつもの悪事を重ねた男の生き様と、それでいて勝者のいない現実に打ちのめされた気分になった。
ゲームの支配者
ユダヤ系ロシアンマフィアの大物マイヤー・ランスキーと、彼の伝記を書く為にインタビューをした男の話。 1981年マイアミで、ランスキーに呼ばれた作家が彼にインタビューをする体で、10歳の頃アメリカに来てからの約70年のことや、作家とランスキーのやり取り等をみせていく。 バグジーことベンジャミン・シーゲルと組んでノミ屋を開いて成り上がり、ラッキー・ルチアーノと絡んだり、ナチズムを唱えるヤツらにお仕置きしたり、マーダー・インクに関与したり…。 淡々としたといえる程大人しくはないエピソードが続くので、こういう話に興味があれば楽しめるとは思うけれど、映画としては大きな盛り上がりがある訳ではないし、マランツァーノの件をみるに結構盛っており、どこまでが事実かは判らないものの、こういう話をランキングが語ったということが凄いと思うし、非常に興味深いし面白かった。
バグジーと比べてしまった
お仲間だったバグジーとランスキー 30年も前に公開されたバグジーには華があった それからすると映画としては地味なのだが バグジーの死にも関わり ほんとは自死ではなかったとこちらでは表している 一般的にいうとこちらは女性受けはしない作品かとは思うが 表裏で見比べて観るのはありだと思う
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