「アニメの歴史 × ハリウッドの現在 = ぼくら世代の"ロジャー・ラビット"」チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アニメの歴史 × ハリウッドの現在 = ぼくら世代の"ロジャー・ラビット"

2022年5月21日
Androidアプリから投稿

"いいとこ取り"ならぬ自虐的ブラックジョーク/アメリカンユーモアを交えてアニメーション表現の現在地と歴史を最高のエンタメとして一纏めにしてみせた見事な"大作戦"!今の時代、もう黒歴史は忘れるのではなくドンドン積極的にネタに=むしろ忘れさせないくらいリマインドして笑い飛ばすもの!!

"リスクを避けることが最大のリスクだ"
テンポよくおもしろい確かにコレは紛れもなくリスクテイカー。驚異の入れ子構造で真の賢さと遊び心、そして常識を覆そうという大胆な野心が素晴らしいスタッフの尽力や情熱、映画人たちの歩みと共にある。昨今のリブート・ブームという時代の流れに自覚的、客観的に一石を投じる深い洞察。なんでも実写化と称して、同じコンテンツ/タイトルを擦り倒しては何度も何度も作り直すお馴染み手法。『ジャングル・ブック』に端を発するような昨今のその流れに例えば『ソニック』や『トムとジェリー』なんかも。そうしたことを"CG整形"、"アニメキャラクターの失踪"、"古いキャラクターには厳しい時代"として巧みに織り込み扱っている。他にも著作権法や、闇スタジオに売り払ってブートレグ海賊版。
歴史ある手描きアニメと現在進行系の3Dアニメの同居。それだけに留まることなくアニメーション表現の歴史と進化が混在しては、手描きアニメから3DCGアニメその変遷・過渡期やストップモーションアニメといったあらゆるアニメ手法が同一の世界の中に同居している。進歩の歩みや変遷と創造性を決して無駄にしない。楽しく見て学べるし、知らなくてもこれを機に興味を持つキッカケになるかも。何より現実世界を皮肉っていて自虐的すぎて笑っちゃう。作画や絵のタッチが変わるたびに慣れ親しんできたファンとして受け入れるのに時間がかかるわけであってそうしたこと、イメージも本作の無縁じゃない。ディズニーの長年に渡る歴史と昨今の積極的なM&Aにおける傘下取り込み、絶対的コンテンツ帝国の為せる技。アニメを現実として業界のリアルにも目を向けては根幹やハートを損なうことなく面白おかしく描く。
我らがアンディ・サムバーグがデールということはつまりラップも…?作品が実際の生活になる。アニメキャラクターにも生活があってという発想・着眼点それ自体は決して真新しいものではないけど、そこからの掘り下げや表現方法が本当にお見事。駄作ならアメリカで僕と一緒に作れるけど、ハリウッドのホラ話にはうんざりだ。3作どころじゃない続編の嵐に、名前を変え品を変えタイトルだけ変えて、いつも焼き直しで新しい手はないのか?昔はかわいかった子役もいつかし"劣化"して忘れ去られていく。敵キャラが大人になっ(てしまっ)た中年ピーターパンというのもいい。2000年代初頭の"谷(バレー)"、目が『ポーラー・エクスプレス』。生気のない目。手描きアニメがどうとかではなくなくてすべてに良さがあって、それらどれも一つとして欠かすことなかったから今がある。友達はビジネスより大事だ!昔のアニメキャラクターがラップで復活なんて!ありがちクリシェ!! 黒幕犯人も?

勝手に関連作『ロジャー・ラビット』

とぽとぽ