「感傷的望郷映画」ベルファスト odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
感傷的望郷映画
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監督・脚本・製作のケネス・ブラナーさんの故郷、北アイルランドのベルファーストでの少年時代を綴った感傷的望郷映画。
父親はイギリスへの出稼ぎで留守がちだが帰宅した時は家族で映画館へ行くのが常、そんな体験も映画人を志したプラナーさんの原点なのでしょう。
劇中でも語っていますが宗教の怖さを日常的に感じる生活を疑似体験、1969年、人類が月に降りたったと言うのにプロテスタントとカトリックの対立は激化するばかり、無知と言うのは怖いものです。
ベルファーストはタイタニックでも知られる造船の町ですから仕事が無かったわけではないと思われますが父親の雇用事情がどうだったのかは分かりません、幼い子のいる家庭では治安悪化は切実ですし生活の為に転居するのは致し方ないでしょう。必要以上に感傷的に思えますが個人的な思い入れで作ったような映画なので仕方ありませんね。
似たような少年の故郷へのノスタルジーを描いた映画では感動の名作「故郷は緑なりき(1961)」があり炭鉱に依存した村人の描写も秀逸でした、それに比べると本作で描かれるのは主にプラナーさん一家ばかり、極論すればホームビデオを見せられているような退屈さが否めませんでした、脚色を嫌ったのか、少年時代なので記憶が浅かったのかもしれませんが映画なのですからもう少し対象を広げ、人物を深堀りしても良かったでしょう。
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