「環境に優しい作品?」ベルファスト kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
環境に優しい作品?
全体的にはモノクロ作品なのに、現代のベルファストや映画がカラーになっている珍しさ。ウキウキしている少年バディの目の輝きはカラーフィルムからの反射を受け、楽しそうな心が反映されているかのようでした。
その映画が『恐竜100万年』や『チキ・チキ・バン・バン』。なんということか、自分も幼い頃に映画館で観た作品。思わず懐かしくて涙が出そうになった。ラクエル・ウェルチのエロティックボディは教育的にもいいんだよね。それにスタートレックのテーマ曲が流れるし、マイティーソーのコミックやアガサ・クリスティの小説が出てきたりで、ブラナーが監督として撮っている映画まで・・・クスクスと笑ってしまいましたよ。それより、「環境に優しいから」という台詞には爆笑モノでしたが・・・
突如襲ってきたプロテスタントの武装集団。カトリック教徒を追い出そうという目的だったようですが、実はバディ君の一家はプロテスタント。これがカトリック側だともっと悲惨な作品になりかねませんでしたが、違う意味で父親の苦悩、それに暴徒に加わらないよう教育するママが困っていた様子が描かれます。
興味深いのは名前によってプロテスタントかカトリックか分かるといった会話。ショーンやパトリックはカトリック、ビリーはプロテスタントといった感じで、トマスだけが宙ぶらりん。まぁ、ともかく宗派の違いだけでここまで争いが起こるなんて、無宗教の私には理解が及びません。算数の答えの曖昧さテクニックだけは理解できましたけど。
人間そのものを愛したりすれば、たとえ宗教が違っても和解できる。世界中がそうした分断に愛を持って応えればいいんだね・・・などと軽く言ってしまえばそれまでですが、ロシアとウクライナの関係をみると、そんな単純なものじゃないと愕然としてしまいます。本来なら、イギリスそのものだって労働者階級などと階級差別が根底にあるし、完全なヒエラルキーが存在している国だ。医療制度だけは素晴らしいものの失業率は高水準で推移しているし、暴動やテロがいつ起こってもおかしくない、住みたくない国の一つ。
そんな紛争の中心に暮らしていたケネス・ブラナーが少年時代を回顧して、素晴らしい作品を創った。今後の彼の作品もこれを踏まえて鑑賞すると今までにない評価が出来そうです。
バディ少年の瞳の輝き・・・モノクロ画面でもありありと感じました。
紛争に巻き込まれるってこんなに過酷なことなのですね。
古い映画や音楽、ダンスにうっとりしつつ、
深く平和について考えさせられる作品でした。
kossyさんコメントありがとうございます。環境に優しいの件は笑いました。最初の移住予定地がバンクーバーかシドニー。英語って凄いです。タウンとかド忘れする事って日常茶飯事です。あと人の名前も。
ラクエル・ウェルチはジャン・ポール・ベルモンドの「ムッシュとマドモアゼル」に出てた、確かに教育的にもいい素晴らしいボディで頭良くて運動神経いい素敵な女優さんですねー!「ベルファスト」の映画の中ではわかんなかったです。kossyさん、すごい!