「秀作だと思う。でも、観る私に問題がありそうだ。」ベルファスト いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
秀作だと思う。でも、観る私に問題がありそうだ。
正直にレビューを投稿する。
監督自身が少年時代住んでいた故郷北アイルランドのベルファストを描いた自伝映画である。
背景にプロテスタントとカトリックの宗派対立があり、市民暴動や迫害テロが発生している。主人公の家系はプロテスタントに属している。
1969年の日常生活が監督自身の少年の目を通して、丁寧に描かれている。それも白黒映画で。
時々、色つきとなる。推測だが、過ぎ去った昔は白黒で、但し監督の脳裏に現在でも鮮明にあり、生きている部分は色つきにしたと私は考えた。
少年やその家族の日常生活を描いているので、本当のところ退屈であった。この家族の行末はどうなるのだろうか。それで展開はスムーズである。また飽きもしない。劇的に面白くなるのは、後半に入りプロテスタント側の市民暴動に少年が巻き込まれてからだ。後は一気に結末へと運んでくれる。
悩む人間の姿が映しだされる。悩みに年齢は関係ない。恋や借金や迫害テロ等さまざまである。それでも人間は生きて行かなければならない。祖父の葬儀で、カトリック教徒は地獄に落ちると説教した牧師が、死を悲しむよりも彼が生きたことを感謝しようと述べる。苦しくても生きる勇気を与える映画だと思う。
実は私は今、あることで悩んでいる。生死には直結していない。傍からみれば些細な悩みである。しかし、私にとっては大事で、この映画を観ても勇気を貰えなかった。私自身に問題があって、この評価となった。無ければ、0.5点加点しても良かった。
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