「大人にこそ観てほしい。」私ときどきレッサーパンダ NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
大人にこそ観てほしい。
前提として
・多分二回目(字幕と吹替視聴済。)。
・ドミー・シー監督の他作品は未視聴。
・2000年生まれの日本人。
予想してたよりも面白かった!
思春期のストレスと親からの理想像という葛藤を、レッサーパンダという形で表現している。
ストーリーとしてはまさに思春期なんだけど、母親や祖母など、家族という血縁が物語に大きく影響するのがミソ。ポップコーンムービーと侮るなかれ。
メイメイが美形でもなく、母親の教育で努力家であるという存在。変に距離が無くて、親近感が湧く。レッサーパンダ姿も可愛い。
母親の苦悩も明確にかつ深刻に描かれる。第二の主人公なんじゃないか、ってぐらいに強いキャラクター。大人にこそ観てほしい理由はここにある。背景が2002年なのにも狙いがありそう。あと、吹替版だと木村佳乃さんの良い声が聞ける。
序盤は異常に歪だけどハートフルに物語が進んでいくから違和感と共感性羞恥がすごい。ただし、レッサーパンダになったあとは一気に雰囲気が変化。これがレッサーパンダの力か。儀式になるとまたテイストが変わる。「こんな作品だっけ?!」の連続。
日本人にも受けやすいポイントはいくつもある。家族のことももちろんだが、たまごっちやヒーローもののオマージュなどなど、共感しやすかったりクスッとしちゃう小ネタがたくさん。
音楽は2000年代初頭のボーイズアイドルがメイン。終盤のマッシュアップは感涙もの。懐かしいが、年齢によっては新鮮に感じるだろう。これを観たら君も"4towner"だ!
原題の『Turning Red』もまた良いのよ。しっかり考えてある。日本語タイトルも分かりやすくて良いけどね。
でも日本語のフォントはもう少し改善してほしい……これはディズニー+側の問題か?
音楽・変身・ギャグ・思春期が混ぜ込まれた子供向け。けれど、大人にこそ観てほしい。そんな作品。