「誰にだって心に野獣を飼ってる」私ときどきレッサーパンダ ゆっこさんの映画レビュー(感想・評価)
誰にだって心に野獣を飼ってる
めっっちゃくちゃよかった!
いい子でいる、周りの期待に応える呪い。そこからの解放。
自分の中に抑えこんでる怒りや悲しみや欲望の塊をレッサーパンダってポップなアイコンで表現しちゃうの天才すぎる。
こんなに過保護な親はレアだけど、少なからず子供は親に愛されたくて忖度しちゃうことある。
子供だけじゃない、大人になってもそう。
だけど自分を律して本音を押さえ込んで、周りに迷惑かけない自分でいることが本当に正解で"大人"なんだろうか?
その問いに怒りを爆発させた母の姿で返す。
押さえ込んで伝えられなかった気持ちはとんでもない爆弾になって心に抑え込まれる。
その溜飲を下げるために、自分が我慢してきたこと、出来なかったこと、本当はしてほしかったこと、無条件に愛されることを娘にさせる。
それでかわりに自分を保つ、呪いの連鎖、それが本当に正しいことだろうか?
ちゃんとただの悪者を作らない、誰かを断罪しない所が安心のディズニークオリティ。ちゃんとそんな母も救ってくれる。
ある意味、自分の中の野獣とともに生きることを決める方が強いなと感じる。
友達との関係が最高によかった。
子供には親の知らない子供だけの世界がある。
いろんな顔がある、それは誰にだってそう。
自分のコンプレックスをただ認めるだけじゃなく、使えるじゃん!てとこまで振り切っちゃうのがよかったな。
所々子供の本音がしっかり出てるとこもいい。
「私普段習い事もたくさんやっていい子やって、本当に頑張ってる!」
「ごめんねいい子じゃなくて!完璧な子じゃなくて!ママみたいになれなくて!」
って自分で言えたこと。
いいんだよ、ならなくて。
魅力的な人間って完璧な人じゃなくて、欠けてたりズルかったり弱かったりする所こそその人の愛しさや本音が詰まってるように思う。
完璧な人ばっかりじゃ世の中つまんないよね。
他人を大切にするために自分を大切にするの、自分をすごく愛してあげることが一番大事。
上手にガス抜きして生きたいよね。見てスッキリした!
呪いからの解放をこんなにエンタメに仕上げられるなんて本当に天才…
「誰でも心に野獣を飼ってて、上手に隠してる。だけど私は外に出した、あなたはどう?」