「役者と予算の無駄遣い。」グレイマン レントさんの映画レビュー(感想・評価)
役者と予算の無駄遣い。
確かに豪華な俳優陣と高額な製作費。ストーリーに必然性があるとは到底思えないほど世界中でのロケシーンや、これまた必然性あるとは思えない無駄なドンパチシーンをを延々と見せられる。
正直、アクション映画を舐めるなと言いたい。ただ、ド派手なドンパチシーン見せとけば観客は満足するとでも思っているのか。だとしたら観客を舐めすぎだし、一級のクリエイターが本作を作りたくて作ったとは到底思えない。
かつては「ダイ・ハード」のような傑作アクション映画を世に出したハリウッド映画だが、本作のようにただ予算を組み、配信で採算取れれば良いんだ的なおざなりな映画も散見される。
本作は内容的にはよくあるスパイアクション映画。だが唯一特徴的なのは主人公がDV被害者であり、それが原因で父親を殺めたという設定。にも関わらず、本編ではほとんどその点が生かされてない。この設定をもっと膨らませて人間ドラマ部分を深く掘り下げたらもう少し見応えある作品になったのではないだろうか。
そして、本作は人間ドラマの薄っぺらさもさることながら、肝心のアクションシーンについても全く新鮮味がなく、アクションに限れば、先日鑑賞した韓国映画「モガディシュ」の足元にも及ばない。
ただ既視感ありまくりのアクションを見せ続けられて、後半に至ってはもはや苦痛でしかなかった。隣りの観客などずっとため息を漏らし、エンドロールになると足早に劇場を後にしてしまった。
常に作品を世に出し続けなければならないハリウッドの宿命かもしれないが、ここまでの予算と俳優陣を揃えてこの内容は残念でならない。もっと脚本の方に力を入れて欲しい。
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