「グレイマンvsキャプテン・サイコ」グレイマン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
グレイマンvsキャプテン・サイコ
Netflixのオリジナル映画史上、最高額の2億ドルを投じて製作。
現10作まで刊行されている人気小説を基に、シリーズ化想定。
監督は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『~エンドゲーム』のルッソ兄弟、出演にライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマスら人気と魅力の今をときめくスター。
大手メジャースタジオ級のアクション大作。
スピーディーな展開でヨーロッパ各地を駆け、CIA内部の暗躍が交錯するが、話自体はオーソドックス。
服役の身からCIAにリクルートされた男。名前が3つある。
本名はコート・ジェントリー、エージェント名はシエラ・シックス、またの名を“グレイマン”…。
凄腕として活躍していたが、バンコクでの任務中…。
暗殺指令が出ていた男は“身内”。その男から渡されたチップには、CIAの暗部に関わる機密情報が…。
現CIA本部長からチップの入手とシックス暗殺に雇われたロイド・ハンセン。同じ工作員だが、拷問を厭わない非情な暗殺者。
唯一信用している元本部長は姪を人質に取られ、手も足も出ない。
バンコクの任務で同行したエージェント、ミランダの協力を得て、ハンセンの襲撃をかいくぐっていく…。
“第2のボーン・シリーズ”のような既視感は否めない。
あちらより演出・脚本に強引さもある。
が、スーパーヒーロー集団を束ねたルッソ兄弟の怒涛のアクション演出で有無をも言わせず見せ切る。
冒頭のバンコクの、花火の中で繰り広げられる幻想的な美しさすらあるアクション。
墜落する飛行機から脱出の、ダイブ・アクション。
本作の目玉、プラハでの市街戦。路面電車で街を破壊するアクションは圧巻。
インド人俳優ダヌーシュ演じるフリーの暗殺者との肉弾戦。
クライマックスはクロアチア。アジト内の噴水の中で、シックスとハンセンの一対一の肉弾戦は迫真。
ヨーロッパ各地で繰り広げられる逃亡&追跡劇はスリリング、ふんだんに盛り込まれたアクションは迫力。
全編のほとんどがアクション&スリルと言っていいほど。
一部では劇場公開もされたが、全国規模で、劇場大スクリーンで観たかった…。
主人公シックスのキャラも魅力。
仕事は完璧。が、一転、命を狙われる。
元受刑囚。犯した罪は、殺人。虐待父親から弟を守る為…。
悪人ではない。自分をスカウトした元本部長への恩義。彼から託され、姪を命懸けで守る。
闘いでボロボロ。幾度も傷付き、血を流す。が、強靭な体力と精神力、己の信念で対する。
『ドライヴ』や『L.A.ギャングストーリー』などアクション映画出演経験はあるものの、こんなにも身体を張った本格アクションは初挑戦。ライアン・ゴズリングが熱演。って言うか、カッケェ~!
悪役もインパクトなくてはならない。
残忍。あの“爪剥がし”の拷問は戦慄…。
どんなに人を殺そうと、どんなに街を怖そうと、お構いナシ。
ちょびひげと、ちょいちょいのユーモア。
まさしく、“キャプテン・サイコ”! クリス・エヴァンスが悪役を嬉々と怪演。
ちなみに、“超人的”が嫌い。(←アンタが言うか!)
昨年のスパイ任務はちょこっとだけだったが、本作では力強いバックアップ。昨年のスパイ任務ほどキュート&セクシーは無かったけど、またまたアナちゃんアクションが魅れた。そうそう、適度な距離を保って。
ビリー・ボブ・ソーントン他クセ者助演キャストもさることながら、姪っ子役は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の天才子役。大きくなったね~!
今回、黒幕である現本部長は不問に。
その部下の女性エージェントの思惑。
全ての責任と罪はロイドに擦り付けられ、死人に口なし。CIAの闇は深い。
が、ラスト、一矢報いたシックスに痛快。
次なる闘いへ、闘いはまだ始まったばかり。