「Netflix史上最高額の製作費を謳うだけのことはある」グレイマン 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
Netflix史上最高額の製作費を謳うだけのことはある
CIAにリクルートされた犯罪者が極秘ミッションのコマに使われる。既視感のある設定を、『アベンジャーズ』シリーズを数多く請け負ったルッソ兄弟が、途中で重要キャラの1人に恐らく意図的に『スーパーヒーローという呼び名は嫌いだ』などと言わせて、ここでは建前上生身のアクションで全編を繋げていく。
しかし、その皮肉はあまり効果的じゃない。ライアン・ゴズリングとクリス・エヴァンスが演じるコマたちの不死身ぶりは、やはりここでもかなりスーパーだからだ。
展開は早い。悲劇的な運命を背負った殺人者たちvsCIAサイドの息詰まる攻防が、バンコク、ウィーン、プラハ、クロアチア、アゼルバイジャンと世界各地を転々としながら描かれる豪華なフォーマットは、Netflix史上最高額の製作費(2億ドル)を謳っているだけのことはある。
俳優たちの仕上がりはどうか。嬉々としてヴィランを演じるエヴァンスに鮮度があり、そのエヴァンスとは『ナイブズ・アウト/名探偵と刃物の館の秘密』で、また、ゴズリングとは『ブレードランナー2049』で共演しているアナ・デ・アルマスも、同じくアクション俳優としての初々しさをキープしている。しかし、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でファンを魅了したコケティッシュな躍動美の復活は、次作までお預けと言ったところだろうか。
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