「個人的には面白かったです!」母性 komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
個人的には面白かったです!
(ネタバレですので鑑賞してから読んで下さい)
意外に他レビューの評価は低いようですが、個人的には面白かったです。
おそらく低いレビューが多いのは、(一般的に想像する)「母性」のないルミ子(戸田恵梨香さん)に対してほとんど理解が及ばなかったのが理由なのではとは思われました。
しかし、時代背景がほとんど描写されていないから分かりにくいですが、ルミ子の夫(三浦誠己さん)とルミ子の親友(中村ゆりさん)が学生運動をしていたとの描写から、ルミ子は団塊の世代(現在で言うと70代~)であることが分かります。
となると、ルミ子の娘の清佳(永野芽郁さん)は団塊ジュニア(現在で言うと50代前後)の世代になると思われます。
つまり、学生運動後の高度成長期にがむしゃらに働いていた夫と、夫に家庭のことに関心をほぼ払われず精神的に孤立していた専業主婦の妻とその母親、そしてその専業主婦の娘の話だと考えれば、この映画のストーリーもしっくりくるのではと思われました。
こういう精神的に孤立していて、あのような振る舞いしか出来ない女性はある時期確実にいたのだと思われます。
仮に、こんな(一般的に想像する)「母性」のないルミ子や、ひたすらルミ子に嫌味を言い続け実の娘を一方的に溺愛しているルミ子の義母(高畑淳子さん)などの感覚が理解できない人が現在では大半なのであれば、今の時代は女性にとっては幾分かは当時よりはましな精神状態に置かれるようになったともいえると思われます。
そういう意味では、この映画はしっかりと初めから時代背景は現在とは違うと描いた方が良かったのかもしれません。
個人的には、火事でルミ子の実母(大地真央さん)が自ら命を絶つ場面は、さすがにそれはないだろう、とは思われましたが、それ以外は時代背景踏まえて個人的には、面白く見ました。