大河への道のレビュー・感想・評価
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かたじけない
着想が面白いですね。原作である立川志の輔さんの創作落語「伊能忠敬物語~大河への道」こそが素晴らしいのだと思いますが、一方、今作の脚本も細部までよく練られていて、さらに現代と江戸時代の両方を同じ俳優でキャスティングするというアイデアがうまく奏功していてより一層楽しくなったと思いました。とりわけクライマックスでお殿様に拝謁する場面、方や知事に対面する場面がよかったですね。このシーンを観られただけでも大満足でした(笑)。少し前にDVDでみた「キネマの神様」(21)の北川景子さんの和服姿もとても美しかったのですが、今作でも江戸時代パートの北川さんの艶やかさが眩しかったです。ふとした瞬間、若い頃の吉永小百合さんに重なって見えてハッとしました。そう思うと鼻にかかった声も少し似ているような気がしました。中井貴一さんのコメディエンヌぶりも可笑しくて、他の脇役もみなさんいい味わいがあって、よい作品でした。今あるのはこうした無名の人々の苦労あってのこと、そのことを知ることが明日への糧になるような気がしました。
伊能忠敬を主人公に大河ドラマ制作を売り込もうとする市役所職員。 現...
伊能忠敬を主人公に大河ドラマ制作を売り込もうとする市役所職員。
現代と200年前を同じ俳優が演じるというのがおもしろい。
200年前の話はそのまま大河ドラマでも使えそうな力作だ。
完成した日本地図は息を吞むような壮大さ。
立川志の輔による創作落語を映画化したということだが、一体どんな落語なのか興味がわいてきた。
脚本も演出もそして演技も、なかなか見応えある映画に出会えた!
衛星写真などのない江戸時代に、自らの足で測量し、現代とほとんど変わらない日本地図を作り上げた伊能忠敬とその弟子たちの功績の前にして、涙を流さずにいられようか!
しかし、伊能忠敬が日本地図を作り上げたと思っていたが、実は完成の3年前に亡くなっていた⁉︎という驚愕の事実があった!弟子たちは、伊能忠敬の死を隠し、日本地図の完成を急いだ。この日の目に当たらない弟子たちの功績を、千葉県香取市の「伊能忠敬の大河ドラマをつくる」というミッションの中で描いていくという、面白い演出!
落語家の立川志の輔が描く新作落語を映画にしたとあって、クスッと笑いたくなるシーンが満載!
さらに、中井貴一、松山ケンイチ、北川景子、西村まさ彦、橋爪功、そして、草刈正雄という豪華な俳優陣!彼らの演技力が光る!
現代と江戸時代を同じ俳優陣が演技していくのも面白い!
立川志の輔さん原作なんだ!!
タイトルは『伊能忠敬物語』の方が記憶に残っているしピンとくる。『大河への道』がメインタイトルなんだな。
中井貴一さんの出ている映画はハズレがない。時代劇と現代劇で皆さんダブルで演じていてそういう映画って初めて観たように思う。
伊能さんが地図完成前にお亡くなりなっていたのは事実なのだろう。そこは自分の記憶になかったけれど。
当時の何も機器が揃っていない中で凄い偉業を果たしていかれたと思う。
劇中劇。草刈の二重キャストはなかなか。伊能のストーリーに打たれる。...
劇中劇。草刈の二重キャストはなかなか。伊能のストーリーに打たれる。中井の微妙なキャラクターが唯一で素晴らしい。何でもない普通の人が何かを為遂げる、ソン・ガンホみたいな役者。
中井貴一の演技力を観る
伊能忠敬の死亡が3年間伏せられていたという映画なので最初ビックリしたが、そのこと自体は相当以前から知られていたらしい。見どころは、中井演じる高橋景保の心理変化、悩みではないか。同じような悩み、それからの吹っ切れが同じく中井演じる市役所主任にも見られる。
伊能忠敬を別角度から
この作品は伊能忠敬を新しい角度から捉えていて、本当に勉強になり面白かったですね。
個人的には日本地図を将軍に披露して、将軍(草刈正雄)が伊能忠敬を労うシーンが良かったです。
また配役も良いですね。
全部惜しい
2022/05/23@有楽町
演者はみんな素晴らしかった
けど演技も、脚本も、演出も全て中途半端に感じた
どの俳優も(特に中井貴一は)時代劇を演じられる人なのになんとなく現代寄り
中途半端なコメディ
役者の人数が少ないのも気になる
内容は面白いのにもったいない
笑いと感動への道
Paraviで鑑賞(レンタル)。
原作は未読です。
現代パートと時代劇パートを交錯させ、双方の出来事がリンクして収束していくストーリーがとても面白かったです。
現代パートのコメディーに笑わされたかと思いきや、時代劇パートでしっかりと感動させられてしまいました。
死して尚人を動かした伊能忠敬は間違い無く偉人だし、偉業と志を継いだ名も無き人々の想いに胸が熱くなりました。
2022 186本目
豪華な役者は出てるが、総じて地味でした。
ジャンルをどうしたいのか不明。コメディにしたかったのかなぁ。笑えませんでした。
大河とはそっちだったのねと観て最初に思った。
もう少し北川景子の印象を強くしてあげればなぁと
大日本沿海輿地全図の誕生秘話
原作は立川志の輔の創作落語。
企画は主演した中井貴一。
志の輔から2時間弱の落語のDVDを借りた中井は、映画化を熱望。
発案から足掛け6年遂に完成したのが「大河への道」です。
日本初の全国地図。
それが大日本沿海輿地全図です。
今から200年程前の1821年完成とあります。
それを完成させたとされる伊能忠敬は、千葉県香取市が生んだ偉人。
香取市市役所の地域振興策としてアイデアを出し合っていた際に、
市役所課長・池本(中井貴一)が苦し紛れにだしたのが、
“チュウケイさん(忠敬)を主役にNHK大河ドラマを作ってもらおう“
との企画でした。
しかし伊能忠敬は『大日本沿海輿地全図』の完成の3年前に死去していた
・・・と言う事実が判明。
この映画は忠敬死去から3年。
その死を隠して地図を完成させた弟子たちの苦労や紆余曲折を、
香取市役所の面々が現代の場面と江戸時代の場面を別の役で登場する
・・・面白いダブルキャスト(?)が効果覿面、最高の仕上がりです。
市役所職員の池本/江戸時代は高橋景保:中井貴一
同じく木下/又吉:松山ケンイチ
観光課の小林/忠敬の妻エイ:北川景子
安野/トヨ:岸井ゆきの
梅さん/医者の梅安:立川志の輔
ネギ抜きのネギ鴨蕎麦を頼む山上/忠敬の死を探る神田:西村まさひこ
和田/忠敬の一番弟子綿貫善右衛門:平田満
千葉県知事/徳川家斉:草刈正雄
脚本家の加藤/忠敬の墓のある寺の和尚:橋爪功
このダブルキャストが予想外に効果的で親しみやすかったです。
中井貴一の演じる高橋景保は伊能忠敬の20歳も年下の師匠(出てこない)の
息子。幕府との折衝に当たります。
50歳で隠居してからは趣味の暦や天文学や測量を極めた伊能忠敬は、
江戸で4度目の結婚をします。
忠敬が才女と認めたエイ(北川景子)は詩人であり書家でもあり、
地図の清書を実際に史実でも手伝ったとのこと。
北川景子はチャキチャキの江戸っ子キャラで鉄砲な性格。
(ため息が出るほど美しかったです)
この映画のハイライトはなんといっても『全日本沿海輿地全図』が
徳川家斉(草刈正雄)にお披露目されるシーン。
大広間(100畳とか200畳位ある)
その大広間に引き占められた地図。
その大きさ、美しさ、完成まで17年の苦難を背負った神々しさ。
圧巻でした。
大日本沿海輿地全図!!こそが「大河への道」の真の主役。
志の輔さんが言ってました。
“落語が映画になるなんて夢みたい“
中井貴一さんも言ってます、コロナで中断に次ぐ中断。
きっと予算も底をついて大変だったことでしょう。
(松山ケンイチはイキイキ魚のように跳ねてました)
(中井貴一の貫禄ある江戸時代と、調整型の市役所の何でも屋)
北川景子、橋爪功、西村まさひこ、岸井ゆきの。
申し分ない好演でした。
草刈正雄も素晴らしかったです。
ただひとつ文句をつけるとしたら、DJ梅ちゃんに小学生が問いかけます。
“どうして全国各地を巡って測量しないのですか?“
“CGもあるのに・・・“
ですよねー。
九十九里浜みたいな海岸線ばかりでしたねー。
歩測(一歩68センチなら100歩で68メートル)
伊能忠敬の歩幅は68センチ。
ちなみに中井貴一は歩幅99センチ。
(伊能忠敬は身長150センチ程だったのでしょう)
歩測ばかりでしたね。
伊能忠敬は暦と天体観測に詳しく《緯度》を空の天体観測から測り、
地図の実測に使用していたとの事。
(経度は江戸時代にはまだ無理だったのですが・・・)
断崖絶壁は船上から測量もした。
Wikipediaを読みますと、本当に蝦夷地(北海道)に始まり、九州まで、
歩きに歩いた17年。
70歳で1818年に亡くなりますが、現在なら90歳の高齢です。
余談ですが、全日本沿海輿地全図は、
大図=縮尺36,000分の1。
中図=216,000分の1。
小図=432,000分の1。
大図は214枚。
中図は8枚。
小図は3枚です。
徳川家斉公がご覧になったのは214枚の大図だったのでしょう。
だからあの大迫力。
「よう作り上げた!!どれほどの難儀が!!」
「大義であった!!!」
将軍さまならずとも下々のわたしめも、感嘆、感動、感涙でございました。
彼らの測量と一歩は、遥か現代日本まで
毎年話題になる大河ドラマの題材や人物。
今は『鎌倉殿の13人』が人気のようで。来年は家康だっけ?
実は大河ドラマをほとんど見た事無い私。ゴメンちゃい…。
さてさて、それでも大河ドラマの題材になるのは凄い事。日本の歴史や偉人は星の数。
我が福島で言うと野口英世はなったっていいと思う。お札にもなったんだし。その昔、映画になったからまあいいか…。
まだまだ大河ドラマの題材になって欲しい偉人はたくさんいる。
その偉人と同郷の人たちは特にそう思っている。
何故この偉人が大河ドラマにならないの…?
“ちゅうけいさん”だって。
…“ちゅうけいさん”?
千葉県香取市。地元の人から親しみ込めて“ちゅうけいさん”と呼ばれてるのは知らなかったけど、伊能忠敬の事は知っている。
日本地図を作った人。
始めたのは五十を過ぎてから。
測量や天文も一から学び。
優れた計測機器やコンピュータもドローンも無かった時代。自分の足で歩き、自分の目で計り、自分の頭で計算し…。
この測量の仕方、正直ちんぷんかんぷん。「分かってないだろ?」って劇中の台詞、何だか自分に言われたような気がして…(恥)。日本に正しい暦を作った『天地明察』の安井算哲もそうだけど、人の頭の良さは昔も今も変わらない。
歩いて計り、歩いて計り、かかった歳月は17年…!
完成した地図は、現在の地図とほとんど寸分変わらぬ正確さ。
この地図が無かったら、日本の歴史、経済、文化…どうなっていただろう。
本当に偉業。偉人。
20年ほど前に映画になっているが、確かに大河ドラマになってないのが不思議なくらい。今からでも企画を。
題して、『伊能忠敬 大河への道』!
…でも本作、タイトルに“伊能忠敬”を冠していない。何故…?
驚きの事実。
実は伊能忠敬は、日本地図を完成させていなかった…?
ひょんな事から伊能忠敬題材の大河ドラマ誘致を任された香取市役所総務課主任の池本。ベテラン脚本家に頼み込み、何とか本格的始動に漕ぎ着け…。
そんな現代パートと江戸時代の地図作成の過去パートが並行して展開するユニークな構成。
脚本執筆寸前に知った驚きの事実。
伊能忠敬は地図完成の3年前に他界していた…!
本作だけの議論になりそうな脚色だろ…と思ったら、これ、本当の“事実”。Wikipediaにも記されてある。
この事実は全く知らなかった…。
その事実を知って、大河ドラマどうする?…と右往左往する現代パートと、伊能忠敬亡き後遺志を継いで引き継いだ弟子たちの過去パートこそが、本作の要。
つまりは本作、伊能忠敬を題材にしていながら、伊能忠敬が出てこない、これまたユニークな“伊能忠敬伝”なのである。
そんなんで話になる?…と思うが、話になるのである。
地図作りは費用がかさむ。幕府にとっては悩みの種。
伊能忠敬の死が公表されたら、地図作り自体が取り止めになってしまう。
完成まで後もう少し。先生が心血注いだ偉業をナシにするなんて事だけは絶対に…!
そこで伊能忠敬の死を伏せ、“生きてる”として地図作りを続行。
これは危険な道。お上や幕府を偽っていた事になる。もし知れたら…。
伊能忠敬の亡き天文学の師の息子・高橋景保も当初は幕府寄り。(実は私知らなかったが、この景保の人生も大河ドラマに出来るくらい波乱万丈)
だが、弟子たちの真剣な志や努力に打たれ、景保も尽力するように。
景保を“こちら側”に引き入れたのは、伊能忠敬の元妻の一芝居。ちょいちょいこの人の一芝居や先手が窮地を救う。
姿を見せない伊能忠敬を幕府から怪しまれ、周囲をしつこく嗅ぎ回られる。
伊能忠敬“生存”のまま、悲願の地図完成まで辿り着けるか…?
キャストが現代パートと過去パートで一人二役なのも面白い。似たような役柄だったり、正反対だったり。
中井貴一は人の良さそうな主任と真面目な景保。
松山ケンイチは現代パートでも過去パートでも中井貴一の部下で、特に現代パートではチャラい若者。
北川景子は現代パートではお堅い市役所員だが、過去パートでは機転の利く江戸女。
橋爪功は過去パートより現代パートの気難しい脚本家の方が見せ場あり。
岸井ゆきの、平田満は過去パートでの伊能忠敬の弟子で好助演。
西村まさ彦も過去パートの“幕府の犬”の方がこの人らしいユニークさ。にしてもホント、近年のユニークな時代劇によく出るね~。
基は立川志の輔の創作落語。中井貴一が気に入って自ら企画も。
落語が基で江戸時代の地図作りなんて聞くと、地味でよく分からなそうと思うが、これが非常に見易い。
日本人なら心に響きそうなユーモア、人情、そして感動…。
コツコツ一歩一歩の地図作り。
“目的地”に向けて一致団結。一蓮托生。
お上の御前にて地図の初御披露目。
その正確さ、この国の美しさ。そこに、伊能忠敬もいた…。
現代パートと過去パートがいい感じに相乗し合っている。
伊能忠敬の遺志を継ぎ、見事地図を完成させた弟子たち。
老脚本家は伊能忠敬ではなく、弟子たちにスポットを当てた脚本を書きたいと言い出す。
確かにこの“名もなき偉人たち”の秘話を知って、また歴史の陰に埋める事など出来ない。
あれ、そうすると本来の主旨から…? 大河ドラマはいったんお流れ。
でも、諦めない。
また新たな一歩から。コツコツコツコツ、大河への道を歩み出す。
思ってた以上に大義(グッジョブ)であった。
歴史の隠れた逸話は、鳥肌もの。
職人型
かつて花のあと(2010)のレビューにこう書いている。
『中西健二監督はなぜかwikiもない映画監督ですが青い鳥という名作を撮っています。青い鳥ゆえ、ググったときぞろぞろ違うものが検索されそうなタイトルに難はありますが、個人的にはカルトだと思います。
この映画と青い鳥を見ると中西監督の秀でた演出力が解ります。主張はしませんが堅実で丁寧なのです。』
2022年になっても中西健二のwikiはなかった。
日本映画界には堅実な商業映画が評価されないという謎現象があるが、とりわけ不思議なのはキャリアがTV畑の映画監督がプライズやニュースの対象にならなくて、かならず映画畑の映画監督がもてはやされプライズやニュースの対象になる。──という現象。
たとえば罪の声の土井裕泰監督も、祈りの幕が下りる時の福澤克雄監督も、HEROやマスカレード~の鈴木雅之監督も、真夏の方程式の西谷弘監督も、踊る大捜査線の君塚良一監督もテレビ局職員もしくは経歴に占める比重がテレビ寄りの監督である。
そしてそれぞれの映画を思い浮かべてもらえばわかるとおり、日本の代表的な映画監督であるとマスコミに称揚されている園子温とか蜷川実花とかその他諸々よりも、はるかに演出技量が優れている。
にもかかわらずテレビ畑の監督は名が売れずプライズ対象にもならない。このアンフェアについて業界は一般大衆に説明義務がある。(と個人的には思う。)
中西健二監督はテレビ系監督ではないかもしれないが、卓越した技量のわりに名の押し出しがない点においてその気配がある。つまり“職人型”なのだ。
天才でなければ訓練されていない者に機会はない。文筆も絵画も音楽も料理も舞踊も、芸道には練習がつきものだ。日本映画界は未熟者が称揚される現象について説明責任があると思う。天才(黒澤や小津)じゃないなら“職人型”が監督の前提であってほしい。
──
この映画のポイントはいくつかあるが、基調に中年を激励する意図があると思う。
寿命がみじかかった過去にありながら伊能忠敬は73歳まで生きた長寿者だった。
地図をつくりはじめたのは50歳を過ぎてから。しかもただちにつくりはじめたわけではなく、50歳を過ぎてから(天文学などの)地図のつくり方を学びはじめた──のだった。
(江戸時代の寿命を)おおむね今よりもマイナス20~30歳の寿命と考えたとき伊能忠敬の73歳は現代人の100歳に相当する。
現代人の人生は100年。ゆえに50歳を過ぎた人々に「まだはじまったばかりだぞがんばれ」とこの映画は言っている。
それはうがちすぎではない。
池本(中井貴一)が最後に「わたしが書くから脚本をおしえてくれ」と加藤(橋爪功)にたのむのは艾年or還暦にあっても意欲をもって生きていく気概のあらわれだった。なにより、何事もがんばってやるんだ──っていう意気が、中間管理職を演じた中井貴一の態度と表情にあらわれていた。
伊能忠敬のすごさは「伊能図とランドサットから見た日本列島」でわかる。加藤がその前に佇んで「200年前に・・・こんなものどうやって」と言うのだが、じぶんもそう思った。
日本じゅうをくまなくあるいて地図をつくる。あるのは足。伊能隊。歩幅。製図に向かない筆。足袋。不屈の信念。・・・。
『日本を植民地にできるかもと思ってやってきたイギリスなんかあの地図みてびびってやめたんだから』(加藤)
伊能忠敬や高橋景保がいなかったら日本の歴史は変わっていたかもしれない。
──
中井貴一が自治会のゴミ網(カラスネット)の綻びを補修するやるせない管理職を絶妙に演じた。新世代らしい軽さを出した松山ケンイチもじょうずだった。北川景子がきれい。志の輔にも味があった。
演者もいい。台詞もいい。演出もいい。安心して見られる職人型映画だった。
涙がすーっとこぼれた
地元では親しみを込めて伊能忠敬のことを「ちゅうけいさん」と呼ぶということを知った。
伊能忠敬を大河ドラマのストーリーにと、20年以上書いていない脚本家の先生(橋爪功)へ依頼する。鳥肌モノでなければ書かない偏屈じじいだが、伊能忠敬の弟子たちがまさに鳥肌モノだった。200年前と現代を二役で演じる役者たちがとても面白い。
伊能忠敬亡き後、その死を3年もの長い間隠し続け、地図完成のために測量を継続、もういよいよここまでかと諦めかけたその時、みんなを鼓舞する高橋景保(中井貴一)の言葉とその迫力は胸を熱くする感動場面だ。
完成させた日本地図を上様へ献上するシーンが最大のピーク。大広間に広がる日本地図を見て「これが余の国のカタチなのじゃな」と上様がポツリと言う。そして「伊能は何処にいる?」とお尋ねになると「ここに居られまする」と伊能忠敬の遺品である草履を差し出す景保。しかし、ここは伊能の弟子たちに聞いていてほしかった場面だ。実際に歩いて測量し苦労して地図を完成させたのは高橋景保ではなく、弟子たちだから。
史実と違っても、隣の部屋で上様の言葉を弟子たちが聞いている場面があったならば弟子たちの苦労も報われ、感動の渦が最高潮になったと思うがいかに。
ふざけた話なんだけどw
大筋実話なんだよねw
伊能忠敬は完成させてないし、死んだの伏せてプロジェクト進めてるのよ。
現代のお役所の描写はチョイオカシイけど、諸々有耶無耶にして工期をズルズル引き延ばす辺りでイヤな汗かいたりしましたw
結構楽しめたケド、志の輔の咄で聴いたらモット面白いんだろか? ってあたりが謎です。
ガッテン頂けましたでしょうか?
大河への道を見て感じたこと
1 伊能忠敬をテーマとした大河ドラマの誘致に取り組む人々の姿を通じ、日本地図作成に情熱を傾けた忠敬たちの活動を描いた群像劇。
2 映画前半は、大河ドラマを誘致しようとする役所職員に脚本家が絡む現代劇。基となったのは、志の輔の新作落語であり、そのためか話の筋やテンポといった語り口が良かった。加え
て、中井貴一、松山ケンイチの軽さと橋爪功の存在感が際立つ配役の妙があった。落語原作のドラマ化に成功した。
3 本筋となる地図作りの時代劇は、現代劇がコメディタッチであったのに対し、比較的真面目に取り組んでいた。忠敬の死後であり、最後まで忠敬の姿は出てくることはないが、イリュージョンのように彼の意志が弟子筋や幕府とのパイプ役となる天文方を動かし、忠敬が生存しているかのように工作を施し、地図完成に至るまでを描いた。ここでは、北川景子の機転と場違いのような美しさ、西村雅彦の臭い演技でポイントを稼いだ。
4 地図の完成披露と報告のシーンでは、中井貴一の覚悟が伝わってきた。そして、次の間に広げられた大きな日本地図の原図。カメラが海岸線をゆっくりと舐めていく。苦労を想起する回想シーンをインサートすることはない。それでも積年の苦労と確かな足跡、偉業が伝わり、感動した。
5 ラストは落語のオチみたいな終わり方であった。いずれにしても、娯楽作として水準以上の作品に仕上がった。
予想していた話とは全然違っていて、いい意味で裏切られた…
中井貴一は、タイトルから舞台は中国で、一人の日本人がそこへ渡り、黄河とか長江といった大河を目指す物語だと思ったそうだ。私は映画を観る前にあらすじは抑えていたつもりで、大河ドラマにしてもらうため、いろいろ苦労する話だそうで、大物に動いてもらうとか、NHKに日参するとか妄想していたのだが、まるっきりそうではなかった。伊能忠敬の弟子たちの奮闘を描いていて、並大抵の苦労ってものじゃない。測量自体、足腰が勝負だし、帰還して絵地図に仕上げるのもそれこそ朝から晩まで、働き通し。本当に頭が下がる。私も佐原の伊能忠敬記念館を以前訪れたことがあり、すごい、すごすぎると思っていた。志の輔師匠もそこから話を作ったそうだ。時代劇部分と現代劇部分を同じ役者が演じるとのことで、伊能忠敬はきっと中井貴一だろうと踏んでいたら、伊能忠敬は出てこないし、何だか話は微妙にズレている。現代劇部分では、中井貴一はテレビドラマでもお馴染みの市役所の職員役。いやぁ、ぴったりで違和感ナッシング。松山ケンイチとの掛け合いが笑わせてくれる。北川景子はクールな印象だが、意外にも人情厚く、粋な姐御を演じていた。中井貴一の時代劇をもっと多くの人たちに観てほしいという気持ちが伝わってくる作品だ。
わらじには爆笑させられました。
なかなか面白かったのですが、これは原作のせいなのか? 忠敬さんにフォーカスする事がほとんどなかったので、忠敬さんへの感情移入を高めきれませんでした。弟子達は忠敬さんの思いを継いで最後までやりきったはず?だと思うのですが、忠敬さんがどんな思いで取り組みどんな無念があったのか?などに思いを馳せた上でのドラマなら更に素晴らしい映画になったのでは?なんて思ってしまいました。
全219件中、41~60件目を表示