「ミトについて前作鑑賞が必須!」劇場版 ソードアート・オンライン プログレッシブ 冥(くら)き夕闇のスケルツォ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
ミトについて前作鑑賞が必須!
人気ライトノベル&アニメ「ソードアート・オンライン」のリブート小説「プログレッシブ」シリーズの劇場版で、前作「星なき夜のアリア」の続編となる本作。さまざまなメディアで長期にわたって展開されていることからも、このシリーズの人気のほどがうかがえます。
ストーリーは、仮想ゲーム空間のVRMMORPG「ソードアート・オンライン」に閉じ込められた1万人のプレイヤーが脱出のためにゲームクリアを目ざす中、2大ギルドの対立が激化し、それを食い止めようとするキリトとアスナの活躍を描くというもの。
本作は完全なる続編であり、前作鑑賞を前提に展開しているため、初見の方には理解が難しいと思います。そもそも作品の舞台設定さえ理解できないかもしれません。前作鑑賞済みの自分でさえ、内容を思い出すのにしばらく時間がかかりました。
1年ぶりの劇場版ということで期待していましたが、前半は緩いテンポで少々眠くなってしまいました。後半への伏線になっているとは言え、メインストーリーに深く関わらず、バトルシーンもあまりなかったので、やや退屈に感じてしまいました。しかし、ミトが登場してからは、物語の奥行きが増してがぜんおもしろくなってきます。その後のアインクラッド第5層のボス攻略は激アツです。
映像クオリティはそこまでではないですが、バトルシーンのスピード感と迫力はすばらしく、ここに加わる劇伴も素敵で高揚感ましましです。攻略の失敗はプレイヤーのリアルな死を意味し、その決死の緊張感が伝わる声優陣の演技も秀逸です。戸松遥さん、松岡禎丞さん、水瀬いのりさんらのさすがの演技力です。前作を伏線として絡めた展開も胸熱で、作品世界にどっぷり浸っていた自分は自然に涙がこぼれてきました。
第5層攻略をメインに据えながら、アスナの成長とキリトとの絆、キリトのベータテスターとしての悲哀なども描き、ラストはプレイヤー同士のバトルを予感させる展開で、早くも次回作が気になります。