「お米よりもパン派がいてもいい」もっと超越した所へ。 まめもやしさんの映画レビュー(感想・評価)
お米よりもパン派がいてもいい
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エンタメとして面白い作品ではあるが、合う合わないで言えば、合わなかった。良くも悪くも“超越”のための映画。終盤までは至ってありがちなダメ男のドラマが続き、ラストの“超越”で引き込むものの、そのキーとなる“超越”への動線はパワープレイで、その結果、絵に描いたように大団円を迎えるのも納得いかない点だった。少なくとも、一人くらい超越して巻き戻して再考してなお、「出ていけよ!」と突き放す人物がいてもいいと思う。(というか、最初から沼っていない状態の観客にとって、全カップルなぜヨリ戻す?と疑問だったが)
さらにエンドロールで舞台裏まで見せられてしまったら、映画として真剣に観るよりも、エンタメとして軽い気持ちでダメ男だったなぁと観るしかなかった。その意味で言えば、何も解決してないけれど気持ちは確かに軽くなる。
舞台作品ゆえにセリフで内情すべてを語り尽くすのはやや鬱陶しいが、女性陣はみな演技が素晴らしく、特に伊藤万理華と趣里、男性陣はオカモトレイジがいい演技をしていた。
屋台崩しの仕掛けで言えば、行定勲監督が映画『劇場』で原作小説にない演出をやったすごさを改めて思い出した。
一方で、男性を米を持つ役割にする話は面白く、お米を勘で適当な重さで買う人や、やたら丁寧にお米を研いで炊く人、白おにぎりにする人、レンチンパックのお米で満足の人など、いろんなお米への扱い方があるゆえに、やはり全員都合いい大団円はどうしても違和感が残る。
でも幸せならOKです。
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