ゴヤの名画と優しい泥棒のレビュー・感想・評価
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ケンプトンの機知に富んだ発言に感動する
本作品のハイライトは裁判のシーンである。主人公ケンプトン・バントンは、口うるさく文句をまくしたてる妻ドロシーを相手に、鈍重とも言える反応しかできない。それはそうだ。家計はドロシーが家政婦で稼いだ金でまかなわれている。ケンプトンは弱々しい反論をするのが関の山である。 ところが裁判になると、検事や弁護士の質問に対して才気煥発、水を得た魚のように機知に富んだ発言を繰り返す。ユーモアとジョークが満載の彼の言葉は、観衆を笑わせる喜劇の台詞のようである。それもそのはず、ケンプトンは昼夜を惜しまず戯曲を執筆している。戯曲の台詞はリズムが何よりも大事だ。句点と読点のリズム。長い単語と短い単語のリズム。リズムが整っていれば、俳優は長いセリフをよどみなく話せるし、観客も聞きやすい。法廷にいた人々は、リズムに乗った彼の言葉を、芝居の台詞のように心地よく聞いたのであった。 ところでBBC放送はサブスクリプションを導入して、受信料を廃止する方向で進めているらしい。大変いいことだと思う。NHKも見習うべきだ。 いまやインターネットの時代である。テレビや大新聞が正しい情報を伝えていると思っているようなおめでたい人は少数派になった。テレビや大新聞は、大本営発表を垂れ流していた時代と本質的にはそんなに変わらない。大本営発表でない情報は、週刊誌が先に報道して大新聞やテレビが後を追っている。 当方も当然ながらテレビや大新聞の情報は信用しない。必要な情報はネットで自分から探しにいく。もちろん政権の言いなりにしか報道しないNHKなど絶対に見ない。NHKはアベシンゾウの時代にとことん腐ってしまった。もちろんそれまでも反体制的な報道は一切なかったが、アベシンゾウがNHKを脅すようになって以来、国営放送の本分である国民のための放送を一切放棄した。「皆様のNHK」から「アベ様のNHK」に堕してしまったのだ。 昔は70%を超えていた紅白歌合戦の視聴率も、今や30%ちょっとが関の山である。嘘ばかりでジャーナリズムの矜持のないNHKの実態に、漸く国民も気づいてきたのがこの数字だろう。もはや公共放送としての役割を少しも果たしていないNHKに、国民から受信料を徴収する権利はない。百害あって一利なし。それがいまのNHKだ。 ケンプトンが今の時代にいたら「BBCなんぞいらん、ネットとサブスクがあれば十分だ」と大声で言うだろう。そして当然のように受信料の支払いを拒否するだろう。ケンプトンは正しい。 ロシアがウクライナを侵略しつつあるが、そこで思い出すのが、アベシンゾウとプーチンの関係である。2016年に地元の山口に招いて、3000億円の税金をポンと渡して北方領土の件をお願いしたのに、したたかなプーチンにいいようにあしらわれて3000億円を持っていかれてしまった。 プーチンは2018年に「前提条件を付けずに平和条約を締結しよう」と提案してきている。北方領土の解決なしに条約を締結すれば、領土問題は既に解決したとみなされる。3000億円の税金を騙し取っておきながら、さらにこんな条約を臆面もなく提案してくるプーチンの面の皮の厚さには誰もが驚いた。 脳タリンのアベシンゾウもさすがにこれで懲りたかと思ったが、翌年の2019年には「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう。ロシアの若人のために。そして、日本の未来を担う人々のために。ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆けて、駆け抜けようではありませんか」などと仰天の発言をして、プーチンを苦笑させている。「コイツは本物のバカだ」とその顔に書いてあった。 「ウラジミール」とファーストネームで呼ぶ仲なら、今回のウクライナ侵攻についても、仲介役を果たすべきではないかという報道は、当方の知る限りでは確認できていない。もちろん「アベ様のNHK」がそんな報道をするはずもない。見ていなくてもそれくらいはわかる。 作品の話に戻るが、序盤はケンプトンの人となりがわかるエピソードが紹介され、同時に妻ドロシーのスクエアな考え方、時代に蹂躙されて女性の権利を忘れた気の毒な精神性も理解できる。ヘレン・ミレンはやはり凄い女優だ。中盤からは息子たちも絡んで物語がちょっと進む。息子たちは口うるさくて古臭い母親にうんざりし、年老いても脚本家を夢見る父親のことが好きだ。なんだかんだでいい家族である。 終盤で冒頭のシーンに戻ったところから、ケンプトンが本領を発揮する。そしてこのレビューも冒頭に戻る。
The Duke・・・公爵
1961年、ロンドンのナショナル・ギャラリーからゴヤの名画、ウェリントン公爵、が盗まれた。犯人はタクシー運転手のケンプトン・バントンで、妻と息子とアパートで年金暮らしをしていて、高齢者たちの生活を楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を払おうとする話。 公爵と言えば、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵のトップで、ゴルゴ13もデューク東郷だよなぁ、とか思い、ググるとウェリントン公爵って今の時代も存続しているようで、ゴヤの時代だったなら初代なのかぁ、とか、原題のThe Dukeから連想出来て興味深かった。 史実ベースの作品って歴史の勉強になりますね。 ナショナルギャラリーってロンドン出張の時に何度か行ったが、ゴッホのひまわりしか覚えていない。肖像画って暗くてあまり興味なかったけど、映画を多く観るようになって、肖像画にも興味が湧いてきた。 実は次男が・・・って言うのは2012年の情報公開で明らかになったんですね。60年・・・長いようで短いのかも。 良い作品でした。
ウイットとペーソスに富む英国らしさ
とてもウイットとペーソスに満ちたイギリスらしい実話に基づくストーリーである。誰も見向きもしないのにドラマの原稿を書き、年金生活者のために運動する、もの好きな老人が主人公だが、彼の驚くべき「犯罪」と裁判を見て、人間ってバカだけどいいなとヒューマンな暖かい気持ちになる。彼の時代には実現できなかった高齢者の受信料が今は免除されているのも、イギリスらしくてよい。
独りよがりのアナキスト
みたいなおじさん、絵を盗んでも反応がなくてヤキモキしているところ、面白かった。 職場の人種差別に反対してクビになるのが、1961年だ。BBCの受信料を払わないのが犯罪であるイギリスで、堂々と自分の考えを主張し実現させようとしている、おじさん。だんだんと応援したくなってくる。 弁護士さん、良かった。 奥さん役のヘレン・ミレン、どんな役でもとても自然にハマっているのが本当にすごい。
短い作品なのに
「信念とは」「正義とは」「公と私とは」「格差とは」「マイノリティとは」 可愛くて優しい、小粋でおしゃれな作品のクセに、ちゃんと現代社会への視線があって、振り返るとメッセージが盛りだくさん。 実話ベースの作品は観客に課題を残して終わることも多いが、この作品は観終わった後の「ほっこり」感も保証してくれる。 演出と合わせて、やはり俳優たちの達者なセリフ回しも凄い。 月並みながら、やっぱりヘレン・ミレンは上手いよね。 世の中的に、小粒な作品で終わらせてしまうのはもったいな映画だと思う。
ほのぼの実録映画。
孤高の老人の奮闘記。だまっちゃいられない老人はたくさんいると思うが、それを押し通しちゃうのは、やるなー、という感じ。腹の足しにならない芸術と底辺の一般市民を天秤にかけたらどちらが大切か。世論と現実は一致せず。息子と夫婦の絆があたたかい。イギリス版三丁目の夕日、で、ロビンフッド。
優しい気持ちで観たい映画
1961年に実際に起きた名画盗難事件を描いた作品。とは言え主人公は60過ぎのおじいちゃんで、当初警察が推測した犯人像とはまるで違う。しかも動機が、「年金受給者や戦争帰還者がBBCの受信料を払わずに済むように」というのだから驚く。更にこの話には裏があって……。 なんともほのぼのとした映画で、扱われているのは犯罪に違いないのだが、許してあげてほしいと願ってしまう。家族の絆や事件の真相も含めていい作品だった。
(ストーリーのネタバレはなし/法律的なお話の不足部分の補足がネタバレになるため)
今年57本目(合計330本目/今月(2022年2月度)29本目)。
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この50分前に「劇場版 DEEMO サクラノオト」を見ていますが、アニメ作品にレビューの需要はないと思うので飛ばします(私が見に行ったのは、私が15までエレクトーンをやっていた事情もあり、音楽系アニメは一定程度興味があるからです)。
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さて、こちらの作品…。痛快なおじいちゃんのおとぼけ枠か…と思いきや…。
実はムチャクチャ難しいです。
というより、日本では中高では民法や刑法なんて扱わないし、誰もが法学部に行かないし、ましてや誰もが司法試験だの行政書士試験だの取得しているわけではない(この2つ+司法書士とあわせて、登録者数でも日本では11万人)ので…。
ここのレビュー的にはストーリーというより、「趣旨がマニアックすぎて、ラストが理解しづらい」という点について「のみ」触れます。
また、私も行政書士試験レベルの水準で、見た後に色々大阪市立図書館で調べた結果がこれで、これ以上求めるとなると、もう「●●県弁護士会か何かで見に行くんですか?」「連れていく方なりが全員が全員弁護士の方ですか?」というレベルにしかならないと思います…(司法「書士」試験では刑訴法は触れないし、行政書士試験では刑法の初歩しか触れない)。
ここで「ネタバレあり」でやっているのは、「解説するととても5000文字で収まらない」「書くと結局ネタバレになってしまう」という特殊な映画であるという点につきてしまいます(年に1回はこういうのってありますよね…)。
よって、ストーリーの説明は他の方もされているので、私はもっぱら、触れられていない点について補足を入れる形にします。
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▼ (減点0.3) 下記のように、「7割でも正しい理解」をするためには相当な知識があることが前提で、それがないと誤った理解に飛ぶ点がかなり怖いです。
▼ (減点0.2) 他の方も書かれていましたが、字幕の日本語がよくわからない点が多いです(中盤あたり、どこかのコンビニか何かで馬券?を買うらしきところ「連続式馬券」って何なのだろう…?)。これがさらに「肝心となる法廷の部分」でも入ってくるので、字幕を諦めて英語で聞き取って後から調べる…という二重の作業が待っています。
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▼ 本映画を見るにあたって必要な知識(大阪市立図書館などで調べた結果)
● イギリスの法体系
・ これは中学校でも習いますが、イギリスは「基本的には」不文法の国です。要は「コモン・ロー」がはたらく国です。しかし、特に人の自由を奪うような(日本でいう刑法に相当する)条文が不文であるというのはまずいというのも事実で、20世紀に入って、「よくある犯罪類型」に関しては、ごく最低限の法が成文として作られるようになりました。
● 「懲役3か月」にいたったポイント
・ この映画自体は実在する人物を描いたものなので、大阪市立図書館含めて相当な資料が残っています。そしてこの裁判の資料も当然残っています。
ここで弁護士が主張したのは「盗難法(原題:Theft Act)(1968年版)」の11条「公共の場所からの物品などの持ち去り(remove)」です。「持ち去り」であれば、いずれ「返す」ことを意味し、実際に映画内でもその通りです。つまり、弁護士はこれを根拠に処分されるべきと主張したのです。当時は「一般法廷では5年以下、略式起訴裁判なら6か月以下の懲役か罰金」という緩い規定(当時は一般法廷か略式起訴かで法定刑上限が変わっていた模様)で、おそらく(映画では厳密に書かれていませんが)略式起訴で3か月(上限6か月に対して)というのは、これではないか、と思います。つまり、裁判所側からみると「法の穴を突かれた」ということになります。
● そのあと、BBCはなぜ主人公を訴えなかったか
・ 刑事事件と民事事件は違いますので、刑事事件で有罪・無罪となって切り離して、民事で責任を問うことは(時効などの制限をクリアする限り)可能です。つまり、「刑事事件は解決したけど、BBCのブランドに傷をつけるな」という方向にもっていくことは可能です。
しかし、BBCからみればこの主人公を敵に回すともっと「面倒くさい」話になることは当然想定できていたので、「面倒なことになるから」やらなかったわけです。
● 最後の「真犯人」が出てきてからの短いやり取り
・ ここは2つの論点があります。
「起訴便宜主義」 日本でもそうですが、刑事事件に関しては、仮に刑法などに触れるとしてもそれを基礎するかどうかは公的機関(日本では、検察)に一任される、という制度のことです。特に「帰責性が低い」事件について発動されることがあります(運転ミスなどでも、相手側の責任が非常に強い(相手側が酒酔い等、回避手段がないか乏しい場合)など、一方だけを起訴するのが通念上妥当でないというようなとき)。
「世間を喜ばせる事件(映画内では cause celebre )」 仮に起訴すれば、その元被告人としてこの映画の主人公をまた、裁判所の証言人として出してくることになります。しかしBBCが国営テレビであるように、国にとっては「もうこれ以上彼とは関わりたくなかった」わけで、また「BBCを無料にしろ」とか裁判で言われても困ってしまいます。このような場合(起訴することで、必然的に国にとって都合が悪かったり、面倒なことになる場合)、「世間を喜ばせる事件/証人」として、起訴そのものが回避されたり、起訴内容を変えて「都合の悪い人が呼ばれないようにする」手法が取られます。
これが映画内で述べられている「面倒なことになるから」という部分です。
※ 日本でも、某宗教のガス事件で、起訴にあたって「起訴するなら、服役している証言人を証言者として法廷に出すことが必要になるが、そのほうがかえってアピールの機械を与えてしまうのは問題ではないか」という点が問題になったことがありますね。
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実際に起きた事件なので、大阪市立図書館のレベルだと簡単にこのようなことはわかりますが、そこまで調べられる図書館も大都市にしかないですし…。
正直ムチャクチャマニアックなストーリーでした、というお話。
いやぁ、2月最後になってここまでマニアックなのが来るとは思いませんでした…。
多幸感と爽快感と少しの笑いで心地良くなる映画
「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督の少し笑える実話を元にしたハートウォーミングな物語。 主演のジム・ブロードベントが高齢にも関わらず膨大なセリフ量をこなし、妻役のヘレン・ミレンと共に皮肉とイングリッシュジョークを交えた軽妙な掛け合いが楽しく、ずっと見ていたいと思った。 ヘレン・ミレンは「ワイルドスピード」で見せた背筋をピント張った若々しい悪女の雰囲気とは打って変わり市井の老婦人を年相応に演じており、その落差に驚きつつもアカデミー女優の奥行きの深さを見せつけられた気がした。 後半の舞台はほとんど法廷になるが、ジム・ブロードベントのジョークを交えたワンマンショーのような被告人答弁で傍聴人だけでなく陪審員や裁判官も堪えきれずに吹き出してしまうシーンは最高に楽しかった。 一見やる気がなさそうだが実は凄腕の人情派弁護士役を演じたマシュー・グードもギャップ萌えが強烈で、陪審員はじめ法廷全てを味方につけるように被告人から多くはないが心に響く回答を引き出し、出番が少ないながらも強烈な印象を残した。 この人最近見たキングズマンのラスボスを演じていた役者さんだが、英国俳優陣の実力って底知れないなと改めて思った。 人や場面の動きがそれほど多くない映画だけに脚本で如何に引き込めるかが勝負の映画だが、脚本と演出と俳優の技量で心底楽しませる最高に面白い映画だと思う。 当時の陪審員制度の脆さも何となく伺えるのも面白かった。(ある意味ヤバいけどw)
まさか、こんなところでマルチバースが…
映画をたくさん見てると、本当に世界がマルチバースのような感覚になることがあります。 今週は日本全国で同じような感覚を味わっている人が 数万人?そんなにいない?じゃあ、数百人? それくらいならいそうな気がします。 第一次世界大戦で大変な経験をした世代の人たちの孤独を癒やすテレビを無料で見られるようにするために、ゴヤの絵を。 シェークスピアだけでなく、チェーホフも。 『ウエストサイドストーリー』を見に行かないか。 ニューヨークが舞台のロミオとジュリエット。 いずれも、下記の映画と深くリンクするではありませんか❗️全部同じタイミングで観られます‼️ ナイル殺人事件 ドライブ・マイ・カー ウエストサイド物語 それだけでも嬉しいのに、マルチバースの本家でも、簡潔ながら深い意味で使われる言葉。 〝良き隣人〟 これもまた、重要で感動的な場面で出てきます。 余談ですが、自分の個人的な経験では、貸した本やDVDの回収率は大体6割くらいで、返ってくるのも大体こちらが忘れた頃のことが多いです。 なので、好きな作家の本なんかだと文庫本で読み直したあとに、昔貸した単行本が返ってくる、なんてことも割とあります🤣 でもその作品のファンとしては、それでいいんです。 自分の好きな映画や作家に触れる人をひとりでも増やすことはファンたる者の責務だと心得ております。 しつこく返却を迫って嫌われたりすると、自分のことだけでなく、作品本体まで一緒に嫌いになってしまうかもしれないからです。そうなればまさに本末転倒。 ところで、ショーン・コネリーのあの007はなんというタイトルの作品?
英映画ならでは
洋服とかインテリアとか細部までホントおしゃれで見逃せない。奥さんとのダンスのシーンも好き。 裁判のシーンは笑いと少しホロッときた。 実話みたいだけど息子はほんとに捕まらなかったのかな?
これ本当に実話ベースなの?って疑うくらい楽しかった。
原題は、The Duke 1961年、主人公のバントンさんは、年金生活者の爺さん。納得いかなくてBBCの受信料を払いたくない。その気持ちよく分かります。抗議運動とかもやっちゃう正義感の強い人だ。そんな中、テレビで見たニュースをきっかけに、ゴヤの公爵の絵を盗む。この公爵を人質にしてお金を手に入れ、受信料に苦しむ人達を救うためだ。まるで、ねずみ小僧。なので本人は悪い事をしてるとは微塵も思っていない。ちょっと借りただけだからね。 60年代のイギリスの街やBGMがとても楽しい雰囲気。何より長年連れ添っている奥さんとの会話が良かった。昔、娘を事故で無くしていることもあり、バントンさんの行動に感情をぶつける奥さん。でも、仲が悪いわけでない。昔を懐かしんでダンスしたりして、かなりの仲良し。憧れちゃう。 何より、これ、本当に実話ベースなのか?と思ったのが裁判でのバントンさんのトーク。まるでコメディじゃん。三谷幸喜のステキな金縛りを思い出しちゃった。 どうやって盗んだかなどは、最後の方に明らかになるんだけど、優しくてジワ〜。 最初から最後まで、笑って泣いて大満足でした。
guilty or not guilty
1961年イギリスでゴヤの名画「ウェリントン公爵」を盗んだ罪で起訴された男とその家族達の話。 過去には受信料を支払わず逮捕されたこともあるといいつつ、高齢者にBBCを無料でみさせろや!と声高に叫びながら、自身はTVの受信コイルを外しBBCを映らないようにして受信料を払わない!と徹底した態度の老齢の男。 そしてそんな旦那に辟易の大人しく暮らしたい妻と二人の息子という家族を軸に物語をみせていき、ナショナルギャラリーからウェリントン公爵が盗まれて展開していくストーリー。 すっとぼけた様な旦那にマジメ過ぎて偏屈にもみえる妻、そして船大工になりたい次男とヤンチャな兄貴という家族をちょっとドタバタ、ちょっとコミカルにみせていきとてもキャッチーな空気感、絵を盗んできてからも本気か?というボランティア思考。 バレそうになってから捕まるまでの流れも何の抵抗もなく嘘のような流れで、何だか化かされている様なw そしていよいよ冒頭の続き、本当のタヌキはここからというねww 当時の14万ポンドってかなりのものだけど、まさかの結末にそんなのありなのか??? いや~そういう時代だったということですね。 根底にある悲しさを匂わせつつ、犯罪を描いた作品だけど、毒がなくてほのぼのしていて痛快でとても愉しかった。
よくできた落語のよう、実話ってのがすごい
1961年、ロンドン・ナショナル・ギャラリーから盗まれたゴヤ「ウェリントン公爵」をめぐる物語 実話ってのが凄い、まるでよくできた落語のような、実に小粋で鯔背な作品、サゲまでの爽快な流れたるや! 何も事前情報なく観にいったのがよかった あんまり知られた映画じゃないと思うけど、大きいスクリーンが結構な満席ってのがまたとても "らしい" 映画よく観る人におすすめ、小股の切れ上がった一本
嘘だろう、本当に実話なのかと疑う映画。
物語を面白くするために、いろいろ脚色はしているだろう。ユーモアとブラックユーモア及びペーソスもあって、よく出来た脚本だ。 今年の誕生日で67歳となる。今は人生100年時代となり、私もそうだが同級生達もまだ働いている人が多い。実際に起こったゴヤ盗難事件の1960年代初期に60歳を迎えていれば、もう完全な老人だ。 おそらく労働者階級出身で、満足な教育も受けていない。独学で教養を身につけたみたいだ。十五歳でコンラッドの「闇の奥」に感動しているなんて早熟だ。だが、残念ながら文才には恵まれなかった。早死した妹或いは前妻を思い、戯曲を懲りずに創作している。 生活は苦しく、年老いた妻も家政婦として働いている。老人の楽しみである国営放送テレビの有料制度に憤りを覚えて、ゴヤの油絵盗難事件へと展開してゆく。まぁ、これには裏があるけど。 根っからの善人なので、その主張は納得できる。私が知っている老人にも、やることがないので仕方がなくテレビを見ている人がいる。まだ、テレビも創成期で今と違って面白かっただろう。 陪審員制度だから、このような判決が下ったと思うが、信じられない評決だ。その後日談にしてもイギリスは成熟した国だと感じた。 007のドクターノオ(たぶん、自信はありません)にこの絵が使われているなんて気づきませんでした。
国と戦う活動家
日本で言うNHKにお金を払わないといけないイギリス。その料金を払えず困っている高齢者がたくさんいる。そのことに怒っている60代のタクシー運転手がゴヤの名画を盗む話。 スタートの音楽、そしてカメラワークからおしゃれな雰囲気。ストーリーも分かりやすく、コミカルな所も良かった。それだけじゃなく見ている人に訴えてくる主張も良くて見て良かったって思いました。
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